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量子力学の経路積分

非相対論的な1次元1粒子系の経路積分について考える。ハミルトニアンは

$$H(P,Q)=\frac{1}{2m}P^2+V(Q)\tag{1}$$

とする。ここで、\(P,Q\)は運動量と位置の演算子で\([Q,P]=i\)とする。(ここで、\(\hbar=1\))としている。

時刻\(t^{\prime}\)で位置\(q^{\prime}\)にいる粒子が、時刻\(t^{\prime\prime}\)で位置\(q^{\prime\prime}\)にいる確率振幅を計算したい。これはシュレディンガー描像では\(\langle q^{\prime\prime}|e^{-iH(t^{\prime\prime}-t^{\prime})}|q^{\prime}\rangle\)で計算できる。ここで、\(|q^{\prime}\rangle,|q^{\prime\prime}\rangle\)はそれぞれの位置にいる状態である。

ハイゼンベルグ描像に切り替えよう。位置演算子は時間発展して\(Q(t)=e^{iHt}Qe^{-iHt}\)で表され、\(Q(t)\)の固有状態\(|q,t\rangle\)を\(Q(t) |q,t\rangle =q |q,t\rangle \)で定義する。(固有状態が時間により変わるというだけで状態が時間発展しているわけではないことに注意しよう。)するとハイゼンベルグ描像とシュレディンガー描像の固有状態は\(|q,t\rangle=e^{iHt}|q\rangle\)で関係付く。なので、計算する確率振幅はハイゼンベルグ描像では\(\langle q^{\prime\prime},t^{\prime\prime}|q^{\prime},t^{\prime}\rangle\)で表される。

経路積分による計算は時間を分割するところから始まる。時間間隔\(T\equiv t^{\prime\prime}-t^{\prime}\)を\(N+1\)等分することを考えよう。\(\delta t=T/(N+1)\)として位置固有状態の完全系を入れることで

$$ \langle q^{\prime\prime},t^{\prime\prime}|q^{\prime},t^{\prime}\rangle =\int \prod_{j=1}^Ndq_j\langle q^{\prime\prime}|e^{-iH\delta t}|q_N\rangle\langle q_N|e^{-iH\delta t}|q_{N-1}\rangle\dots\langle q_1|e^{-iH\delta t}|q^{\prime}\rangle\tag{2}$$

と変形できる。ここで、積分範囲は\(-\infty\sim \infty\)である。

まず、\(\langle q_2|e^{-iH\delta t}|q_1\rangle\)はどのように計算できるか考えよう。Campbell-Baker-Hausdorf の公式

$$\exp(A+B)=\exp(A)\exp(B)\exp(-\frac{1}{2}[A,B]+\cdots)\tag{3}$$

を用いると

$$\exp(-iH\delta t)=\exp\left[-i\frac{\delta t}{2m}P^2\right]\exp[-i\delta tV(Q)]\exp[O(\delta t^2)]\tag{4}$$

とできるが\(\delta t\)が小さいという極限では最後の\(\exp\)は無視できるので運動量固有状態の完全系を挟むことにより、

\begin{eqnarray} \langle q_2|e^{-iH\delta t}|q_1\rangle&=&\int dp_1\langle q_2|e^{-i(\delta t/2m)P^2}|p_1\rangle \langle p_1|e^{-i\delta tV(Q)}|q_1\rangle\\ &=&\int dp_1e^{-i(\delta t/2m)p_1^2}e^{-i\delta tV(q_1)}\langle q_2|p_1\rangle \langle p_1|q_1\rangle\\ &=&\int \frac{dp_1}{2\pi}e^{-i(\delta t/2m)p_1^2}e^{-i\delta tV(q_1)}e^{ip_1(q_2-q_1)} \\ &=&\int \frac{dp_1}{2\pi}e^{-iH(p_1,q_1)\delta t}e^{ip_1(q_2-q_1)} \tag{5} \end{eqnarray}

と計算できる。ここで、\(\langle q|p\rangle =(2\pi)^{-1/2}\exp(ipq)\)を用いた。

もし、もっと一般的な\(P,Q\)を含むような項があるハミルトニアンを考える場合は\(P,Q\)の順序について考える必要がある。このような場合は例えば量子ハミルトニアン\(H(P,Q)\)と古典ハミルトニアン\(H(p,q)\)の間の関係を

$$H(P,Q)\equiv \int \frac{dx}{2\pi}\frac{dk}{2\pi}e^{ixP+ikQ}\int dpdq\ e^{-ixp-ikq}H(p,q)\tag{6}$$

で定めことにする。(Weyl順序)このようにすると(5)式の最終形の\(H(p_1,q_1)\)は\(H(p_1,\bar{q}_1)\)に修正されることになる。ここで、\(\bar{q}_1=\frac{1}{2}(q_1+q_2)\)である。この修正により、\(\delta t\to 0\)での極限は変わらないことに注意しよう。つまり、古典と量子でハミルトニアンはWeyl順序の関係がある理由は一切ないわけであるがWeyl順序などを考える上では\(\delta t\to 0\)の下では経路積分の結果は変わらないわけである。

結局、求めたい確率振幅は

$$\langle q^{\prime\prime},t^{\prime\prime}|q^{\prime},t^{\prime}\rangle=\int \prod^N_{k=1}dq_k \prod^N_{j=0}\frac{dp_j}{2\pi}\ e^{ip_j(q_{j+1}-q_j)}e^{-iH(p_j,\bar{q}_j)\delta t}\tag{7}$$

となる。ここで、\(\bar{q}_j=\frac{1}{2}(q_j+q_{j+1}),q_0=q^{\prime},q_{N+1}=q^{\prime\prime}\)である。さらに\(\delta t\to 0\)とすると

$$\langle q^{\prime\prime},t^{\prime\prime}|q^{\prime},t^{\prime}\rangle=\int {\mathcal{D}}q{\mathcal{D}}p\exp\left[i\int _{t^{\prime}}^{t^{\prime\prime}}dt\left(p(t)\dot{q}(t)-H(p(t),q(t))\right)\right]\tag{8}$$

となる。これは\(\delta t\to 0\)での略記であり、位相空間において\(q(t^{\prime})=q^{\prime}\)と\(q(t^{\prime\prime})=q^{\prime\prime}\)の条件の下での任意の経路について積分しているわけである。

もし、\(H(p,q)\)が運動量\(p\)について二次であれば\(p\)についての積分はガウス積分により、簡単に実行できる。実際にガウス積分を実行するときは平方完成してから行うわけであるが

$$A(p-B)^2+C$$

の一項目はガウス積分により\(q\)に依存しないので、\({\mathcal{D}}q\)に吸収させることにする。\(C\)の部分が指数部分になるがこれは定常点

$$0=\frac{\partial}{\partial p}\left(p\dot{q}-H(p,q)\right)=\dot{q}-\frac{\partial H(p,q)}{\partial p}\tag{10}$$

での\(p\dot{q}-H(p,q)\)の値である。よって、\( p\dot{q}-H(p,q) \)はラグランジアンになり、

$$ \langle q^{\prime\prime},t^{\prime\prime}|q^{\prime},t^{\prime}\rangle=\int {\mathcal{D}}q\exp\left[i\int _{t^{\prime}}^{t^{\prime\prime}}dt\ L(\dot{q}(t),q(t))\right]\tag{9} $$

となる。ここまで、\(q,p\)の交換関係を認めて経路積分を導いてきたが、逆にこの経路積分を認めることにより、古典系から量子系の計算をすることができる。その方法が経路積分による量子化である。

さて、(8)と(9)を拡張することを考えよう。例えば\(t^{\prime}<t_1<t^{\prime\prime}\)において\(\langle q^{\prime\prime},t^{\prime\prime}|Q(t_1)|q^{\prime},t^{\prime}\rangle\)は

$$ \langle q^{\prime\prime},t^{\prime\prime}|Q(t_1)|q^{\prime},t^{\prime}\rangle =
\langle q^{\prime\prime},t^{\prime\prime}|e^{-iH(t^{\prime\prime}-t_1)}Qe^{-iH(t_1-t^{\prime})}|q^{\prime},t^{\prime}\rangle \tag{11}$$

であるが全く同じように位置固有状態の完全系を挿入したりして計算することで

$$ \langle q^{\prime\prime},t^{\prime\prime}|Q(t_1)|q^{\prime},t^{\prime}\rangle =\int {\mathcal{D}}p{\mathcal{D}}q \ q(t_1)e^{iS}\tag{12}$$

となることが分かる。ここで、\(S=\int _{t^{\prime}}^{t^{\prime\prime}}dt\ (p\dot{q}-H)\)とした。さらに\( \int {\mathcal{D}}p{\mathcal{D}}q \ q(t_1)q(t_2)e^{iS} \)を考えてみると今度は\(t_1,t_2\)の順序が関係してくるので

$$ \int {\mathcal{D}}p{\mathcal{D}}q \ q(t_1)q(t_2)e^{iS} =\langle q^{\prime\prime},t^{\prime\prime}|TQ(t_1)Q(t_2)|q^{\prime},t^{\prime}\rangle \tag{13}$$

となる。ここで、\(T\)は時間順序積である。

さらなる応用のために汎関数微分を用いよう。まず、汎関数微分\(\delta/\delta f(t)\)を

$$\frac{\delta}{\delta f(t_1)}f(t_2)=\delta(t_1-t_2)\tag{14}$$

により、定義する。ここで、\(\delta (t)\)はディラックのデルタ関数である。また、チェインルールのような普通の微分で成り立つような性質が成り立つと仮定する。

