未分類」カテゴリーアーカイブ

JMO予選1990問9

正の整数\(n\)に対し,

$$a_n=n^2+50, \ d_n={\rm{gcd}}(a_n,a_{n+1})$$

とする.\(n\)が正の整数全体を動くとき,\(d_n\)の最大値を求めよ.ここで,\({\rm{gcd}}(a,b)\)で\(a\)と\(b\)の最大公約数を表す.

【思考・方針】

下手なことをせず,\(a_n,a_{n+1}\)は\(n\)の式で表せます.あとは最大公約数を求めるときの基本方針の1つである互除法を使えば解決です.

\begin{eqnarray} {\rm{gcd}}(a_n,a_{n+1}) &=&{\rm{gcd}}(n^2+50,n^2+2n+51)\cdots①\\ &=&{\rm{gcd}}(n^2+50,2n+1)\cdots②\\ &=&{\rm{gcd}}(4n^2+200,2n+1)\cdots③\\ &=&{\rm{gcd}}(201,2n+1)\cdots④ \end{eqnarray}

と計算できますね.

①は一般項から,②,③は互除法です.

③に式変形をするところで戸惑うかもしれませんが,これは,②で互除法を使おうとすると分数式が出てしまうので,\(2n+1\)が奇数であるから,\(n^2+50\)を\(4\)倍しても最大公約数は代わらないことを利用した式変形です.

ここまでくれば,\(d_n={\rm{gcd}}(201,2n+1)\)の最大値は\(201\ (2n+1\)が\(201\)の倍数のとき)とわかります.実際に

\begin{eqnarray}a_{100}&=&10050=201\times50\\ a_{101}&=&10251=201\times51 \end{eqnarray}

と計算して確かめておくとよいでしょう.文字の絡んだ互除法になれたい人は以下の類題でも考えてみてください.記念すべき第1回IMOの第1問です.

Q.\(\ \ \)任意の正の整数に対し,\(\frac{21n+4}{14n+3}\)は既約分数であることを示せ.

(IMO1959問1)

【略解】

\(21n+4\)と\(14n+3\)の最大公約数が\(1\)であることを確かめればいいですね.互除法を使うと

\begin{eqnarray}{\rm{gcd}}(21n+4,14n+3)={\rm{gcd}}(7n+1,14n+3)={\rm{gcd}}(7n+1,1)=1 \end{eqnarray}

となりますから,これで無事,示せました!

ちなみに,互除法を使うとこんな簡単に示せてしまう問題で互除法を使っていいのか!という人は,

\begin{eqnarray} -2(21n+4)+3(14n+3)=1\cdots①\end{eqnarray}

であり,もし,\({\rm{gcd}}(21n+4,14n+3)=d\ge 2\)とすると,\(21n+4,14n+3\)は両方\(d\)の倍数なので①の左辺は\(d\)の倍数となるが,①の右辺は\(d\)の倍数でないというふうに説明した方がいいかもしれません.

記念すべき第1回IMOの最初の1問は今と比べ物にならないくらい簡単なのですね.

JMO予選1990問8

正の整数\(n\)に対して定義された関数\(f\)は

$$ f(n) = \begin{cases} n-3 & (n\ge 1000のとき) \\ f(f(n+7)) & (n<1000のとき) \end{cases} $$

満たす.\(f(90)\)を求めよ.

【思考・方針】

関数方程式の問題の基本は,「様々な値を代入」です.(これをしない関数方程式の問題なんて存在しないといっても過言ではないでしょう.)

