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4. スピン統計定理

スピン0の自由粒子のハミルトニアンは

$$H_0=\int \tilde{dk}\ \omega \ a^{\dagger}({\bf{k}})a({\bf{k}})\tag{1}$$

で表される。ここで、\(\omega=\sqrt{{\bf{k}}^2+m^2}\)である。そして正準量子化の帰結として交換関係または反交換関係

\begin{eqnarray}[a({\bf{k}}),a({\bf{k}}^{\prime})]_{\mp}&=&0\ ,\\ \ [a^{\dagger}({\bf{k}}),a^{\dagger}({\bf{k}}^{\prime})]_{\mp}&=&0\ ,\\ \ [a({\bf{k}}),a^{\dagger}({\bf{k}}^{\prime})]_{\mp}&=&(2\pi)^32\omega\delta^3({\bf(k-k^{\prime})}) \tag{2}\end{eqnarray}

が成り立つ。もちろん、ボゾンを考えているときは交換関係、フェルミオンを考えているときは反交換関係を用いる。

ローレンツ不変で局所的な相互作用を与えるハミルトニアンを考えよう。そのためにエルミートではない場

$$\varphi^+({\bf{x}},0)\equiv \int \tilde{dk}\ e^{i{\bf{k\cdot x}}}a({\bf{k}})\tag{3}$$

とそのエルミート共役

$$\varphi^-({\bf{x}},0)\equiv \int \tilde{dk}\ e^{-i{\bf{k\cdot x}}}a^{\dagger}({\bf{k}})\tag{3}$$

を用いると便利である。

Baler-Campbell -Hausdorffの公式を用いて\(\varphi^{+}\)の時間発展を計算すると

\begin{eqnarray}&&e^{iH_0t}\varphi^+({\bf{x}},0)e^{-iH_0t}\\&=&e^{iH_0t}\int \tilde{dk}\ e^{i{\bf{k\cdot x}}}a({\bf{k}})e^{-iH_0t}\\ &=&\int \tilde{dk}\ e^{i{\bf{k\cdot x}}}e^{iH_0t}a({\bf{k}})e^{-iH_0t}\\ &=&\int \tilde{dk}\ e^{i{\bf{k\cdot x}}}\left\{a({\bf{k}})+\left[iH_0t,a({\bf{k}})\right]_{\mp}+\frac{1}{2!}\left[iH_0t,\left[iH_0t,a({\bf{k}})\right]_{\mp}\right]_{\mp}+\cdots\right\}\\ &=&\int \tilde{dk}\ e^{i{\bf{k\cdot x}}}a({\bf{k}})\left\{1+(-it\omega)+\frac{(-it\omega)^2}{2!}+\frac{(-it\omega)^3}{3!}+\cdots\right\}\\ &=&\int \tilde{dk}\ e^{i{\bf{k\cdot x}}}a({\bf{k}})e^{-it\omega}\\ &=&\int \tilde{dk}\ e^{ikx}a({\bf{k}}) \end{eqnarray}

となる。ここで、

\begin{eqnarray}[iH_0t,a({\bf{k}})]_{\mp}&=&it\int\tilde{dk}^{\prime}\ \omega\ [a^{\dagger}({\bf{k}}^{\prime})a({\bf{k}}^{\prime}),a({\bf{k}})]_{\mp}\\ &=& it\int\tilde{dk}^{\prime}\ \omega\ [a^{\dagger}({\bf{k}}^{\prime}),a({\bf{k}})]_{\mp}a({\bf{k}}^{\prime})\\ &=&-it\int\tilde{dk}^{\prime}\ \omega \ (2\pi)^32\omega\delta({\bf{k^{\prime}-k}})a({\bf{k}})^{\prime}\\ &=&-it\omega a({\bf{k}}) \end{eqnarray}

を用いた。\(\varphi^-\)も同じように計算すればよく、まとめると

\begin{eqnarray} \varphi^+({\bf{x}},t)&=&e^{iH_0t}\varphi^+({\bf{x}},0)e^{-iH_0t}=\int \tilde{dk}\ e^{ikx}a({\bf{k}})\\ \varphi^-({\bf{x}},t)&=&e^{iH_0t}\varphi^-({\bf{x}},0)e^{-iH_0t}=\int \tilde{dk}\ e^{-ikx}a^{\dagger}({\bf{k}})\tag{5} \end{eqnarray}

となる。ここで、\(\varphi(x)= \varphi^+(x)+ \varphi^-(x) \)が成り立つことを注意しておく。

さらにproper orthochronous なローレンツ変換\(\Lambda\)により、\(\varphi(x)\)は

$$U(\Lambda)^{-1}\varphi(x)U(\Lambda)=\varphi(\Lambda^{-1}x)$$

で変換するのであった。また、Problem3.3より、生成消滅演算子も同じように変換する。

\begin{eqnarray}U(\Lambda)^{-1}a({\bf{k}})U(\Lambda)=a(\Lambda^{-1}{\bf{k}}),\\ U(\Lambda)^{-1}a^{\dagger}({\bf{k}})U(\Lambda)=a^{\dagger}(\Lambda^{-1}{\bf{k}}) \tag{7}\end{eqnarray}