外力を考えることにより、ラグランジアンを修正する。

$$H(p,q)\to H(p,q)-f(t)q(t)-h(t)p(t)\tag{15}$$

ここで、\(f(t),h(t)\)は特定の関数である。このときの確率振幅を

$$\langle q^{\prime\prime},t^{\prime\prime}|q^{\prime},t^{\prime}\rangle_{f,h}=\int {\mathcal{D}}p{\mathcal{D}}q\exp\left[i\int _{t^{\prime}}^{t^{\prime\prime}}dt\left(p\dot{q}-H+fq+hp\right)\right]\tag{16}$$

と書くことにする。すると汎関数微分が次のように計算できる。

\begin{eqnarray} \frac{1}{i}\frac{\delta}{\delta f(t_1)}\langle q^{\prime\prime},t^{\prime\prime}|q^{\prime},t^{\prime}\rangle_{f,h}&=&\int {\mathcal{D}}p{\mathcal{D}}q\ q(t_1)e^{i\int dt\left[p\dot{q}-H+fq+hp\right]}\\ \frac{1}{i}\frac{\delta}{\delta f(t_1)}\frac{1}{i}\frac{\delta}{\delta f(t_2)}\langle q^{\prime\prime},t^{\prime\prime}|q^{\prime},t^{\prime}\rangle_{f,h}&=&\int {\mathcal{D}}p{\mathcal{D}}q\ q(t_1)q(t_2)e^{i\int dt\left[p\dot{q}-H+fq+hp\right]}\\ \frac{1}{i}\frac{\delta}{\delta h(t_1)}\langle q^{\prime\prime},t^{\prime\prime}|q^{\prime},t^{\prime}\rangle_{f,h}&=&\int {\mathcal{D}}p{\mathcal{D}}q\ p(t_1)e^{i\int dt\left[p\dot{q}-H+fq+hp\right]} \tag{17}\end{eqnarray}

この微分操作のあとに自由に\(f(t),h(t)\)を変えることができるので一般には

\begin{align} \langle q^{\prime\prime},t^{\prime\prime}&|TQ(t_1)\dots P(t_n)\dots|q^{\prime},t^{\prime}\rangle\\ &=\left.\frac{1}{i}\frac{\delta}{\delta f(t_1)}\cdots\frac{1}{i}\frac{\delta}{\delta h(t_n)}\cdots\langle q^{\prime\prime},t^{\prime\prime}|q^{\prime},t^{\prime}\rangle_{f,h}\right|_{f=h=0} \tag{18}\end{align}

とできる。

今、興味があるのは\(t^{\prime}\to -\infty,t^{\prime\prime}\to +\infty\)で始状態と終状態が真空のときである。これは位置固有状態の完全系を挿入すると

$$\langle 0|0\rangle_{f,h} =\lim_{ \substack{t^{\prime}\to -\infty \\ t^{\prime\prime}\to +\infty}}\int dq^{\prime\prime}dq^{\prime}\psi_0^*(q^{\prime\prime})\langle q^{\prime\prime},t^{\prime\prime}|q^{\prime},t^{\prime}\rangle_{f,h}\psi_0(q^{\prime})\tag{19} $$

と計算できる。ここで、\(\psi_0(q)=\langle q|0\rangle\)は真空状態の波動関数である。このあと(19)式を変形すればよいわけであるがこれはなかなかめんどくさい。そこでここでは\(\epsilon\)トリックといううまい方法を用いて計算することにする。

まず、ハミルトニアン\(H\)の固有値が\(E_n\)の状態を\(|n\rangle\)と表すことにする。ここで、\(E_n=0\)が成り立つと仮定しよう。(成り立たなくてもシフトをすればよいだけである。)すると位置固有状態はこの\(|n\rangle\)を用いて次のように計算できる。

\begin{eqnarray} |q^{\prime},t^{\prime}\rangle &=&e^{iHt^{\prime}}|q^{\prime}\rangle\\ &=&\sum^{\infty}_{n=0}e^{iHt^{\prime}}|n\rangle\langle n|q^{\prime}\rangle\\ &=&\sum^{\infty}_{n=0}\psi_n^*(q^{\prime})e^{iE_nt^{\prime}}|n\rangle \tag{20}\end{eqnarray}

ここで、\(\psi_n(q)=\langle q|n\rangle\)は\(|n\rangle\)の波動関数である。今、\(H\)を\((1-i\epsilon)H\)に置き換えることを考えよう。\(\epsilon\)は微小な正の値としておく。すると面白いことに(20)式で\(E_n\to E_n(1-i\epsilon)\)と置き換えてから\(t^{\prime}\to -\infty\)にすると\(\sum\)の真空状態以外はすべて\(e^{-\infty}\)がかかって消えてしまうのである。よって、その極限の下で(20)式は\(\psi_0^*(q^{\prime})|0\rangle\)になる。全く同様にブラの方もこのトリックを用いることで\(\langle q^{\prime\prime},t^{\prime\prime}|\to \langle 0|\psi_0(q^{\prime})\)となる。

よって、ハミルトニアンを少しずらすだけで真空の場合も簡単に計算できて

$$\langle 0|0\rangle_{f,h} = \int {\mathcal{D}}p{\mathcal{D}}q\exp\left[i\int _{-\infty}^{+\infty}dt\left(p\dot{q}-(1-i\epsilon)H+fq+hp\right)\right]\tag{21} $$

となる。ここで、波動関数の部分は経路積分の測度に吸収させた。

最後に\(H=H_0+H_1\)となるような摂動論で便利な表式を紹介しておく。この表記は以後のファインマンダイヤグラムを使った計算でかなり使うのでとても重要である。といっても計算自体は単純で汎関数微分を用いるだけである。

\begin{eqnarray} \langle 0|0\rangle_{f,h} &=& \int {\mathcal{D}}p{\mathcal{D}}q\exp\left[i\int _{-\infty}^{+\infty}dt\left(p\dot{q}-H_0(p,q)-H_1(p,q)+fq+hp\right)\right]\\ &=&\exp\left[-i\int _{-\infty}^{+\infty}dt\ H_1\left(\frac{1}{i}\frac{\delta}{\delta h(t)},\frac{1}{i}\frac{\delta}{\delta f(t)}\right)\right]\\ &&\times \int {\mathcal{D}}p{\mathcal{D}}q\exp\left[i\int _{-\infty}^{+\infty}dt\left(p\dot{q}-H_0(p,q)+fq+hp\right)\right] \tag{22}\end{eqnarray}

5.LSZ簡約公式

散乱実験での遷移振幅を計算する公式を作ろう。相互作用のない理論では一粒子状態は真空に生成演算子をかけることで得られる。

$$|k\rangle =a^{\dagger}({\bf{k}})|0\rangle \tag{1}$$

ここで、

$$a^{\dagger}({\bf{k}})=-i\int d^3x \ e^{ikx}\overleftrightarrow{\partial_0}\varphi(x)\tag{2}$$

である。ここで、真空状態\(|0\rangle \)は任意の消滅演算子で0になるものと定義しており、

$$a({\bf{k}})|0\rangle =0\tag{3}$$

$$\langle 0|0\rangle =1\tag{4}$$

が成り立つように規格化しておく。

また、一粒子状態においては

$$\langle k|k^{\prime}\rangle =(2\pi)^32\omega\ \delta^3({\bf{k-k^{\prime}}})\tag{5}$$

で規格化しておく。ここで、\(\omega=({\bf{k}}^2+m^2)^{1/2}\)である。

さらに時間に依存しない波数空間では\({\bf{k}}_1\)、位置空間では原点に局在化した粒子を生成する演算子

$$a_1^{\dagger}\equiv \int d^3k \ f_1({\bf{k}})a^{\dagger}({\bf{k}})\tag{6}$$

を定義する。ここで、

$$f_1({\bf{k}})\varpropto\exp[-({\bf{k-k}}_1)^2/4\sigma^2]\tag{7}$$

であり、\(\sigma\)は波数空間での広がりを表している。状態\(a_1^{\dagger}|0\rangle \)について考えよう。シュレディンガー描像でのこの状態の時間発展を考えると\(t\to \pm\infty\)において原点から遠く離れることがわかる。また、状態\(a_1^{\dagger}a_2^{\dagger}|0\rangle\)について考えると、\({\bf{k}}_1\not={\bf{k}}_2\)ならば二つの粒子は\(t\to -\infty\)では遠く離れている。

これは相互作用のある理論での始状態と終状態を表すのに使える。ここから、相互作用のある理論を考えていく。相互作用表示を考えると生成消滅演算子は時間に依存する。始状態を

$$|i\rangle =\lim_{t\to -\infty}a_1^{\dagger}(t)a_2^{\dagger}(t)|0\rangle\tag{8}$$

と表すことにする。うまく、\(f({\bf{k}})\)を選ぶことにより、\(\langle i|i\rangle =1\)と規格化がしておこう。同じように終状態を

$$|f\rangle = \lim_{t\to +\infty}a_{1^{\prime}}^{\dagger}(t)a_{2^{\prime}}^{\dagger}(t)|0\rangle\tag{9} $$

と定義する。ここでも、\(\langle f|f\rangle=1\)である。

もちろん、終状態の粒子数は2とは限らないのでもっと生成演算子(\(a_n^{\dagger}\))を作用させてもよい。だが、どちらにせよ、このように状態を定義することで遷移振幅は\(\langle f|i\rangle\)で表される。