もちろん,\(n\)が\(1000\)以上のときの\(f(n)\)の値は簡単で,

\( f(1006)=1003\)

\(f(1005)=1002\)

\(f(1004)=1001\)

\(f(1003)=1000\)

\(f(1002)=999\)

\(f(1001)=998\)

\(f(1000)=997\)

はすぐわかるでしょう.また,\(n\)が\(1000\)未満のときの\(f(n)\)の値は上から決まり,

\(f(999)=f(f(1006))=f(1003)=1000\)

\(f(998)=f(f(1005))=f(1002)=999\)

\(f(997)=f(f(1004))=f(1001)=998\)

\(f(996)=f(f(1003))=f(1000)=997\)

\(f(995)=f(f(1002))=f(999)=1000\)

\(f(994)=f(f(1001))=f(998)=999\)

\(f(993)=f(f(1000))=f(997)=998\)

\(f(992)=f(f(999))=f(1000)=997\)

\(f(991)=f(f(998))=f(999)=1000\)

\(f(990)=f(f(997))=f(998)=999\)

\(f(989)=f(f(996))=f(997)=998\)

\(f(988)=f(f(995))=f(1000)=997\)

\(f(987)=f(f(994))=f(999)=1000\)

ここまでくればもうわかるでしょう.(実験はこのくらい徹底的にやりましょう.)「1000,999,998,997」の繰り返しになっていますね.

というわけで\(f(90)=999\)が答えです.

なぜこの規則が成り立つかは帰納法により,(真面目に書くのは面倒ですが,簡単に)確認できますから,各自確認してみてください.「読者への演習問題とする.」ってやつです.

ところで,僕は今紹介した方針で解きましたが,もう一人のこのHPのライターさんは

\begin{eqnarray} f(90)&=&f(f(97))=f(f(f(101)))=\cdots\\ &=&f(f(f(\cdots f(1000)\cdots))) (fが131個) \end{eqnarray}

として,\(f\)が1つつく度に\(f(f(f(\cdots f(1000)\cdots)))\)は

$$1000\rightarrow997\rightarrow998\rightarrow999\rightarrow1000\rightarrow997\cdots$$

のよう,繰り返しになるので,答えは999とかっこよく求めていました!

こちらの方が,説明がしやすいですね.

ちなみに,この問題にかなり酷似した(というか単なる数値が変わっただけの)問題が昔のAIME(アメリカの数学のコンテスト,日本で言うJMO予選のようなものです)に出題されています.

Q.\(\ \ \)正の整数\(n\)に対して定義された関数\(f\)は

$$ f(n) = \begin{cases} n-3 & (n\ge 1000のとき) \\ f(f(n+5)) & (n<1000のとき) \end{cases}$$

満たす.\(f(84)\)を求めよ.

(AIME1984年問7)

全く同じ問題ですから,答えのみの紹介としておきます.\(n\)が\(1000\)未満のときの\(f(n)\)の値は\(n\)が偶数のとき\(997,n\)が奇数のとき\(998\)となり,答えは\(997\)です.もちろん,できますね?

(1990年はJMO予選のようなものが始まった年ですから,このように外国の数学コンテストと似た問題が出題されましたが,近年ではさすがにここまで似た問題が出ることは恐らく無いでしょう.)

JMO予選1990問7

\( A=4^{27}+4^{500}+4^{n}\) が平方数となる最大の自然数\(n\)を求めよ.

【思考\(\cdot\)方針】

平方数の問題で意識すべきは,

\(\cdot\ mod\ 3,mod\ 4\)を考えてみる

の他に,

\(\cdot \ \)平方数同士をかけても平方数

\(\cdot\ \)割りきれるなら,平方数を平方数でわっても平方数

といった「当たり前」や,

\(\cdot\ \)隣り合う平方数同士の差は(\(3,5,7,9,\cdots\)のよう)どんどん大きくなっていく

\(\cdot\ \)隣り合う平方数の間に平方数はない

などの不等式的な見方も重要です.今回はこのような考え方が活躍する問題です.

まず,「最大の自然数\(n\)」なんてそもそも存在するの?と思った人もいるかもしれませんが,これは不等式的に見れば明らかです.\(4^n=(2^n)^2\)は平方数ですから,それに定数\(4^{27}+4^{500}\)を加えても平方数となるには,あまりに\(n\)が大きすぎると,次の平方数\((2^n+1)^2\)にすらたどり着かなくなってしまいます.