よって、定義より\(\varphi^{\pm}(x)\)も同じように変換する。

$$U(\Lambda)^{-1}\varphi^{\pm}(x)U(\Lambda)=\varphi^{\pm}(\Lambda^{-1}x)\tag{8}$$

さて、相互作用を表すラグランジアン密度を\(\varphi^+(x)\)と\(\varphi^-(x)\)のエルミート関数と置くことにする。

量子力学での時間依存した摂動の結果を用いると、\(t=-\infty\)での始状態\(|i\rangle\)と\(t=+\infty\)での終状態の遷移振幅\({\mathcal{T}}_{f\leftarrow i}\)は

$${\mathcal{T}}_{f\leftarrow i}=\langle f |T\exp\left[-i\int^{+\infty}_{-\infty}dt H_I(t)\right]|i\rangle\tag{9}$$

で書ける。ここで\(H_I(t)\)は相互作用描像での摂動ハミルトニアン

$$H_I(t)=\exp(+iH_0t)H_1\exp(-iH_0t)\tag{10}$$

である。また、\(T\)はtime ordering symbolである。さらにハミルトン密度\({\mathcal{H}}_1({\bf{x}},0)\)を\(\varphi^+({\bf{x}},0)\)と\(\varphi^-({\bf{x}},0)\)のエルミート関数として\(H_I=\int d^3x {\mathcal{H}}_1({\bf{x}},0)\)と書くことにする。時間発展の形は\(\varphi^{\pm}(x)\)と\({\mathcal{H}}_I(x)\)で同じなので\({\mathcal{H}}_I(x)\)は\(\varphi^{\pm}(x)\)を入力として\({\mathcal{H}}_1({\bf{x}},0)\)と同じ関数形で書ける。

さて、\({\mathcal{T}}_{f\leftarrow i}\)はローレンツ不変でないといけない。そのためにはtime ordering symbol もローレンツ不変でなければならない。timelikeな二点\(x,x^{\prime}\)に対しては\((x-x^{\prime})^2<0\)がローレンツ不変であるからどのような慣性系から見ても時間順序は変わらない。(時間順序が変わるためにはある速度で同時刻にならなくてはいけないがそれでは\((x-x^{\prime})^2<0\)がローレンツ不変であることに矛盾する。)spacelike な二点\(x,x^{\prime}\)に関してはローレンツ変換によって時間順序が変わる可能性がある。これでも\({\mathcal{T}}_{f\leftarrow i}\)がローレンツ不変であるために

$$[{\mathcal{H}}_I(x),{\mathcal{H}}_I(x^{\prime})]=0\ \ {\rm{whenever}}\ \ (x-x^{\prime})^2>0\tag{11}$$

が成り立つべきである。spacelikeな二点では\([\varphi^+(x), \varphi ^{+}(x^{\prime})]_{\mp}=[ \varphi ^{-}(x), \varphi ^-(x^{\prime})]_{\mp}=0\)であるから\([ \varphi ^+(x), \varphi ^-(x^{\prime})]_{\mp}\)のみ考えればよい。\((x-x^{\prime})^2\equiv r^2\)とおいて、\(x_0-x_0^{\prime}=0\)となる慣性系で計算すると

\begin{eqnarray}[ \varphi ^+(x), \varphi ^-(x^{\prime})]_{\mp}&=&\int \tilde{dk}\tilde{dk}^{\prime}e^{i(kx-k^{\prime}x^{\prime})}[a({\bf{k}}),a^{\dagger}({\bf{k}}^{\prime})]_{\mp}\\ &=&\int \tilde{dk}\ e^{ik(x-x^{\prime})}\\ &=&\int \frac{d^3k}{(2\pi)^32\omega}\ e^{i{\bf{k\cdot(x-x^{\prime})}}}\\ &=&\frac{2\pi}{2(2\pi)^3}\int^{\infty}_0\frac{dk\ k^2}{\omega}\int^{+1}_{-1}d\cos \theta \ e^{ikr\cos \theta}\\ &=&\frac{1}{8\pi^2}\int^{\infty}_0\frac{dk\ k^2}{\omega}\frac{2\sin (kr)}{kr}\\ &=&\frac{1}{4\pi^2 r}\int^{\infty}_0dk \frac{k\sin (kr)}{(k^2+m^2)^{1/2}}\\ &=&\frac{m}{4\pi^2r}K_1(mr)\\ &\equiv&C(r) \tag{12}\end{eqnarray}

ここで、\(K_1(z)\)は第二種変形ベッセル関数である。関数\(C(r)\)は\(r>0\)であれば0にはならない。(\(m=0\)のときでさえ、0にならない。(Problem4.1))よって、一般には(11)を満たすことはできないだろうという結論に至る。