\(\langle f|i\rangle\)をきれいな形に変形しよう。(それが本セクションでの目的である。)まず、次の変形が成り立つことに注意しよう。

\begin{eqnarray}a_1^{\dagger}(+\infty)-a_1^{\dagger}(-\infty)&=&\int_{-\infty}^{\infty}dt\ \partial_0a_1^{\dagger}(t)\\ &=&-i\int d^3kf_1({\bf{k}})\int d^4x\ \partial_0\left(e^{ikx}\overleftrightarrow{\partial_0}\varphi(x)\right)\\ &=&-i\int d^3kf_1({\bf{k}})\int d^4x\ e^{ikx}(\partial_0^2+\omega^2)\varphi(x)\\ &=&-i\int d^3kf_1({\bf{k}})\int d^4x\ e^{ikx}(\partial_0^2+{\bf{k}}^2+m^2)\varphi(x)\\ &=&-i\int d^3kf_1({\bf{k}})\int d^4x\ e^{ikx}(\partial_0^2+\overleftarrow{\nabla}^2+m^2)\varphi(x)\\ &=&-i\int d^3kf_1({\bf{k}})\int d^4x\ e^{ikx}(\partial_0^2+\overrightarrow{\nabla}^2+m^2)\varphi(x)\\ &=&-i\int d^3kf_1({\bf{k}})\int d^4x\ e^{ikx}(-\partial^2+m^2)\varphi(x) \tag{10}\end{eqnarray}

相互作用がなければ\(\varphi(x)\)はKlein-Gordon方程式を満たすから右辺は0になる。つまり、自由場では当たり前であるが時間によらず生成消滅演算子は等しいのである。

(10)式を変形すると

$$a_1^{\dagger}(-\infty)=a_1^{\dagger}(+\infty)+i\int d^3k\ f_1({\bf{k}})\int d^4x e^{ikx}(-\partial^2+m^2)\varphi(x)\tag{11}$$

さらにエルミート共役をとって変形すると

$$a_1(+\infty)=a_1(-\infty)+i\int d^3k\ f_1({\bf{k}})\int d^4x e^{-ikx}(-\partial^2+m^2)\varphi(x)\tag{12}$$

さて、散乱振幅

$$\langle f|i\rangle =\langle 0|a_{1^{\prime}}(+\infty)a_{2^{\prime}}(+\infty)a_1^{\dagger}(-\infty)a_2^{\dagger}(-\infty)|0\rangle\tag{13}$$

に戻ろう。ブラケットで挟んでいる部分は時間順序になっているので時間順序積を入れることができる。

$$ \langle f|i\rangle =\langle 0|T a_{1^{\prime}}(+\infty)a_{2^{\prime}}(+\infty)a_1^{\dagger}(-\infty)a_2^{\dagger}(-\infty)|0\rangle\tag{14} $$

(11),(12)を(14)に代入するとT積により、\(a_{i^{\prime}}(-\infty)\)は右側に移動し、\(|0\rangle\)に作用して消え、\(a_i^{\dagger}(+\infty)\)は左側に移動して消える。

さらに、\(f_1({\bf{k}})=\delta^3({\bf{k-k}}_1)\)として、一般に\(n-n^{\prime}\)粒子散乱を考えると

\begin{align} \langle f|i\rangle=i^{n+n^{\prime}}\int &d^4x_1e^{ik_1x_1}(-\partial_1^2+m^2)\cdots\\ &d^4x_1^{\prime}e^{-ik_1^{\prime}x_1^{\prime}}(-\partial_{1^{\prime}}^2+m^2)\cdots\\ &\times\langle 0|T\varphi(x_1)\cdots\varphi(x_1^{\prime})\cdots|0\rangle\tag{15} \end{align}

が得られる。この公式はLSZ簡約公式と言われるものであり、散乱振幅を知りたければn点Green関数が分かればよいということを示している。(この公式があるからこの先でループ計算などをしてGreen関数を求めるわけである。)

さて、ここまでざっと計算してきたが相互作用のある場において生成消滅演算子が自由場と同等に意味を持つのかというのは実は疑問である。つまり、そもそもとして自由場においてなぜ、粒子描像を考えることができるのかといえば生成消滅演算子とハミルトニアンの交換関係があったわけであるが相互作用のあるときにも同様の交換関係が成り立つのかというのは怪しいのである。そこで\(\varphi(x)\)がどのような演算子になっているのか見てみよう。

まず、相互作用のある理論でエネルギー運動量の固有状態について考えよう。(そもそもとして固有状態があることすら怪しいことに注意する。)unique な真空\(|0\rangle\)の存在を仮定する。さらに質量\(m\)の安定な 一粒子状態が存在すると仮定する。このとき、エネルギーは\(E=\omega=\sqrt{m^2+p^2}\)である。さらに2粒子状態以上を考えるが簡単のためにすべての粒子の質量は\(m\)でbound stateは考えないことにする。この仮定より、エネルギーは\(E\ge 2m\)であるとわかるが、実は2粒子以上あると相対速度もエネルギーを持つので、2m以上のすべてのエネルギーを持つことができる。これらはスペクトル条件と呼ばれるもので物理的に意味のある系なら満たしてほしい条件である。

さて、ヒルベルト空間を定めたので場の演算子\(\varphi(x)\)の\(|0\rangle \)への影響を考えてみよう。(生成消滅演算子で空間を定めているわけではないのでフォック空間とは言わないことに注意する。)

$$\exp(-iP^{\mu}x_{\mu})\varphi(0)\exp(+iP^{\mu}x_{\mu})=\varphi(x)\tag{16}$$

に注意すると

\begin{eqnarray}\langle 0|\varphi(x)|0\rangle &=&\langle 0|e^{-iPx}\varphi(0)e^{+iPx}|0\rangle\\ &=&\langle 0|\varphi(0)|0\rangle \tag{17}\end{eqnarray}

が成り立つ。これは、ローレンツ不変量であり、粒子を生成してほしいので\( \langle 0|\varphi(x)|0\rangle =0\)であってほしい。しかし、これが成り立つかどうかは一般にはいえないのである。だが、\( \langle 0|\varphi(x)|0\rangle =v\)となったとしても

\(\tilde{\varphi(x)=\varphi(x)-v}\)

と新しく定義(shift)することで\( \langle 0|\tilde{\varphi}(x)|0\rangle \)

とすることができる。

次に4元運動量\(p\)の1粒子状態\(|p\rangle\)に対して\(\langle p|\varphi(x)|0\rangle\)を考えよう。これもローレンツ不変量である。さきほどと同じように計算すると

\begin{eqnarray}\langle p|\varphi(x)|0\rangle &=&\langle p|e^{-iPx}\varphi(0)e^{+iPx}|0\rangle\\ &=&e^{-ipx}\langle p|\varphi(0)|0\rangle \tag{18}\end{eqnarray}

となる。ここで、自由場では

\begin{eqnarray}\langle p|\varphi(0)|0\rangle&=&\langle p|\int \tilde{dk}(a^{\dagger}(k)+a(k))|0\rangle\\ &=&\int \tilde{dk}\langle p|k\rangle\\ &=&\int \tilde{dk}(2\pi)^32\omega\delta^3({\bf{p}}-{\bf{k}})\\ &=&1 \end{eqnarray}

なので相互作用がある場でも\(\langle p|\varphi(0)|0\rangle =1\)となってほしい。しかし、こちらも一般には成り立つとはいえないのである。そこで\( \langle p|\varphi(0)|0\rangle \not=1 \)であったとしても今度はrescaleすることで、\(\langle p|\tilde{\varphi}(0)|0\rangle=1\)が成り立つように調整する。

次に多粒子状態\(|p,n\rangle\)に対して、\(\langle p,n|\varphi(x)|0\rangle\)を考えよう。ここで、\(n\)は状態を決定するために必要なlavelである。先ほどと同様に計算すると

\begin{eqnarray}\langle p,n|\varphi(x)|0\rangle &=&\langle p,n|e^{-iPx}\varphi(0)e^{+iPx}|0\rangle\\ &=&e^{-ipx}\langle p,n|\varphi(0)|0\rangle\\ &=&e^{-ipx}A_n({\bf{p}}) \tag{19}\end{eqnarray}

とできる。ここで、\(p^0=({\bf{p}}^2+M^2)^{\frac{1}{2}}(M\ge 2m)\)であり、さらに\(A_n({\bf{p}})= \langle p,n|\varphi(0)|0\rangle \)と定義した。