(逆に,\(n\)が小さすぎても,\(4^{500}\)の次の平方数に\(A\)が満たないことになりますね.)

\(A\)は偶数ですから,\((2^n+1)^2\)にはならないので,少なくとも\(A\)は\((2^n+2)^2\)以上じゃなければなりません.もしも,\(A\)が\((2^n+2)^2\)に一致すれば答えな気もしますが,残念ながら

$$4^{27}+4^{500}=2^{n+2}+4$$

となり,\(n\)が求まりません.

ここで,\(4^{27}\)が\(4\)だったらなぁ\(\cdots\)と思うわけですが,じゃあ\(4\)にしてしまいましょう.

先ほども言ったよう,\(n\)はある程度は大きい.少なくとも\(27\)よりは大きそうですから,\(n\ge27\)範囲で答えを探ると,\(A\)を\(4^{26}\)でわった,\(4+4^{474}+4^{n-26}\)も平方数のはずです.そしてこれが平方数なのは,少なくとも,\(4^{n-26}=(2^{n-26})^2\)の次の偶数の平方数\((2^{n-26}+2)^2\)以上のとき.

\begin{eqnarray}&∴&4+4^{474}+4^{n-26}\ge(2^{n-26}+2)^2\\ &\Leftrightarrow&4^{474}\ge2^{n-24}\\ &\Leftrightarrow&2^{948}\ge2^{n-24}\\ &\Leftrightarrow&948\ge n-24\Leftrightarrow n\le972\end{eqnarray}

となり,\(n\)が上から押さえられ,しかも,等号が成り立つとき,

$$A=4^{27}+4^{500}+4^{n} =4^{26}(4+4^{474}+4^{n-26})=4^{26}(2^{946}+2)^2$$

となり,平方数となるとわかりましたから,求める\(n\)は\(972\)ですね!

答えだけでなく,真面目な不等式の論証も同時にやったので,少し複雑でしたが,もう1問,似たような考え方が鍵となる問題をみてみましょう.難問です.

Q.\(\ \ 2n^2+1,3n^2+1,6n^2+1\)が全て平方数となる自然数\(n\)は存在しないことを示せ.

(JMO本選2004年問1)

【略解】

難問でしたがいかがでしょうか.このような自然数\(n\)が存在したとします.全て平方数ということはかけても平方数です.しかし,6次式と平方数は相性が微妙なので,さらに\(n^2\)をかけて,8次式にしてしまいましょう.

\begin{eqnarray}&&n^2(2n^2+1)(3n^2+1)(6n^2+1)\\ &=&(6n^4+5n^2+1)(6n^4+n^2)\cdots① \end{eqnarray}

これが平方数となるかどうかですが,これは隣り合う平方数で挟めそうです!

\begin{eqnarray}①&=&36n^8+36n^6+11n^4+n^2\\ (6n^4+3n^2)^2&=&36n^8+36n^6+9n^4\cdots②\\ (6n^4+3n^2+1)^2&=&36n^8+36n^6+15n^4+6n^2+1\cdots③ \end{eqnarray}

より,①は隣り合う平方数②,③の間にあるので,平方数でなくなってしまいました!

よって,条件を満たす自然数$n$は確かに存在しませんね!

やってること自体は簡単だけど思いつくのは難しい.数学オリンピックらしい1問ですね.僕は強くこの問題が印象に残っているのですが,皆さんの「印象に残る1問」に追加されたら嬉しいです.