そこで、この問題を解決するために\(\varphi^{\pm}\)はある特別な線形結合の形

\begin{eqnarray} \varphi_{\lambda}(x)&\equiv& \varphi^+(x)+\lambda\varphi^-(x)\\ \varphi^{\dagger}_{\lambda}(x)&\equiv& \varphi^-(x)+\lambda^*\varphi^+(x) \tag{13}\end{eqnarray}

でしか理論に入らないという仮定をする。ここで、\(\lambda\)は任意の複素数である。\(\varphi_{\lambda}\)で交換関係を計算すると

\begin{eqnarray} [\varphi_{\lambda}(x),\varphi_{\lambda}^{\dagger}(x^{\prime})]_{\mp}&=&[\varphi^+(x),\varphi^-(x^{\prime})]_{\mp}+|\lambda|^2[\varphi^-(x),\varphi^+(x^{\prime})]_{\mp}\\ &=&(1\mp |\lambda|^2)C(r)\tag{14} \end{eqnarray}

\begin{eqnarray}[\varphi_{\lambda}(x),\varphi_{\lambda}(x^{\prime})]_{\mp}&=&\lambda[\varphi^+(x),\varphi^-(x^{\prime})]_{\mp}+\lambda[\varphi^-(x),\varphi^+(x^{\prime})]_{\mp}\\ &=&\lambda(1\mp 1)C(r) \tag{15}\end{eqnarray}

となる。これが0であるためには\(|\lambda|=1\)であり、交換関係を選ばなければならないことがわかる。

ここで、\(\lambda=e^{i\alpha}\)と書くことにして\(e^{-\alpha/2}\varphi(x)\)を考えてみよう。するとこれはエルミートであり、実スカラー場になっていることが分かる。そこでさらに\(a({\bf{k}})\to e^{+i\alpha/2} a({\bf{k}}) \),\( a^{\dagger}({\bf{k}})\to e^{-i\alpha/2} a^{\dagger}({\bf{k}}) \)と置き換えると(2)の交換関係は変わらないまま

$$e^{-i\alpha/2}\varphi_{\lambda}(x)=\varphi(x)=\varphi^+(x)+\varphi^-(x)$$

となる。つまり、結論を述べるとハミルトニアンは最初から実スカラー場\(\varphi(x)\)や\(\partial^{\mu}\varphi(x)\partial_{\mu}\varphi(x)\)で構成し、交換関係を選ぶことが散乱振幅がローレンツ不変であることから要請されるわけである。

EGMO2019問4

今まで、EGMOの問題は解いたことが無かったのですが、このブログを始めてみたことや、EGMOの記事が読みたいという読者様からのご要望などもあったこと、そして純粋な競技数学への興味などから、とりあえず今年のEGMOの問題を解いてみました。
まだ解き始めたばかりでどこまで記事に出来るかはわかりませんが、今後はEGMOの問題にも手をつけていければと思っております。

というわけで記念すべき初回は初等幾何の問題です!問題はこちら。

【問】\(\triangle ABC\)の内心を\(I\)とし、\(B\)を通り\(I\)で直線\(AI\)に接する円と\(AB\)の交点のうち\(B\)でない方を\(P\)、\(C\)を通り\(I\)で直線\(AI\)に接する円と\(AC\)の交点のうち\(C\)でない方を\(Q\)、とする。直線\(PQ\)は\(\triangle ABC\)の内接円\(I\)に接することを示せ。

内接円の中心\(I\)を接点とする円が2つもあること、そして、示したいことは「直線が円に接すること」。
この2つから僕は、内接円を反転円とする反転を考えてみました。
(反転の基礎事項についてはJJMO本選2019問5の記事の補足欄をご覧ください。)
では、やってみましょう。

【略解】
円\(I\)を反転円とする点\(A\)の反転後の点を\(A^{\prime}\)のように表すことにする。
直線\(PQ\)および内接円\(I\)の反転後の図形である円\(P^{\prime}Q^{\prime}I\)と内接円\(I\)が接することを示せばよい。

内接円半径を\(r\)とおくと、この反転により、

直線\(BC\),直線\(APB\),直線\(AQC\)は\(I\)からの距離が\(r\)の直線なので、それぞれ、\(BC,CA,AB\)に接する円にうつる。すなわち、

円\(IB^{\prime}C^{\prime}\),円\(IB^{\prime}P^{\prime}A^{\prime}\),円\(IC^{\prime}Q^{\prime}A^{\prime}\)はどれも直径\(r\)の円である。\(\cdots①\)

また、円\(BPI\)と円\(CQI\)は直線\(AI\)に点\(I\)で接するので、これらの反転後の図形を考えると、(\(A^{\prime}\)はもちろん直線\(AI\)上にあり、)

直線\(P^{\prime}B^{\prime}\)と直線\(Q^{\prime}C^{\prime}\)は直線\(AA^{\prime}I\)と平行となる。\(\cdots②\)

\(①②\)より、図のよう、4角形\(IB^{\prime}P^{\prime}A^{\prime}\)と4角形\(IC^{\prime}Q^{\prime}A^{\prime}\)は円に内接する台形なので等脚台形。ここから\(\triangle IP^{\prime}Q^{\prime}\equiv\triangle A^{\prime}B^{\prime}C^{\prime}\)がわかるので、