自由場において\(a_1^{\dagger}|0\rangle\)は1粒子状態であってほしいから\(\langle p,n|\varphi(x)|0\rangle=0\)も成り立ってほしい。しかし、これは少し条件が強いので\(\langle p,n|a_1^{\dagger}(\pm \infty)|0\rangle\)で十分である。そこで

$$|\psi\rangle =\sum_n\int d^3p\ \psi_n({\bf{p}})|p,n\rangle \tag{20}$$

を考えよう。ここで、lavel \(n\) は離散的とは限らないので\(n\)による和は積分になるかもしれないことに注意する。意味としては\(|\psi\rangle\)は多粒子状態を適当に混ぜた状態であり、これに対して\(\langle \psi|a_1^{\dagger}(t)|0\rangle \)を考えようということである。計算すると

\begin{eqnarray} &&\langle \psi|a_1^{\dagger}|0\rangle \\ &=&\sum_n\int d^3 p\ \psi_n^{*}({\bf{p}})\langle p,n|a_1^{\dagger}(t)|0\rangle\\ &=&\sum_n\int d^3 p\ \psi_n^{*}({\bf{p}})\int d^3kf_1({\bf{k}})(-i)\int d^3xe^{ikx}\overleftrightarrow{\partial_0}\langle p,n|\varphi(x)|0\rangle\\ &=&-i\sum_n\int d^3 p\ \psi_n^{*}({\bf{p}})\int d^3kf_1({\bf{k}})\int d^3x\left(e^{ikx}\overleftrightarrow{\partial_0}e^{-ikx}\right)A_n({\bf{p}})\\ &=&\sum_n\int d^3 p\ \psi_n^{*}({\bf{p}})\int d^3kf_1({\bf{k}})\int d^3x\left(p^0+k^0\right)e^{i(k-p)x}A_n({\bf{p}})\\ &=&\sum_n\int d^3 p\ \psi_n^{*}({\bf{p}})\int d^3kf_1({\bf{k}})\left(p^0+k^0\right)e^{i(p^0-k^0)t}(2\pi)^3\delta^3({\bf{p-k}}) A_n({\bf{p}})\\ &=&\sum_n\int d^3 p\ \psi_n^{*}({\bf{p}})f_1({\bf{p}})\left(p^0+k^0\right)e^{i(p^0-k^0)t}(2\pi)^3 A_n({\bf{p}}) \tag{23}\end{eqnarray}

となる。ここで、\(p^0=({\bf{p}}^2+M^2)^{1/2},k^0=({\bf{p}}^2+m^2)^{1/2}\)である。

\(M\ge2m>m\)だから、\(p^0>k^0\)である。よって、(23)で\(t\to \pm\infty\)にすると振動しまくって右辺は消える。(Riemann-Lebesgue lemmma)

つまり、相互作用のある場では一般に\(a_1^{\dagger}(t)\)は多粒子状態を作るかもしれない。しかし、時間を十分置くことでこの寄与をいくらでも小さくすることができるのである。

まとめると場の演算子\(\varphi(x)\)はshiftとrescaleをすることで

$$\langle 0|\varphi(x)|0\rangle =0,\ \ \ \langle k|\varphi(x)|0\rangle=e^{-ikx}\tag{25}$$

が成り立つようにできる。また、時間を離すと多粒子成分の影響も薄くなることが分かったので(14)式に説得力が増したのではないかと思う。

もちろん、このshiftとrescaleにより、ラグランジアンの形が変わることを大いにあり得る。たとえば元のラグランジアンが

$${\mathcal{L}}=-\frac{1}{2}\partial^{\mu}\varphi\partial_{\mu}\varphi-\frac{1}{2}m^2\varphi^2+\frac{1}{6}g\varphi^3\tag{26}$$

であったときにshiftとrescaleで

$${\mathcal{L}}=-\frac{1}{2} Z_{\varphi} \partial^{\mu}\varphi\partial_{\mu}\varphi-\frac{1}{2}Z_mm^2\varphi^2+\frac{1}{6}Z_gg\varphi^3+Y\varphi\tag{27}$$

に変化したとする。ここで、\(Z_{\varphi},Z_m,Z_g,Y\)はまだわからない定数である。(25)はこの定数に対して2つの条件を課す。また、実際の質量に等しいことから\(m\)を修正、散乱断面積の依存性から\(g\)を修正する。よって、合わせて4つの条件を課すことができ、\( Z_{\varphi},Z_m,Z_g,Y \)は\(g\)の冪級数として順々に計算できるのである。

実はこの\(LSZ\)が成り立つようにする修正は繰り込みをすることに相当する。

4. スピン統計定理

スピン0の自由粒子のハミルトニアンは

$$H_0=\int \tilde{dk}\ \omega \ a^{\dagger}({\bf{k}})a({\bf{k}})\tag{1}$$

で表される。ここで、\(\omega=\sqrt{{\bf{k}}^2+m^2}\)である。そして正準量子化の帰結として交換関係または反交換関係

\begin{eqnarray}[a({\bf{k}}),a({\bf{k}}^{\prime})]_{\mp}&=&0\ ,\\ \ [a^{\dagger}({\bf{k}}),a^{\dagger}({\bf{k}}^{\prime})]_{\mp}&=&0\ ,\\ \ [a({\bf{k}}),a^{\dagger}({\bf{k}}^{\prime})]_{\mp}&=&(2\pi)^32\omega\delta^3({\bf(k-k^{\prime})}) \tag{2}\end{eqnarray}

が成り立つ。もちろん、ボゾンを考えているときは交換関係、フェルミオンを考えているときは反交換関係を用いる。

ローレンツ不変で局所的な相互作用を与えるハミルトニアンを考えよう。そのためにエルミートではない場

$$\varphi^+({\bf{x}},0)\equiv \int \tilde{dk}\ e^{i{\bf{k\cdot x}}}a({\bf{k}})\tag{3}$$

とそのエルミート共役

$$\varphi^-({\bf{x}},0)\equiv \int \tilde{dk}\ e^{-i{\bf{k\cdot x}}}a^{\dagger}({\bf{k}})\tag{3}$$

を用いると便利である。

Baler-Campbell -Hausdorffの公式を用いて\(\varphi^{+}\)の時間発展を計算すると

\begin{eqnarray}&&e^{iH_0t}\varphi^+({\bf{x}},0)e^{-iH_0t}\\&=&e^{iH_0t}\int \tilde{dk}\ e^{i{\bf{k\cdot x}}}a({\bf{k}})e^{-iH_0t}\\ &=&\int \tilde{dk}\ e^{i{\bf{k\cdot x}}}e^{iH_0t}a({\bf{k}})e^{-iH_0t}\\ &=&\int \tilde{dk}\ e^{i{\bf{k\cdot x}}}\left\{a({\bf{k}})+\left[iH_0t,a({\bf{k}})\right]_{\mp}+\frac{1}{2!}\left[iH_0t,\left[iH_0t,a({\bf{k}})\right]_{\mp}\right]_{\mp}+\cdots\right\}\\ &=&\int \tilde{dk}\ e^{i{\bf{k\cdot x}}}a({\bf{k}})\left\{1+(-it\omega)+\frac{(-it\omega)^2}{2!}+\frac{(-it\omega)^3}{3!}+\cdots\right\}\\ &=&\int \tilde{dk}\ e^{i{\bf{k\cdot x}}}a({\bf{k}})e^{-it\omega}\\ &=&\int \tilde{dk}\ e^{ikx}a({\bf{k}}) \end{eqnarray}

となる。ここで、

\begin{eqnarray}[iH_0t,a({\bf{k}})]_{\mp}&=&it\int\tilde{dk}^{\prime}\ \omega\ [a^{\dagger}({\bf{k}}^{\prime})a({\bf{k}}^{\prime}),a({\bf{k}})]_{\mp}\\ &=& it\int\tilde{dk}^{\prime}\ \omega\ [a^{\dagger}({\bf{k}}^{\prime}),a({\bf{k}})]_{\mp}a({\bf{k}}^{\prime})\\ &=&-it\int\tilde{dk}^{\prime}\ \omega \ (2\pi)^32\omega\delta({\bf{k^{\prime}-k}})a({\bf{k}})^{\prime}\\ &=&-it\omega a({\bf{k}}) \end{eqnarray}

を用いた。\(\varphi^-\)も同じように計算すればよく、まとめると

\begin{eqnarray} \varphi^+({\bf{x}},t)&=&e^{iH_0t}\varphi^+({\bf{x}},0)e^{-iH_0t}=\int \tilde{dk}\ e^{ikx}a({\bf{k}})\\ \varphi^-({\bf{x}},t)&=&e^{iH_0t}\varphi^-({\bf{x}},0)e^{-iH_0t}=\int \tilde{dk}\ e^{-ikx}a^{\dagger}({\bf{k}})\tag{5} \end{eqnarray}

となる。ここで、\(\varphi(x)= \varphi^+(x)+ \varphi^-(x) \)が成り立つことを注意しておく。

さらにproper orthochronous なローレンツ変換\(\Lambda\)により、\(\varphi(x)\)は

$$U(\Lambda)^{-1}\varphi(x)U(\Lambda)=\varphi(\Lambda^{-1}x)$$

で変換するのであった。また、Problem3.3より、生成消滅演算子も同じように変換する。

\begin{eqnarray}U(\Lambda)^{-1}a({\bf{k}})U(\Lambda)=a(\Lambda^{-1}{\bf{k}}),\\ U(\Lambda)^{-1}a^{\dagger}({\bf{k}})U(\Lambda)=a^{\dagger}(\Lambda^{-1}{\bf{k}}) \tag{7}\end{eqnarray}

よって、定義より\(\varphi^{\pm}(x)\)も同じように変換する。

$$U(\Lambda)^{-1}\varphi^{\pm}(x)U(\Lambda)=\varphi^{\pm}(\Lambda^{-1}x)\tag{8}$$

さて、相互作用を表すラグランジアン密度を\(\varphi^+(x)\)と\(\varphi^-(x)\)のエルミート関数と置くことにする。

量子力学での時間依存した摂動の結果を用いると、\(t=-\infty\)での始状態\(|i\rangle\)と\(t=+\infty\)での終状態の遷移振幅\({\mathcal{T}}_{f\leftarrow i}\)は

$${\mathcal{T}}_{f\leftarrow i}=\langle f |T\exp\left[-i\int^{+\infty}_{-\infty}dt H_I(t)\right]|i\rangle\tag{9}$$