JMO予選1990問4

\(3\)人の力士\(A,B,C\)が「巴戦」をする.すなわち,まず,\(A,B\)の二人が\(1\)回戦目を行い,\(2\)回戦目以降は前の戦いで勝った人と前の戦いで戦わなかった人が戦う.\(2\)連勝した力士を優勝とする.\(7\)回戦行った上で,\(2\)連勝した力士がいなかった場合は優勝者なしとする.どの力士も各々の戦いで勝つ確率は\(1/2\)として,\(1\)回戦目で負けた力士が優勝する確率を求めよ.

【思考・方針】

大学入試にもよく出題される「巴戦」です.一度この手の問題を経験したことがある,もしくは,日頃から巴戦に親しんでいれば,パターンが実はほぼないことを知っているので楽勝ですし,知らない人も,樹形図を試しに書いてみれば,全然枝分かれしない様子がわかるでしょう.

簡単のため,\(1\)回戦目は\(A\)が勝ったとしましょう.すると

2回戦\(A\)vs\(C\)→\(A\)優勝or\(C\)が勝ち,続行

3回戦\(C\)vs\(B\)→\(C\)優勝or\(B\)が勝ち,続行

4回戦\(B\)vs\(A\)→\(B\)優勝or\(A\)が勝ち,続行

5回戦\(A\)vs\(C\)→\(A\)優勝or\(C\)が勝ち,続行

6回戦\(C\)vs\(B\)→\(C\)優勝or\(B\)が勝ち,続行

7回戦\(A\)vs\(B\)→\(B\)優勝or\(A\)が勝つ

のよう,試合のパターンや各々が優勝するタイミングというのは限られています.

∴\(\ B\)が優勝する確率は\(4\)回戦目で優勝する確率と\(7\)回戦目で優勝する確率を足し合わせ,

\begin{eqnarray}\left(\frac{1}{2}\right)^3+\left(\frac{1}{2}\right)^6=\frac{9}{64}\end{eqnarray}

です.\(A\)が\(1\)回戦目で負けた場合も同様ですから,\(1\)回戦目で負けた力士が優勝する確率は,

\begin{eqnarray}\frac{9}{64}\times2=\frac{9}{32}\end{eqnarray}

ですね!

むしろ気になるのは次のような疑問でしょうか.

Q.\(\ \ \)今の問題に対し,\(7\)回戦目でおしまいにせず,誰かが優勝するまで勝負を続けるとき,最初に戦う力士と最初に戦わない力士はどちらが有利か?

【略解】

\(n\)回やって勝負がつかない確率は\(\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}\)ですから,\(n\to\infty\)とすると\(0\)となるので,優勝者が決まらない確率は\(0\)と見なせます.

\(1\)回戦目で戦わなかった\(C\)が優勝する確率は,\(1\)回戦目のみはどちらが勝ってもいいことに注意して,無限等比級数の公式より,

\begin{eqnarray}&&(3回戦目で優勝が決まる確率)+(6回戦目で優勝が決まる確率)+\cdots\\ &=&\left(\frac{1}{2}\right)^2+\left(\frac{1}{2}\right)^5+\left(\frac{1}{2}\right)^8+\cdots=\left(\frac{1}{4}\right)÷\left(1-\frac{1}{8}\right)=\frac{2}{7}\end{eqnarray}

となります!そして,\(A\)と\(B\)の条件の対等性から,\(A\)が優勝する確率も\(B\)が優勝する確率も同じですから,\(\left(1-\frac{2}{7}\right)÷2=\frac{5}{14}\)となりますね.

これにより,\(A,B,C\)の優勝する確率の比は\(5:5:4\)となりました!\(C\)さんは若干不利なのですね.