円\(\triangle IP^{\prime}Q^{\prime}\)と円\(A^{\prime}B^{\prime}C^{\prime}\)の半径は等しい。\(\cdots③\)

ところで\(①\)より、円\(IB^{\prime}C^{\prime}\),円\(IB^{\prime}P^{\prime}A^{\prime}\),円\(IC^{\prime}Q^{\prime}A^{\prime}\)の中心をそれぞれ\(O_1,O_2,O_3\)とすれば、\(O_1B^{\prime}O_2I,O_2A^{\prime}O_3I,O_3C^{\prime}O_1I\)は一辺\(r/2\)のひし形となる。
ここで、\(O_1B^{\prime}OC^{\prime}\)が一辺\(r/2\)のひし形となるように点\(O\)をとれば、\(OC^{\prime},B^{\prime}O_1,O_2I,A^{\prime}O_3\)は平行かつ長さが\(r/2\)となるので、\(OC^{\prime}O_3A^{\prime}\)は一辺\(r/2\)のひし形となる。
以上より、\(OA^{\prime}=OB^{\prime}=OC^{\prime}=r/2\)となり、\(\triangle A^{\prime}B^{\prime}C^{\prime}\)の外接円は中心\(O\),半径\(r/2\)の円である。

(注)この図は立方体が浮かび上がっているみたいですね!このように、半径が等しい円が一点で交わるとき、2円の交点3つを通る円の半径は元の円の半径となるのは有名な事実です。

\(③④\)より、円\(IP^{\prime}Q^{\prime}\)の半径は\(r/2\)で、内接円\(I\)の半径は\(r\)。その差\(r/2\)は中心間距離(すなわち円\(IP^{\prime}Q^{\prime}\)の半径)\(r/2\)に等しいので、円\(IP^{\prime}Q^{\prime}\)と内接円Iは接する。
∴反転前の図形を考えて、直線\(PQ\)と内接円\(I\)は接する。

このように、反転後の世界の図を描いて、綺麗な性質を見つけていくのが反転の楽しいところです。反転に最近、はまり始めたので今回は反転を用いた方針が真っ先に思い付きましたが、元の図であっても

・(方べきの定理とその逆を使えば実は)\(B,C,P,Q\)は同一円周上
・(結論から最終的には)内接円\(I\)は\(\triangle APQ\)の傍接円にもなるはず

などの様々な性質がありますから、反転を使わない方針もあるかもしれません。別解・感想などがありましたら、是非、コメントをお送りください!

JMO予選1991問3

\(\triangle ABC\)の重心を\(G\)とする。\(GA=2\sqrt{3},GB=2\sqrt{2},GC=2\)が成り立つとき、\(\triangle ABC\)の面積を求めよ。

【解法】

発想を必要とする初等幾何の計量問題では、角度にしろ長さにしろ図形の状況より「数値」がヒントとなっていることも多いです。
今回の場合、\(GA^2=GB^2+GC^2\)より、\(GA,GB,GC\)を三辺とする3角形は直角三角形であることがわかります。よって、\(GA,GB,GC\)を三辺とする直角三角形を実際に図の中に作ってみましょう。
「中線は\(2\)倍に伸ばせ」(そうすれば平行四辺形が出来る)という格言もありますし、\(BC\)の中点を\(M\)とすると重心の性質より、\(AG:GM=2:1\)ですから、\(GM\)を\(M\)の方に\(2倍\)に伸ばし、その先の点を\(D\)としてみましょう。すると、\(GD=2\sqrt{3}\)となり、さらに\(GBDC\)が平行四辺形(∵対角線が中点で交わる)となることから、\(BD=2\)もわかります。

\(∴\ \triangle BDG\)は3辺が\(2,2\sqrt{2},2\sqrt{3}\)の直角三角形となりました!ちなみにその面積は\(2\sqrt{2}\)ですね。
ここまで来ればもう求まったも同然です。\(GBDC\)が平行四辺形であることから\(\triangle GBC=\triangle BDG=2\sqrt{2}\)となることと、\(G\)が\(\triangle ABC\)の重心であるから\(\triangle GBC=\triangle GCA=\triangle GAB\)であることを考えれば、\( \triangle ABC=2\sqrt{2}\times3=6\sqrt{2}\)となりますね!

それではもう1問、僕が昔に出会って感動した、似たような考え方で出来る問題を考えてみましょう。昔に出会った問題すぎて、出典がどこだったかもはや覚えていないのですが、そこそこ有名な問題らしいので、知ってる人も多いかも知れません。

Q.正三角形\(ABC\)の内部の点\(P\)は\(PA=3,PB=4,PC=5\)を満たす。\(\triangle ABC\)の面積を求めよ。

\(3\)辺が\(3,4,5\)の直角三角形を作りたいですね。回転合同のお時間です。
\(\triangle APB\)を\(A\)中心に\(60^{\circ}\)回転して出来る三角形を\(\triangle ADC\)としましょう。\(DC=4\)となり、\(\triangle APD\)は一辺\(3\)の正三角形となることから\(\triangle PCD\)が\(3\)辺が\(3,4,5\)の直角三角形となりました!