で書ける。ここで\(H_I(t)\)は相互作用描像での摂動ハミルトニアン

$$H_I(t)=\exp(+iH_0t)H_1\exp(-iH_0t)\tag{10}$$

である。また、\(T\)はtime ordering symbolである。さらにハミルトン密度\({\mathcal{H}}_1({\bf{x}},0)\)を\(\varphi^+({\bf{x}},0)\)と\(\varphi^-({\bf{x}},0)\)のエルミート関数として\(H_I=\int d^3x {\mathcal{H}}_1({\bf{x}},0)\)と書くことにする。時間発展の形は\(\varphi^{\pm}(x)\)と\({\mathcal{H}}_I(x)\)で同じなので\({\mathcal{H}}_I(x)\)は\(\varphi^{\pm}(x)\)を入力として\({\mathcal{H}}_1({\bf{x}},0)\)と同じ関数形で書ける。

さて、\({\mathcal{T}}_{f\leftarrow i}\)はローレンツ不変でないといけない。そのためにはtime ordering symbol もローレンツ不変でなければならない。timelikeな二点\(x,x^{\prime}\)に対しては\((x-x^{\prime})^2<0\)がローレンツ不変であるからどのような慣性系から見ても時間順序は変わらない。(時間順序が変わるためにはある速度で同時刻にならなくてはいけないがそれでは\((x-x^{\prime})^2<0\)がローレンツ不変であることに矛盾する。)spacelike な二点\(x,x^{\prime}\)に関してはローレンツ変換によって時間順序が変わる可能性がある。これでも\({\mathcal{T}}_{f\leftarrow i}\)がローレンツ不変であるために

$$[{\mathcal{H}}_I(x),{\mathcal{H}}_I(x^{\prime})]=0\ \ {\rm{whenever}}\ \ (x-x^{\prime})^2>0\tag{11}$$

が成り立つべきである。spacelikeな二点では\([\varphi^+(x), \varphi ^{+}(x^{\prime})]_{\mp}=[ \varphi ^{-}(x), \varphi ^-(x^{\prime})]_{\mp}=0\)であるから\([ \varphi ^+(x), \varphi ^-(x^{\prime})]_{\mp}\)のみ考えればよい。\((x-x^{\prime})^2\equiv r^2\)とおいて、\(x_0-x_0^{\prime}=0\)となる慣性系で計算すると

\begin{eqnarray}[ \varphi ^+(x), \varphi ^-(x^{\prime})]_{\mp}&=&\int \tilde{dk}\tilde{dk}^{\prime}e^{i(kx-k^{\prime}x^{\prime})}[a({\bf{k}}),a^{\dagger}({\bf{k}}^{\prime})]_{\mp}\\ &=&\int \tilde{dk}\ e^{ik(x-x^{\prime})}\\ &=&\int \frac{d^3k}{(2\pi)^32\omega}\ e^{i{\bf{k\cdot(x-x^{\prime})}}}\\ &=&\frac{2\pi}{2(2\pi)^3}\int^{\infty}_0\frac{dk\ k^2}{\omega}\int^{+1}_{-1}d\cos \theta \ e^{ikr\cos \theta}\\ &=&\frac{1}{8\pi^2}\int^{\infty}_0\frac{dk\ k^2}{\omega}\frac{2\sin (kr)}{kr}\\ &=&\frac{1}{4\pi^2 r}\int^{\infty}_0dk \frac{k\sin (kr)}{(k^2+m^2)^{1/2}}\\ &=&\frac{m}{4\pi^2r}K_1(mr)\\ &\equiv&C(r) \tag{12}\end{eqnarray}

ここで、\(K_1(z)\)は第二種変形ベッセル関数である。関数\(C(r)\)は\(r>0\)であれば0にはならない。(\(m=0\)のときでさえ、0にならない。(Problem4.1))よって、一般には(11)を満たすことはできないだろうという結論に至る。

そこで、この問題を解決するために\(\varphi^{\pm}\)はある特別な線形結合の形

\begin{eqnarray} \varphi_{\lambda}(x)&\equiv& \varphi^+(x)+\lambda\varphi^-(x)\\ \varphi^{\dagger}_{\lambda}(x)&\equiv& \varphi^-(x)+\lambda^*\varphi^+(x) \tag{13}\end{eqnarray}

でしか理論に入らないという仮定をする。ここで、\(\lambda\)は任意の複素数である。\(\varphi_{\lambda}\)で交換関係を計算すると

\begin{eqnarray} [\varphi_{\lambda}(x),\varphi_{\lambda}^{\dagger}(x^{\prime})]_{\mp}&=&[\varphi^+(x),\varphi^-(x^{\prime})]_{\mp}+|\lambda|^2[\varphi^-(x),\varphi^+(x^{\prime})]_{\mp}\\ &=&(1\mp |\lambda|^2)C(r)\tag{14} \end{eqnarray}

\begin{eqnarray}[\varphi_{\lambda}(x),\varphi_{\lambda}(x^{\prime})]_{\mp}&=&\lambda[\varphi^+(x),\varphi^-(x^{\prime})]_{\mp}+\lambda[\varphi^-(x),\varphi^+(x^{\prime})]_{\mp}\\ &=&\lambda(1\mp 1)C(r) \tag{15}\end{eqnarray}

となる。これが0であるためには\(|\lambda|=1\)であり、交換関係を選ばなければならないことがわかる。

ここで、\(\lambda=e^{i\alpha}\)と書くことにして\(e^{-\alpha/2}\varphi(x)\)を考えてみよう。するとこれはエルミートであり、実スカラー場になっていることが分かる。そこでさらに\(a({\bf{k}})\to e^{+i\alpha/2} a({\bf{k}}) \),\( a^{\dagger}({\bf{k}})\to e^{-i\alpha/2} a^{\dagger}({\bf{k}}) \)と置き換えると(2)の交換関係は変わらないまま

$$e^{-i\alpha/2}\varphi_{\lambda}(x)=\varphi(x)=\varphi^+(x)+\varphi^-(x)$$

となる。つまり、結論を述べるとハミルトニアンは最初から実スカラー場\(\varphi(x)\)や\(\partial^{\mu}\varphi(x)\partial_{\mu}\varphi(x)\)で構成し、交換関係を選ぶことが散乱振幅がローレンツ不変であることから要請されるわけである。

EGMO2019問4

今まで、EGMOの問題は解いたことが無かったのですが、このブログを始めてみたことや、EGMOの記事が読みたいという読者様からのご要望などもあったこと、そして純粋な競技数学への興味などから、とりあえず今年のEGMOの問題を解いてみました。
まだ解き始めたばかりでどこまで記事に出来るかはわかりませんが、今後はEGMOの問題にも手をつけていければと思っております。

というわけで記念すべき初回は初等幾何の問題です!問題はこちら。

【問】\(\triangle ABC\)の内心を\(I\)とし、\(B\)を通り\(I\)で直線\(AI\)に接する円と\(AB\)の交点のうち\(B\)でない方を\(P\)、\(C\)を通り\(I\)で直線\(AI\)に接する円と\(AC\)の交点のうち\(C\)でない方を\(Q\)、とする。直線\(PQ\)は\(\triangle ABC\)の内接円\(I\)に接することを示せ。

内接円の中心\(I\)を接点とする円が2つもあること、そして、示したいことは「直線が円に接すること」。
この2つから僕は、内接円を反転円とする反転を考えてみました。
(反転の基礎事項についてはJJMO本選2019問5の記事の補足欄をご覧ください。)
では、やってみましょう。

【略解】
円\(I\)を反転円とする点\(A\)の反転後の点を\(A^{\prime}\)のように表すことにする。
直線\(PQ\)および内接円\(I\)の反転後の図形である円\(P^{\prime}Q^{\prime}I\)と内接円\(I\)が接することを示せばよい。

内接円半径を\(r\)とおくと、この反転により、

直線\(BC\),直線\(APB\),直線\(AQC\)は\(I\)からの距離が\(r\)の直線なので、それぞれ、\(BC,CA,AB\)に接する円にうつる。すなわち、

円\(IB^{\prime}C^{\prime}\),円\(IB^{\prime}P^{\prime}A^{\prime}\),円\(IC^{\prime}Q^{\prime}A^{\prime}\)はどれも直径\(r\)の円である。\(\cdots①\)

また、円\(BPI\)と円\(CQI\)は直線\(AI\)に点\(I\)で接するので、これらの反転後の図形を考えると、(\(A^{\prime}\)はもちろん直線\(AI\)上にあり、)

直線\(P^{\prime}B^{\prime}\)と直線\(Q^{\prime}C^{\prime}\)は直線\(AA^{\prime}I\)と平行となる。\(\cdots②\)

\(①②\)より、図のよう、4角形\(IB^{\prime}P^{\prime}A^{\prime}\)と4角形\(IC^{\prime}Q^{\prime}A^{\prime}\)は円に内接する台形なので等脚台形。ここから\(\triangle IP^{\prime}Q^{\prime}\equiv\triangle A^{\prime}B^{\prime}C^{\prime}\)がわかるので、

円\(\triangle IP^{\prime}Q^{\prime}\)と円\(A^{\prime}B^{\prime}C^{\prime}\)の半径は等しい。\(\cdots③\)