ちなみに,\(A\)が\(B\)に勝った状態で次の試合を迎えるとき,\(A,B,C\)の優勝確率はそれぞれ,

\begin{eqnarray}&&\left(\frac{1}{2}\right)^1+\left(\frac{1}{2}\right)^4+\left(\frac{1}{2}\right)^7+\cdots\\ &=&\left(\frac{1}{2}\right)÷\left(1-\frac{1}{8}\right)\\ &=&\frac{4}{7}\\ &&\left(\frac{1}{2}\right)^3+\left(\frac{1}{2}\right)^6+\left(\frac{1}{2}\right)^9+\cdots\\ &=&\left(\frac{1}{8}\right)÷\left(1-\frac{1}{8}\right)\\ &=&\frac{1}{7}\\ &&\left(\frac{1}{2}\right)^2+\left(\frac{1}{2}\right)^5+\left(\frac{1}{2}\right)^8+\cdots\\ &=&\left(\frac{1}{4}\right)÷\left(1-\frac{1}{8}\right)=\frac{2}{7}\end{eqnarray}

となりますね.つまり,巴戦では,

  • 直前の勝負に対して勝った人,戦わなかった人,負けた人の優勝確率の比は\(4:2:1\)
  • \(1\)回戦目で戦わない人は若干不利

ということがわかります.

皆さんも,巴戦をやるときは意地でも\(1\)回戦目に出場するようにしましょうね!

JMO予選1990問3

\(A^2\)の下三桁が\(0\)でない全て同じ数になるという.そのような自然数\(A\)のうち,最小のものを求めよ.

【思考・方針】

皆さん気づきました?\(\ \)僕は,「\(144\)も\(1444\)も平方数」というのを耳にしたことがあったので,どうせ,\(\sqrt{1444}=38\)が答えだろうと思った結果,こんな解答になりました.

\(111,222,\cdots,999\)は\(37\)の倍数だが\(37^2\)の倍数ではないので,平方数でない.

\(1111=11\times101\)は平方数でない.

また,\(\ \)(調べれば簡単にわかるよう,)\(\ \)一の位が\(2,3\)の平方数はありませんから,\(1222,1333\)でない.そして,\(1444=38^2\)より\(38\)が答え.

しかし,まさかこんなに早く平方数が登場するなんて思わなかった!という人もいるでしょうから,他の視点から答えを探っていきましょう.

上の解答にもあったよう,平方数の一の位は限られるので,

$$A^2の下3桁は111,444,555,666,999\cdots①$$

にしぼられます.さらに,整数問題では\(mod\)を考える,特に

$$『平方数を3や4で割った余りは0か1』$$

は平方数の問題の定石です.(知らなかった人は確かめてみましょう.)

今回は\(mod\ 4\)で考えれば,(4で割った余りは下二桁で見抜けますから)\(\ \)①の中で\(4\)で割った余りが\(0\)か\(1\)のものを考えれば,\(A^2\)の下三桁は\(444\)で確定です.

候補は\(1/10\)に絞り込めましたから,\(1444,2444\cdots\)の中から平方数を探すと,いきなり\(1444=38^2\)がみつかってしまうというわけです.

ここまで来ると,次のような疑問が出てきます.

Q.\(\ \ \)下四桁が\(0\)以外のぞろ目であるような平方数は存在するか.

【略解】

上の議論により,下三桁の時点で\(4\)のぞろ目しかありえません.下手に\(mod\)とか考えず,まずは素朴に文字でおいてみましょう.下四桁が\(4444\)の平方数が存在する,つまり,

$$n^2=10000a+4444\cdots①\ \ (n,aは自然数)$$

とします.

すると,\(n\)は偶数ですから,自然数\(m\)を用いて\(n=2m\)と表せ,これを①に代入すると,\(m^2=2500a+1111\)となりますが,これは下二桁が\(11\)の平方数,つまり\(4\)で割った余りが\(3\)の平方数が存在することとなり矛盾です.

∴\(\ \)下四桁が\(0\)以外のぞろ目となる平方数は存在しないことが示せました!

皆さんもお友達に,「\(144,1444\)は平方数だから\(14444\)も平方数なんだ!」とか言ってる人がいたら,注意してあげてくださいね.