同様に\(\triangle BPC\)を\(B\)中心に\(60^{\circ}\)回転して\(\triangle BEA\)を、\(\triangle CPA\)を\(C\)中心に\(60^{\circ}\)回転して\(\triangle CFB\)を作ることにより、六角形\(AEBFCD\)が完成しますが、この作り方により、六角形の面積は\(\triangle ABC\)の面積の\(2\)個分です。

一方で、さっきのように直角三角形および正三角形が現れることから、図のようにこの六角形は一辺\(3\)の正三角形、一辺\(4\)の正三角形、一辺\(5\)の正三角形、\(3\)辺が\(3,4,5\)の直角三角形\(3\)個で構成されていることから面積が

$$\frac{\sqrt{3}}{4}(3^2+4^2+5^2)+3×4÷2×3=\frac{25\sqrt{3}}{2}+18$$

と求まりますから、\(\triangle ABC\)の面積はこの半分の\(\frac{25\sqrt{3}}{4}+9\)とわかります!
無理矢理三角形を作るところがなんだかパズルみたいで楽しいですね。

JMO予選1991問4

$$\frac{1}{x+1}+\frac{1}{y}+\frac{1}{(x+1)y}=\frac{1}{1991}\cdots①$$
の自然数解の個数を求めよ。

【略解】

まずは分母を払い、式を整理してみましょう。

\begin{eqnarray}①&⇔&1991(y+x+1+1)=(x+1)y\\&⇔&xy-1991x-1990y=1991\times2\\ &⇔&(x-1990)(y-1991)=1991\times1992\end{eqnarray}

この最後の変形は、よくある受験数学の問題の基本ですね。\(x,y\)の値は\(x-1990\)と\(y-1991\)の値と一対一対応しており、\(x-1990\)と\(y-1991\)はかけて\(1991\times1992\)となる自然数ですから、結局求める個数は\(1991\times1992\)の正の約数の個数です。

\begin{eqnarray} 1991&=&11\times181 \\1992&=&2^3\times3\times83 \end{eqnarray}

ですから
$$ 1991\times 1992=2^3\times3\times11\times83\times181$$
より、求める個数は\(4\times2\times2\times2\times2=64\)となりますね。

このように、下手なことを考えず、受験数学的にやればできると思ったときはそのままやってしまうことも時には重要です。似たような例をもう1問見てみましょう。

Q.

$$\frac{201}{a}+\frac{3}{b}$$

が自然数となる自然数の組\((a,b)\)の個数を求めよ。
(JJMO予選2013問8)

中学生の問題とはいえ侮れません。
\(a,b,n\)の方程式

$$\frac{201}{a}+\frac{3}{b}=n\cdots①$$

の自然数解の個数を求めると考えれば先ほどの問題のちょっとした応用ですね。

\begin{eqnarray} ①&⇔&3a+201b=abn\\&⇔&abn^2-3an-201bn=0\\&⇔&(an-201)(bn-3)=603\end{eqnarray}

\(an-201\)と\(bn-3\)はかけて\(603\)となる正の整数ですから、

$$ (an-201,bn-3)=(1,603),(3,201),(9,67),(67,9),(201,3),(603,1)$$


にしぼれ、

$$ (an,bn)=(202,606),(204,204),(210,70),(268,12),(402,6),(804,4)\cdots②$$


となります。よって、\(a,b,n\)の自然数の個数は、一般に、\((an,bn)=(x,y)\)のとき、\(n\)が\(x,y\)の公約数となることを考えれば、\((a,b,n)\)の個数は\(x,y\)の最大公約数の正の約数の個数となることから、②より求める個数は、\(4+12+8+3+4+3=34\)個とわかりますね。
中学生にとっては、このような受験数学でよくある不定方程式の式変形は慣れていないでしょうし、なかなか難しい問題だったかもしれません。
このような典型問題として処理できる問題は学年が上であるほど落としたくないですね。

Problem1.1

ディラック行列の次元\(n\)は偶数でなければならないことを示せ。

【略解】

ディラック行列の定義より

$$\alpha^j\alpha^k=-\alpha^k\alpha^j$$

である。両辺\(\det\)を取って

$$\det(\alpha^j)\det(\alpha^k)=(-1)^n\det(\alpha^k)\det(\alpha^j)$$

となる。よって\((-1)^n=1\)なので\(n\)は偶数である。

第2問

図において\(AC=AD\)である。このとき\(?\)は何度か?