ところで\(①\)より、円\(IB^{\prime}C^{\prime}\),円\(IB^{\prime}P^{\prime}A^{\prime}\),円\(IC^{\prime}Q^{\prime}A^{\prime}\)の中心をそれぞれ\(O_1,O_2,O_3\)とすれば、\(O_1B^{\prime}O_2I,O_2A^{\prime}O_3I,O_3C^{\prime}O_1I\)は一辺\(r/2\)のひし形となる。
ここで、\(O_1B^{\prime}OC^{\prime}\)が一辺\(r/2\)のひし形となるように点\(O\)をとれば、\(OC^{\prime},B^{\prime}O_1,O_2I,A^{\prime}O_3\)は平行かつ長さが\(r/2\)となるので、\(OC^{\prime}O_3A^{\prime}\)は一辺\(r/2\)のひし形となる。
以上より、\(OA^{\prime}=OB^{\prime}=OC^{\prime}=r/2\)となり、\(\triangle A^{\prime}B^{\prime}C^{\prime}\)の外接円は中心\(O\),半径\(r/2\)の円である。

(注)この図は立方体が浮かび上がっているみたいですね!このように、半径が等しい円が一点で交わるとき、2円の交点3つを通る円の半径は元の円の半径となるのは有名な事実です。

\(③④\)より、円\(IP^{\prime}Q^{\prime}\)の半径は\(r/2\)で、内接円\(I\)の半径は\(r\)。その差\(r/2\)は中心間距離(すなわち円\(IP^{\prime}Q^{\prime}\)の半径)\(r/2\)に等しいので、円\(IP^{\prime}Q^{\prime}\)と内接円Iは接する。
∴反転前の図形を考えて、直線\(PQ\)と内接円\(I\)は接する。

このように、反転後の世界の図を描いて、綺麗な性質を見つけていくのが反転の楽しいところです。反転に最近、はまり始めたので今回は反転を用いた方針が真っ先に思い付きましたが、元の図であっても

・(方べきの定理とその逆を使えば実は)\(B,C,P,Q\)は同一円周上
・(結論から最終的には)内接円\(I\)は\(\triangle APQ\)の傍接円にもなるはず

などの様々な性質がありますから、反転を使わない方針もあるかもしれません。別解・感想などがありましたら、是非、コメントをお送りください!

JMO予選1991問3

\(\triangle ABC\)の重心を\(G\)とする。\(GA=2\sqrt{3},GB=2\sqrt{2},GC=2\)が成り立つとき、\(\triangle ABC\)の面積を求めよ。

【解法】

発想を必要とする初等幾何の計量問題では、角度にしろ長さにしろ図形の状況より「数値」がヒントとなっていることも多いです。
今回の場合、\(GA^2=GB^2+GC^2\)より、\(GA,GB,GC\)を三辺とする3角形は直角三角形であることがわかります。よって、\(GA,GB,GC\)を三辺とする直角三角形を実際に図の中に作ってみましょう。
「中線は\(2\)倍に伸ばせ」(そうすれば平行四辺形が出来る)という格言もありますし、\(BC\)の中点を\(M\)とすると重心の性質より、\(AG:GM=2:1\)ですから、\(GM\)を\(M\)の方に\(2倍\)に伸ばし、その先の点を\(D\)としてみましょう。すると、\(GD=2\sqrt{3}\)となり、さらに\(GBDC\)が平行四辺形(∵対角線が中点で交わる)となることから、\(BD=2\)もわかります。

\(∴\ \triangle BDG\)は3辺が\(2,2\sqrt{2},2\sqrt{3}\)の直角三角形となりました!ちなみにその面積は\(2\sqrt{2}\)ですね。
ここまで来ればもう求まったも同然です。\(GBDC\)が平行四辺形であることから\(\triangle GBC=\triangle BDG=2\sqrt{2}\)となることと、\(G\)が\(\triangle ABC\)の重心であるから\(\triangle GBC=\triangle GCA=\triangle GAB\)であることを考えれば、\( \triangle ABC=2\sqrt{2}\times3=6\sqrt{2}\)となりますね!

それではもう1問、僕が昔に出会って感動した、似たような考え方で出来る問題を考えてみましょう。昔に出会った問題すぎて、出典がどこだったかもはや覚えていないのですが、そこそこ有名な問題らしいので、知ってる人も多いかも知れません。

Q.正三角形\(ABC\)の内部の点\(P\)は\(PA=3,PB=4,PC=5\)を満たす。\(\triangle ABC\)の面積を求めよ。

\(3\)辺が\(3,4,5\)の直角三角形を作りたいですね。回転合同のお時間です。
\(\triangle APB\)を\(A\)中心に\(60^{\circ}\)回転して出来る三角形を\(\triangle ADC\)としましょう。\(DC=4\)となり、\(\triangle APD\)は一辺\(3\)の正三角形となることから\(\triangle PCD\)が\(3\)辺が\(3,4,5\)の直角三角形となりました!


同様に\(\triangle BPC\)を\(B\)中心に\(60^{\circ}\)回転して\(\triangle BEA\)を、\(\triangle CPA\)を\(C\)中心に\(60^{\circ}\)回転して\(\triangle CFB\)を作ることにより、六角形\(AEBFCD\)が完成しますが、この作り方により、六角形の面積は\(\triangle ABC\)の面積の\(2\)個分です。

一方で、さっきのように直角三角形および正三角形が現れることから、図のようにこの六角形は一辺\(3\)の正三角形、一辺\(4\)の正三角形、一辺\(5\)の正三角形、\(3\)辺が\(3,4,5\)の直角三角形\(3\)個で構成されていることから面積が

$$\frac{\sqrt{3}}{4}(3^2+4^2+5^2)+3×4÷2×3=\frac{25\sqrt{3}}{2}+18$$

と求まりますから、\(\triangle ABC\)の面積はこの半分の\(\frac{25\sqrt{3}}{4}+9\)とわかります!
無理矢理三角形を作るところがなんだかパズルみたいで楽しいですね。

JMO予選1991問4

$$\frac{1}{x+1}+\frac{1}{y}+\frac{1}{(x+1)y}=\frac{1}{1991}\cdots①$$
の自然数解の個数を求めよ。

【略解】

まずは分母を払い、式を整理してみましょう。

\begin{eqnarray}①&⇔&1991(y+x+1+1)=(x+1)y\\&⇔&xy-1991x-1990y=1991\times2\\ &⇔&(x-1990)(y-1991)=1991\times1992\end{eqnarray}

この最後の変形は、よくある受験数学の問題の基本ですね。\(x,y\)の値は\(x-1990\)と\(y-1991\)の値と一対一対応しており、\(x-1990\)と\(y-1991\)はかけて\(1991\times1992\)となる自然数ですから、結局求める個数は\(1991\times1992\)の正の約数の個数です。

\begin{eqnarray} 1991&=&11\times181 \\1992&=&2^3\times3\times83 \end{eqnarray}

ですから
$$ 1991\times 1992=2^3\times3\times11\times83\times181$$
より、求める個数は\(4\times2\times2\times2\times2=64\)となりますね。

このように、下手なことを考えず、受験数学的にやればできると思ったときはそのままやってしまうことも時には重要です。似たような例をもう1問見てみましょう。

Q.

$$\frac{201}{a}+\frac{3}{b}$$

が自然数となる自然数の組\((a,b)\)の個数を求めよ。
(JJMO予選2013問8)

中学生の問題とはいえ侮れません。
\(a,b,n\)の方程式

$$\frac{201}{a}+\frac{3}{b}=n\cdots①$$

の自然数解の個数を求めると考えれば先ほどの問題のちょっとした応用ですね。

\begin{eqnarray} ①&⇔&3a+201b=abn\\&⇔&abn^2-3an-201bn=0\\&⇔&(an-201)(bn-3)=603\end{eqnarray}

\(an-201\)と\(bn-3\)はかけて\(603\)となる正の整数ですから、

$$ (an-201,bn-3)=(1,603),(3,201),(9,67),(67,9),(201,3),(603,1)$$


にしぼれ、

$$ (an,bn)=(202,606),(204,204),(210,70),(268,12),(402,6),(804,4)\cdots②$$


となります。よって、\(a,b,n\)の自然数の個数は、一般に、\((an,bn)=(x,y)\)のとき、\(n\)が\(x,y\)の公約数となることを考えれば、\((a,b,n)\)の個数は\(x,y\)の最大公約数の正の約数の個数となることから、②より求める個数は、\(4+12+8+3+4+3=34\)個とわかりますね。
中学生にとっては、このような受験数学でよくある不定方程式の式変形は慣れていないでしょうし、なかなか難しい問題だったかもしれません。
このような典型問題として処理できる問題は学年が上であるほど落としたくないですね。

Problem1.1

ディラック行列の次元\(n\)は偶数でなければならないことを示せ。

【略解】

ディラック行列の定義より

$$\alpha^j\alpha^k=-\alpha^k\alpha^j$$

である。両辺\(\det\)を取って

$$\det(\alpha^j)\det(\alpha^k)=(-1)^n\det(\alpha^k)\det(\alpha^j)$$

となる。よって\((-1)^n=1\)なので\(n\)は偶数である。

1. 相対論的量子力学の試み

MathJax.Hub.Config({ tex2jax: { inlineMath: [[‘$’,’$’], [“\\(“,”\\)”]] } }); https://cdnjs.cloudflare.com/ajax/libs/mathjax/2.7.0/MathJax.js?config=TeX-AMS_CHTML

量子力学と相対論の復習から始める。

量子力学は次のような公理の基で始めることができる。

「系の状態はヒルベルト空間のベクトル、オブザーバブルはそのエルミート演算子、そのオブザーバブルの値はこの演算子の固有値で記述される。」

また、系の状態の時間発展はシュレディンガー方程式

$$i\hbar \frac{\partial}{\partial t}|\psi,t\rangle=H|\psi,t\rangle\tag{1}$$

により行われる。ここで、\(H\)はハミルトニアン演算子である。

スピン0の非相対論的な相互作用のない最もシンプルな系を考える。この系ではハミルトニアンは

$$H=\frac{1}{2m}{\bf{P}}^2\tag{2}$$

である。ここで、\(m\)は粒子の質量で\({\bf{P}}\)は運動量演算子である。座標表示でシュレディンガー方程式を表すと

$$i\hbar \frac{\partial}{\partial t}\psi({\bf{x}},t)=-\frac{\hbar^2}{2m}\nabla^2\psi({\bf{x}},t)\tag{3}$$

と書ける。

これを相対論的なものに拡張したい。単純には相対論的なエネルギー運動量である

$$H=+\sqrt{{\bf{P}}^2c^2+m^2c^4}\tag{4}$$

から始めることである。これを展開すると

\begin{eqnarray} H&=&+\sqrt{{\bf{P}}^2c^2+m^2c^4}\\ &=&mc^2\sqrt{1+\frac{{\bf{P}}^2}{m^2c^2}}\\ &=&mc^2+\frac{1}{2m}{\bf{P}}^2+\cdots \tag{5}\end{eqnarray}

となり、静止エネルギーと非相対論的なエネルギーと補正項の和となる。このハミルトニアンを用いるとシュレディンガー方程式は

$$i\hbar\frac{\partial}{\partial t}\psi({\bf{x}},t)=+\sqrt{-\hbar^2c^2\nabla^2+m^2c^4}\psi({\bf{x}},t)\tag{6}$$

に変わる。しかし、この方程式はいくつかの難点がある。

  • 時間と空間が対称ではない

これは式を見たら明らかである。時間微分は左辺にしかなく、空間微分は右辺のルートの中にしかない。これは相対論の要求を満たしていない。

  • 方程式が局所的でない

右辺のルートを展開すると空間微分が無限回出てくる。これでは、同時刻で異なる2点以上が影響するので因果律を破ってしまう。

これらの問題を解決するためには両辺の波動関数以外を2乗すればよい。つまり、方程式

$$-\hbar^2\frac{\partial^2}{\partial t^2}\psi({\bf{x}},t)=\left(-\hbar^2c^2\nabla^2+m^2c^4\right)\psi({\bf{x}},t)\tag{7}$$

を考える。これはクラインゴルドン方程式と呼ばれるもので先ほどの困難は解消されている。

まず、この方程式が異なる慣性系同士で同じ形式で表されることを確認しよう。そのためにまず、時空の設定から始めよう。この本を通して時空の座標を\((ct,{\bf{x}})\)とする。つまり、\(x^0=ct\)として\(x^{\mu}(\mu=0,1,2,3)\)で時空の一つの点を表すことにする。

さらに下付き添え字で\(x_0=-x^0,x_i=x^i(i=1,2,3)\)という風に\(x_{\mu}\)を定義する。これはミンコフスキー計量

$$g_{\mu\nu}=
\left( \begin{array}{cccc} -1 & & & \\ & +1 & & \\ & & +1& \\ &&&+1 \end{array} \right) \tag{8}$$

(空白部はすべて0)を用いると\(x_{\mu}=g_{\mu\nu}x^{\nu}\)というように表される。ここで、アインシュタインの縮約記法を用いている。

さらに

$$g^{\mu\nu}=
\left( \begin{array}{cccc} -1 & & & \\ & +1 & & \\ & & +1& \\ &&&+1 \end{array} \right) \tag{9}$$

としておく。 こうすることで

$$g^{\mu\nu}g_{\nu\rho}=\delta^{\mu}_{\ \ \rho},\ \ \ x^{\mu}=g^{\mu\nu}x_{\nu}$$

が成り立つとわかる。(つまり、\(g\)により添え字の上げ下げができる。)

さて、話を戻すと二つの慣性系\(x^{\mu},\bar{x}^{\mu}\)はローレンツ変換と並進変換で移りあうから

$$\bar{x}^{\mu}=\Lambda^{\mu}_{\ \ \nu}x^{\nu}+a^{\mu}\tag{10}$$

のような関係である。ここで、\(\Lambda^{\mu}_{\ \ \nu}\)はローレンツ変換を表す行列なので高速度不変の原理から

$$g_{\mu\nu}\Lambda^{\mu}_{\ \ \rho}\Lambda^{\nu}_{\ \ \sigma}=g_{\rho\sigma}\tag{11}$$

が成り立つ。この変換の下で時空の二点間の距離が保存されることが簡単に確認できる。

\begin{eqnarray}(\bar{x}-\bar{x}^{\prime})^2&=&g_{\mu\nu}(\bar{x}-\bar{x}^{\prime})^{\mu}(\bar{x}-\bar{x}^{\prime})^{\nu}\\&=&g_{\mu\nu}\Lambda^{\mu}_{\ \ \rho}\Lambda^{\nu}_{\ \ \sigma}(x-x^{\prime})^{\rho}(x-x^{\prime})^{\sigma}\\&=&g_{\rho\sigma}(x-x^{\prime})^{\rho}(x-x^{\prime})^{\sigma}\\&=&(x-x^{\prime})^2\tag{13}\end{eqnarray}

ここで、差を取っている部分で並進変換が打ち消されていることに注意する。

座標系を変えたらもちろん、波動関数の関数の形も変わる。そこで新たに慣性系\(\bar{x}^{\mu}\)での波動関数を\(\bar{\psi}(\bar{x})=\psi(x)\)と書くことにする。

また、時空による微分を次のように定義することにする。

\begin{eqnarray}\partial_{\mu}&\equiv&\frac{\partial}{\partial x^{\mu}}=\left(+\frac{1}{c}\frac{\partial}{\partial t},\nabla\right),\tag{14}\\ \partial^{\mu}&\equiv&\frac{\partial}{\partial x_{\mu}}=\left(-\frac{1}{c}\frac{\partial}{\partial t},\nabla\right)\tag{15}\end{eqnarray}

もちろんこれは

$$\partial^{\mu}x^{\nu}=g^{\mu\nu}\tag{17}$$

が成り立つように定義している。また、偏微分は次のように変換する。

\begin{eqnarray}\bar{\partial}^{\mu}=\frac{\partial}{\partial \bar{x}_{\mu}}&=&g^{\mu\nu}\frac{\partial}{\partial\bar{x}^{\nu}}\\&=&g^{\mu\nu}(\Lambda^{-1})^{\rho}_{\ \ \nu}\frac{\partial}{\partial x^{\rho}}\\&=&g^{\mu\nu}\Lambda_{\nu}^{\ \ \rho}\frac{\partial}{\partial x^{\rho}}\\&=&\Lambda^{\mu}_{\ \ \rho}\frac{\partial}{\partial x_{\rho}}\\&=&\Lambda^{\mu}_{\ \ \rho}\partial^{\rho}\tag{17}\end{eqnarray}

ここで、

$$\frac{\partial x^{\nu}}{\partial \bar{x}^{\mu}}=(\Lambda^{-1})^{\nu}_{\ \ \mu}$$

に注意する。(4つ目の=は2章を参照)

これらの変換性から

\begin{eqnarray}\bar{\partial}^{\rho}\bar{x}^{\sigma}&=&(\Lambda^{\rho}_{\ \ \mu}\partial^{\mu})(\Lambda^{\sigma}_{\ \ \nu}x^{\nu}+a^{\sigma})\\&=&\Lambda^{\rho}_{\ \ \mu}\Lambda^{\sigma}_{\ \ \nu}(\partial^{\mu}x^{\nu})\\&=&\Lambda^{\rho}_{\ \ \mu}\Lambda^{\sigma}_{\ \ \nu}g^{\mu\nu}=g^{\rho\sigma}\tag{18}\end{eqnarray}

であることが分かる。

さて、ここで定義した微分記号を用いてクラインゴルドン方程式(7)を表すと

$$-\hbar^2c^2\partial^2_0\psi(x)=(-\hbar^2c^2\nabla^2+m^2c^4)\psi(x)\tag{19}$$

となる。さらに\(\partial^2\equiv\partial^{\mu}\partial_{\mu}=-\partial_0^2+\nabla^2\)を用いると

$$\left(-\partial^2+\frac{m^2c^2}{\hbar^2}\right)\psi(x)=0\tag{21}$$

と表すことができる!(このように表した方がより、時間と空間の対称性がよく見える!)