(算数オリンピック1995トライアル)

【方針1】

図のように\(\triangle ACE\)が正三角形になるように点\(E\)を取る。

\(\angle EAD=150^{\circ}\)で\(\triangle AED\)は二等辺三角形だから\(\angle AED=\angle ADE=\angle EDB=15^{\circ}\)

よって錯覚が等しいから\(AE,DB\)は平行であり、\(AEBD\)は台形

錯覚から\(\angle EAB=\angle ABD=15^{\circ}\)なので\(\triangle AFE,\triangle DFB\)はともに二等辺三角形であり、このことから\(AEBD\)は等脚台形とわかる。

よって、左右は対称だから\(\angle ECB=\angle ACD=45^{\circ}\)であり、\(\angle ECA=60^{\circ}\)と合わせて\(\angle ACB=105^{\circ}\)とわかる。

【方針2】

\(BD\)上に\(\angle ECD=15^{\circ}\)となるように点\(E\)を取る。\(\triangle ACD\)は直角二等辺三角形なので\(\angle EDC=15^{\circ}\)なので\(\triangle ECD\)は二等辺三角形

よって、ニ辺夾角相等から\(\triangle ACE\equiv \triangle ADE\)であり、\(\angle CAE=\angle DAE=45^{\circ}\)

また、\(\angle CED=150^{\circ}\)なので\(\angle CEB=30^{\circ},\angle AEB=75^{\circ} \)であり、\(\angle BAE=90^{\circ}\)

\(E\)から\(AC\)に下ろした垂線の足を\(H\)、\(AB\)と\(AH\)の交点を\(F\)とおく。

\(\angle AFH=45^{\circ}\)なので\(\triangle AFH\)と\(\triangle AEH\)は合同な直角二等辺三角形である。よって\(\triangle CEF\)において\(CH\)は垂線であり、中線でもあるから二等辺三角形。\(ECH=30^{\circ}\)も合わせると\(\triangle CEF\)は正三角形である。

よって、ニ辺夾角相等から\(\triangle FBE\equiv \triangle CBE\)なので\(\angle BCE=135^{\circ}\)であり、\(\angle BCA=105^{\circ}\)とわかる。

JMO予選1991問2

$$x^{199}+10x-5=0\cdots①$$

の全ての解(199個)の199乗の和を求めよ。

【略解】

いくら

  • 対称式は基本対称式で表せる
  • 基本対称式の値は解と係数の関係からわかる

とはいえ、\(199\)乗のこの問題でその方針は厳しいでしょう。解を\(a_1,a_2,\cdots,a_{199}\)とおけば、求めたいのは\(a_1^{199},a_2^{199},\cdots,a_{199}^{199}\)の和ですから、\(a_1^{199},a_2^{199},\cdots,a_{199}^{199}\)を無理やり作り出すことがポイントです。

解\(a_k\)(ただし、\(1≦k≦199)\)を①に代入すると、\(a_k^{199}+10a_k-5=0\)より、\(a_k^{199}=-10a_k+5\)となります。

∴この式の\(k\)に\(1\)から\(199\)を代入していき、それらの式を足し合わせれば、

$$ a_1^{199}+a_2^{199}+\cdots+a_{199}^{199}=-10(a_1+a_2+\cdots+a_{199})+5×199=995$$

(∵解と係数の関係より\(a_1+a_2+\cdots+a_{199}=0)\)

と求められます。では、これならどうでしょうか…?

Q. JMO予選1991年問2

$$x^{199}+10x-5=0\cdots①$$

の全ての解(\(199\)個)の\(200\)乗の和を求めよ。

こちらは「\(200\)乗」を作り出すために、もう一工夫必要です。①を\(x\)倍して\(200\)乗を作ると、

$$ x^{200}+10x^2-5x=0\cdots②$$


となりますが、①の解は当然②でもあるので、\(a_k\)(ただし、\(1≦k≦199\))を②に代入して、

$$ a_k^{200}+10a_k^2-5a_k=0$$

より、

$$a_k^{200}=-10a_k^2+5a_k$$

が得られます。∴\(\ \)先程と同様に、この式の\(k\)に\(1\)から\(199\)を代入していき、それらの式を足し合わせれば、

$$
a_1^{200}+a_2^{200}+\cdots+a_{199}^{200}=-10(a_1^2+a_2^2+\cdots+a_{199}^2)+5\times(a_1+a_2+\cdots+a_{199})\cdots③$$


となりますね。\(a_1+a_2+\cdots+a_{199}=0\)は先ほど求めましたが、\(a_1^2+a_2^2+\cdots+a_{199}^2\)の方も解と係数の関係で

$$a_1^2+a_2^2+\cdots+a_{199}^2=(a_1+a_2+\cdots+a_{199})^2-2(a_1a_2+a_1a_3+\cdots+a_{198}a_{199})=0^2-0=0$$


とわかりますから、③より、求める値も\(0\)とわかりますね!
一般に、①の式から解と係数の関係で、\(a_1\sim a_{199}\)の\(197\)次の基本対称式の値は\(0\)ですから、解の\(1\)乗和から解の\(197\)乗和は全て\(0\)と考えられます。(∵\(a_1\sim a_{199}\)の\(197\)次以下の基本対称式で表せる)にも関わらず、\(199\)乗和が突然\(995\)という値になるなんてそんな数たちがあることがなんとなく不思議ですね。ところで\(198\)乗和はどうなってるでしょうか。\(200\)乗和の方針を真似れば出来るはずです。答えは\(-1980\)になりましたか?