この方程式が異なる慣性系でも同じ形なのは簡単に確かめられる。

\(x^{\mu}\rightarrow \bar{x}^{\mu}\)への変換により

$$\bar{\partial}^2=g_{\mu\nu}\bar{\partial}^{\mu}\bar{\partial}^{\nu}=g_{\mu\nu}\Lambda^{\mu}_{\ \ \rho}\Lambda^{\nu}_{\ \ \sigma}\partial^{\rho}\partial^{\sigma}=g_{\rho\sigma}
\partial^{\rho}\partial^{\sigma} =\partial^2\tag{22}$$

となるので方程式(20)は異なる慣性系に移ると

$$ \left(-\bar{\partial}^2+\frac{m^2c^2}{\hbar^2}\right)\bar{\psi}(\bar{x})=0\tag{22} $$

となり、方程式の形が変わらないことが分かる!これはクラインゴルドン方程式のもっとも素晴らしいところではないだろうか。

しかし、もちろん、この方程式は我々の求めている方程式ではない。なぜなら、クラインゴルドン方程式ではシュレディンガー方程式のように確率解釈ができないのである。

理由は簡単でクラインゴルドン方程式は時間に関して二階微分を含むことによる。つまり、それが原因で確率密度\(\rho\)は時間の一階微分を含むことになる。よって、確率密度が0以上であるという確率解釈の最も基本的なことが壊れてしまうのである。

ディラックはこの問題を解決するために新たな離散変数(スピン変数)を導入することでクラインゴルドン方程式を一階の微分方程式にできないかと考えた。そこで少し強引ではあるが次のような方程式を考える。

$$i\hbar \frac{\partial}{\partial t}\psi_a(x)=\left(-i\hbar c(\alpha ^j)_{ab}+mc^2(\beta)_{ab}\right)\psi_b(x)\tag{24}$$

ここで、\(a,b\)はスピン変数で\(a,b=1,2\)の値を取る。(正確にはスピン変数がいくつかはこの時点ではわからない。)つまり、\(\alpha^j,\beta\)はスピン変数に対する行列である。(24)式からわかるようにハミルトニアンに対応するのは

$$H_{ab}=cP_j(\alpha^j)_{ab}+mc^2(\beta)_{ab}\tag{25}$$

の部分である。この部分が相対論的なエネルギーに対応するように平方してみる。

$$(H^2)_{ab}=c^2P_jP_k(\alpha^j\alpha^k)_{ab}+mc^3P_j(\alpha^j\beta+\beta\alpha^j)_{ab}+(mc^2)^2(\beta^2)_{ab}\tag{26}$$

ここで、\(\alpha^j,\beta\)は互いに交換するとは限らないことに注意しよう。\(P_jP_k\)は\(j,k\)に関して対称なので、\(\alpha^j\alpha^k\)の対称部分のみ残るので、(26)で\(\alpha^j\alpha^k\)は\(\frac{1}{2}\{\alpha^j,\alpha^k\}\)に置き換えてもよい。ここで\(\{A,B\}=AB+BA\)である。

よって、

$$\{\alpha^j,\alpha^k\}_{ab}=2\delta^{jk}\delta_{ab},\ \ \{\alpha^j,\beta\}_{ab}=0,\ \ (\beta^2)_{ab}=\delta_{ab}\tag{27}$$

が成り立つとき、(26)は

$$(H^2)_{ab}=({\bf{P}}^2c^2+m^2c^4)\delta_{ab}\tag{28}$$

となり、相対論的なエネルギーに対応する。つまり、(27)を満たすように\(\alpha^j,\beta\)を取れれば相対論的量子力学の1階微分方程式を得られたのである!方程式(24)はディラック方程式と呼ばれ、行列\(\alpha^j,\beta\)はディラック行列と呼ばれる。

次にディラック行列を具体的に求めてみよう。これまでスピン自由度は2として考えてきたが実は\(2\times2\)行列では(27)を満たす\(\alpha^j,\beta\)を作ることはできない。例えばパウリ行列\(\sigma^i\)は\(\{\sigma^i,\sigma^j\}=2\delta^{ij}\)を満たすので\(\alpha^j\)になりうる。しかし、この三つと反交換関係をみたす\(\beta\)は存在しないのである。(すべての\(2\times 2\)は単位行列とパウリ行列で展開できることから簡単に示せます。)また、Problem1.1より、ディラック行列の次数は偶数次なので2次元の次に小さいのは4次元である。これはスピン状態が2種類存在することを示唆している。

ディラック行列のトレースについて考える。まず、\(\beta^2=I\)なので\(\beta\)の固有値の2乗は\(1\)である。(\(\beta\)を対角化したと考えるとわかる。)つまり、\(\beta\)の固有値は\(\pm 1\)のどちらかである。ここで、ディラック行列の性質とトレースの性質を用いると

$${\rm{Tr}}(\beta)=
{\rm{Tr}} ((\alpha^1)^2\beta)=
{\rm{Tr}} (\alpha^1\beta\alpha^1)=
-{\rm{Tr}} ((\alpha^1)^2\beta)=
-{\rm{Tr}}(\beta) $$

なので、\( {\rm{Tr}} (\beta)=0\)であることがわかる。また、同じ要領で\(
{\rm{Tr}} (\alpha^j)=0\)である。

次に(25)のハミルトニアンに対するエネルギー固有値について考える。固有状態\(\tilde{\psi}_{E}\)を

$$H\tilde{\psi}_{E}=E\tilde{\psi}_{E}$$

のように書いておく。さらに\([H,P]=0\)なので、同時固有状態を取ることができ、それを\(\omega(E,{\bf{p}})\)と置く。つまり、

$$\psi({\bf{x}},t)=\omega(E,{\bf{p}})e^{\frac{-iEt}{\hbar}}e^{\frac{i{\bf{p}}\cdot{\bf{x}}}{\hbar}}$$

とする。このようにすると

\begin{eqnarray} E\omega&=&(c\ {\boldsymbol{\alpha}}\cdot{\bf{p}}+mc^2\beta)\omega\\ E^2&=&c^2{\bf{p}}^2+(mc^2)^2 \end{eqnarray}

(ここでの\({\bf{p}}\)は演算子ではなく、運動量固有値)とできる。よって、\(\alpha^j,\beta\)がトレースレスからハミルトニアンもトレースレスなので\(E({\bf{p}})=+\sqrt{{\bf{p}}^2c^2+m^2c^4}\)とおくとエネルギー固有値は \(+E({\bf{p}}), +E({\bf{p}}) ,- E({\bf{p}}) ,- E({\bf{p}}) \)の4つだとわかる。

この負のエネルギー状態が無限にあることは明らかに問題である。基底状態が定まらないのでこれではすべての状態が不安定という物理的にやばい状態になる。

ディラックはフェルミ粒子についてはディラックの海という解釈により、この問題の解決策を提示した。しかし、これではフェルミ粒子の説明にしかなっていないので満足のいくものではなかった。

実はディラック方程式も我々の求めている方程式ではない。そもそもとして次のような問題がある。量子力学の公理としてオブザーバブルはエルミート演算子で表されるというものがあったが時間\(t\)はこれに当てはまらないのである!また、相対論的にも\({\bf{x}}\)は演算子だが\(t\)が単なるパラメータというのはどうも対等に扱っていないように思える。

これを解決するには二つの方法がある。

  • \(t\)を演算子にする

幸運なことに粒子の運動を考えるとき、時間は二種類存在する。系の時間\(t\)と固有時間\(\tau\)である。よって、運動のパラメータとして\(\tau\)を選択して系の時間\(t\)は演算子にして位置と対等に扱うということだ!!!(ストリングを考えるときに使う。)

  • 位置もパラメータと考える

位置を量子場\(\varphi({\bf{x}})\)のパラメータと考える。\(\varphi({\bf{x}})\)は演算子であり、パラメータとして\(t\)も含むべきだからハイゼンベルグ描像を採用して

$$\phi({\bf{x}},t)=e^{iHT/\hbar}\varphi({\bf{x}},0)e^{-iHt/\hbar}\tag{29}$$

としておく。(今は位置も時間も演算子の固有値などでは決してない!!)

後者の方では粒子数を固定した非相対論的な量子力学ですでに同じようなことをしている。(俗にいう第二量子化)

以下、本では第二量子化での結論を述べていますがあとの章で量子化の計算を丁寧に書いておくのではここでは省略することにします。

第2問

図において\(AC=AD\)である。このとき\(?\)は何度か?

(算数オリンピック1995トライアル)

【方針1】

図のように\(\triangle ACE\)が正三角形になるように点\(E\)を取る。

\(\angle EAD=150^{\circ}\)で\(\triangle AED\)は二等辺三角形だから\(\angle AED=\angle ADE=\angle EDB=15^{\circ}\)

よって錯覚が等しいから\(AE,DB\)は平行であり、\(AEBD\)は台形

錯覚から\(\angle EAB=\angle ABD=15^{\circ}\)なので\(\triangle AFE,\triangle DFB\)はともに二等辺三角形であり、このことから\(AEBD\)は等脚台形とわかる。

よって、左右は対称だから\(\angle ECB=\angle ACD=45^{\circ}\)であり、\(\angle ECA=60^{\circ}\)と合わせて\(\angle ACB=105^{\circ}\)とわかる。

【方針2】

\(BD\)上に\(\angle ECD=15^{\circ}\)となるように点\(E\)を取る。\(\triangle ACD\)は直角二等辺三角形なので\(\angle EDC=15^{\circ}\)なので\(\triangle ECD\)は二等辺三角形

よって、ニ辺夾角相等から\(\triangle ACE\equiv \triangle ADE\)であり、\(\angle CAE=\angle DAE=45^{\circ}\)

また、\(\angle CED=150^{\circ}\)なので\(\angle CEB=30^{\circ},\angle AEB=75^{\circ} \)であり、\(\angle BAE=90^{\circ}\)

\(E\)から\(AC\)に下ろした垂線の足を\(H\)、\(AB\)と\(AH\)の交点を\(F\)とおく。

\(\angle AFH=45^{\circ}\)なので\(\triangle AFH\)と\(\triangle AEH\)は合同な直角二等辺三角形である。よって\(\triangle CEF\)において\(CH\)は垂線であり、中線でもあるから二等辺三角形。\(ECH=30^{\circ}\)も合わせると\(\triangle CEF\)は正三角形である。

よって、ニ辺夾角相等から\(\triangle FBE\equiv \triangle CBE\)なので\(\angle BCE=135^{\circ}\)であり、\(\angle BCA=105^{\circ}\)とわかる。