JMO予選1991問1

\( A=999\cdots999(9が81個)\)とする。\(A^2\)の各位の和を求めよ。

【略解】

言われてみれば当たり前なのですが、一度経験しないと盲点になりがちなのが、\(A=10^{81}-1\)と表せるということです。これを用いれば、


$$ A^2=(10^{81}-1)^2=10^{162}-2\times 10^{81}+1=99\cdots9980\cdots0001$$


(\(9\)と\(0\)は\(80\)個ずつ)
となりますから、求める各位の和は
\(9×80+8+1=729\)となりますね。
ここまで真面目に考えずとも、

\begin{eqnarray}9^2&=&81\\ 99^2&=&9801\\ 999^2&=&998001\\ 9999^2&=&99980001\end{eqnarray}


のような規則が成り立っていることから答えを出すことも可能ですね。
ところで、この数の並びを見ていると


\begin{eqnarray} 8+1&=&9\\ 98+01&=&99\\998+001&=&999\\ 9998+0001&=&9999
\end{eqnarray}

のような規則が成り立っていることに気付きます。

実はこれには名前がついていて、このように、二乗した数が\(2n\)桁なら前半と後半を\(n\)桁ずつに、\(2n+1\)桁なら前半\(n\)桁と後半\(n+1\)桁に分けたあとに、足すことによって得られる数がもとの数に一致するとき、これを「カプレカ数」と呼びます。
先ほどの規則により、\(9,99,999,9999,\cdots\)は全てカプレカ数とわかりますね!
では、皆さんも、カプレカ数を見つけてみましょう。
※「カプレカ数」の概念は他にもあり、別のものを指す場合もあるので注意が必要です。

Q. \(45,55,4950,5050\)はカプレカ数である。ここからあと\(2\)つ、カプレカ数を見つけてみよ。

【略解】


\begin{eqnarray} 45&=&1+2+\cdots+9\\
55&=&1+2+\cdots+10\\ 4950&=&1+2+\cdots+99\\ 5050&=&1+2+\cdots+100
\end{eqnarray}

であることに気づけば、


\begin{eqnarray} 1+2+\cdots+999&=&499500\\ 1+2+\cdots+1000&=&500500
\end{eqnarray}


がカプレカ数であると予想でき、実際、

\begin{eqnarray} 499500^2&=&249500250000
\end{eqnarray}

なので


\begin{eqnarray} 499500&=&249500+250000\\
500500^2&=&250500250000\\
500500&=&250500+250000
\end{eqnarray}
より、確かに、\(499500\)や\(500500\)はカプレカ数であることがわかりますね。この先もこの規則は続いていき、「三角数かつカプレカ数であるような数」が無限個存在するなんてこともわかります!以上のことをまとめると…

  • \(99\cdots99\)はカプレカ数
  • \(1\sim 99\cdots99\)までの和もカプレカ数
  • \(1\sim100\cdots00\)までの和もカプレカ数

といったことがわかりました。
他の三角数で成り立つわけでもなく、このような性質があるのはなんともきれいな反面、不思議な気がしますね。

第1問 

図の三角形ABDにおいて、AB=CDである。このとき、?は何度か?

(算数オリンピック1993ファイナル)

【方針1】

等しい長さがあるので三角形\(ABC\)と合同な三角形を用意してくっつけましょう。  

そうすると四角形\(ACED\)が等脚台形であることが分かりますので、錯覚定理より、

$$\angle ADC=\angle DCE=40^{\circ}$$

【方針2】

方針1と同様に三角形\(ABC\)と合同な三角形を用意する。しかし、ここでは方針1とは逆になるようにくっつける。

すると\(AC=CF\)なので三角形\(ACF\)は\(C\)を頂点とする二等辺三角形であり、

$$\angle CAF=\angle CFA=40^{\circ}$$

三角形\(CFG\)の外角を考えて、\(\angle CGA=70^{\circ}\)なので\(AC=AG\)

また、\(\angle BAG=\angle BGA=70^{\circ}\)なので三角形\(ABG\)は\(B\)を頂角とする二等辺三角形で\(AB=AG\)

よって、三角形\(ABG\)と三角形\(ADC\)において、

  • \(BG=DC\)
  • \(AG=AC\)
  • \(\angle AGB=\angle ACD\)

なのでニ辺夾角相当で\(\triangle ABG\equiv \triangle ADC\)

したがって、対応角から

$$\angle ADC=\angle ABG=40^{\circ}$$

とわかる。

このように同じような方針でもくっつけ方次第でそのあとの難易度が全然違うことがあるのでしっかり検討してからくっつけるようにしましょう!!

また、これ以外の別解があれば教えてください!!

JMO予選1990問12

$$a_1=1,a_{n+1}=a_n+\frac{1}{a_n} \ \ (n\ge1)$$

で定められた数列\(\{a_n\}\)に対し,\([a_{100}]\)の値を求めよ.

【思考・方針】

$$a_2=2,a_3=\frac{5}{2},a_4=\frac{29}{10}\cdots$$

と求めて手が止まった人も多いでしょう.

ざっくりとしたイメージも入りますが

\(\cdot\ a_n\)は単調増加

\(\cdot\ a_n\)が大きいほど,\(a_{n+1}\fallingdotseq a_n\)

\(\cdot\ \)もっと言えば,\(a_{n+1}\fallingdotseq a_n+\frac{1}{a_n}\)であるから,

\(a_n=5\)なら,

$$a_{n+1}=5+\frac{1}{5}$$

$$a_{n+2}\fallingdotseq5+\frac{1}{5}+\frac{1}{5}$$

$$a_{n+3}\fallingdotseq5+\frac{1}{5}+\frac{1}{5}+\frac{1}{5}$$

のようになっていく.すると

$$a_n\fallingdotseq1+\frac{1}{1}+\frac{1}{2}+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\frac{1}{3}+\frac{1}{3}+\frac{1}{4}+\cdots (全部で項の数はn)$$

のように考えられる.

\(∴\ (1+2+\cdots+13=91より)\)\(a_{100}\fallingdotseq14+\frac{8}{14}\)から答えは\(14\)と予想できます!

このように,答えだけならある程度予想は実は出来るのですが,ちょっと怪しい(誤差がでて\(13\)や\(15\)でもおかしくなさそう)ですから,真面目に考えてみましょう.

\(a_1\)からスタートして「増えてく分」を足し合わせると,与えられた漸化式から\(a_n=a_1+\frac{1}{a_1}+\frac{1}{a_2}+\cdots+\frac{1}{a_{n-1}}\)ですが,この\(a_1+\frac{1}{a_1}+\frac{1}{a_2}+\cdots+\frac{1}{a_{n-1}}\)の部分を\(1+\frac{1}{1}+\frac{1}{2}+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\frac{1}{3}+\cdots\)と近似したのが先程の考え方ですが,もうすこし真面目に評価できないか,つまり\(14\)以上\(15\)未満を示せないかと考えてもこのままではなかなか難しいわけです.そこで,近似の精度をあげるため,二乗してみます.

(与えられた式は確かに二乗したくなる式ではありますね.)

$$a_{n+1}^2=a_n^2+\frac{1}{a_n ^2}+2$$

\(∴\ \)この式の\(n\)に\(1\sim99\)を代入したものを足し合わせることで,先程と似た式,

\begin{eqnarray}a_{100}^2&=&a_1^2+\frac{1}{a_1 ^2}+\cdots+\frac{1}{a_{99}^2}+2\times99\\∴\ a_{100}^2&=&\frac{1}{a_1 ^2}+\cdots+\frac{1}{a_{99} ^2}+199\end{eqnarray}

が得られます.こうすれば,我々の予想\([a_{100}]=14\)を示すには

$$\frac{1}{a_1 ^2}+\cdots+\frac{1}{a_{99} ^2}
が26未満 $$

を示せば良いですが,これは先程と比較しても小さい数の和ですからなんとかなりそうです!

\(n\ge 2\)のとき,\(\frac{1}{a_n ^2}\le\frac{1}{a_2 ^2}=\frac{1}{4}\)を用いれば,

$$\frac{1}{a_1 ^2}+\cdots+\frac{1}{a_{99} ^2}\le1+98\times\frac{1}{4}=25.5<26$$

となり,なんとか,\(196\le a_{100}^2<225\)が示せましたから,答えは\(14\)とわかりました!

難しい道具は一切使っていませんが,かなりの難問と言っていいでしょう.それではもう1問,同じ漸化式にまつわる似たような問題を考えてみましょう.

今回は,日本の数学オリンピックの類題が海外の数学オリンピックで出題された例です.

Q.\(\ \ \)漸化式

$$a_{n+1}=a_n+\frac{1}{a_n} \ \ (n\ge0)$$

を満たす数列\(\{a_n\}\)に対し,初期値\(a_0\)がどんな正の実数であっても,\(a_{1996}>63\)を示せ.

(1996年南半球数学オリンピック問2)

下からの評価のみで良いこともあり,先ほどよりも2乗をしたくなるのではないのでしょうか?というわけで,先ほどの問題をみたあとなら簡単ですね.漸化式を2乗すると

$$a_{n+1}^2=a_n^2+\frac{1}{a_n ^2}+2$$

\(∴\ \)この式の\(n\)に\(0\sim1995\)を代入したものを足し合わせることで,

\begin{eqnarray}a_{1996}^2&=&a_0^2+\frac{1}{a_0 ^2}+\cdots+\frac{1}{a_{1995}^2}+2\times1996\\&\ge&3992>3969=63^2\end{eqnarray}

より,\(a_0>0\)と漸化式を繰り返し用いて\(a_{1996}>0\)を加味すれば,\(a_{1996}>63\)が示せますね!

先ほどよりも不等式評価につまらずにすむあたり,解きやすくなっていますね.ただし,日本の方は答えだけでよかった分,どちらの方が難しいかは微妙なところな気もしますが.