JMO予選1990問2

\begin{eqnarray}x^2+25x+52=3\sqrt{x^2+25x+80}\cdots①\end{eqnarray}

の全ての実数解の積を求めよ。

【思考・方針】

①はルートのついた方程式ですから両辺2乗してルートを消しましょう。しかし、それだと大変な4次方程式になってしまいそうですが、\(x^2+25x\)をひとかたまりだと思えば実質2次方程式です。そうすれば方程式が解けそうですから解いてしまいましょう。

簡単のため、\(x^2+25x+52\)をひとかたまりとみて、\(t\)とおきます。①を2乗すると、

\begin{eqnarray}&&t^2=9(t+28)\\ &\Leftrightarrow& t^2-9t-9\times28=0\\ &\Leftrightarrow&(t-21)(t+12)=0\\ &\Leftrightarrow&t=21,-12 \end{eqnarray}

が得られます。ここで、ルートのついた方程式について注意が必要なのは、2乗したら同値変形が崩れる(余計なものまで出てきてしまう)ということです。ルートの同値変形の基本

\begin{eqnarray}A=\sqrt{B}\Leftrightarrow A^2=BかつA\ge 0\end{eqnarray}

を意識すると実は\(t\ge 0\)という条件を付け加える必要があるので、\(t=21\)となります。よって①の解は

\begin{eqnarray}x^2+25x+52=21\Leftrightarrow x^2+25x+31=0\end{eqnarray}

の解であり、(判別式)\(=25^2-4\times31>0\)からこれは異なる2つの実数解を持つので求める実数解の積は解と係数の関係より、\(31\)となりますね。

これは比較的、大学受験的な問題ですし落としたくないですね。もう少し数学オリンピックぽさのあるルートのついた方程式の難問を見てみましょう。

Q.

\begin{eqnarray}x+\sqrt{x(x+1)}+\sqrt{x(x+2)}+\sqrt{(x+1)(x+2)}=2\cdots①\end{eqnarray}

を満たす正の実数\(x\)を求めよ。(JJMO予選2015問7)

【略解】

問7という問題が解けるかどうかは予選通過出来るか否かに大きく関わってくることが多い問題です。みなさんは解けましたでしょうか。

まず、気づかなければならないことは、ルートがたくさんついているので、対称性(?)をよくするために\(x=\sqrt{x}\sqrt{x}\)とみると、

\begin{eqnarray}①\Leftrightarrow(\sqrt{x}+\sqrt{x+1})(\sqrt{x}+\sqrt{x+2})=2\end{eqnarray}

のよう、因数分解できるということです。ここに気付くのが第一段階でしょう。ここからはルートの個数を減らしていくことを考えます。

有理化の要領で両辺に\(\sqrt{x+2}-\sqrt{x}\)をかけることにより、

\begin{eqnarray}2(\sqrt{x}+\sqrt{x+1})=2(\sqrt{x+2}-\sqrt{x})\end{eqnarray}

となり、整理すると

\begin{eqnarray}2\sqrt{x}=\sqrt{x+2}-\sqrt{x+1}\end{eqnarray}

となりますから、両辺2乗すればルートが1個に減らせます!

\begin{eqnarray}&&4x=x+2+x+1-2\sqrt{x+1}\sqrt{x+2}\\ &\Leftrightarrow&3-2x=2\sqrt{x+1}\sqrt{x+2}\end{eqnarray}

さらに両辺を2乗すれば、

\begin{eqnarray}&&4x^2-12x+9=4(x+1)(x+2)\\ &\Leftrightarrow&24x=1\Leftrightarrow x=\frac{1}{24}\end{eqnarray}

となりますね!途中で2乗してしまったことや計算ミスをしてないかの確認などの意味を込めて代入して確かめておくと、

\begin{eqnarray}\frac{1}{24}+\frac{5}{24}+\frac{7}{24}+\frac{35}{24}=2\end{eqnarray}

のように、\(x=\frac{1}{24}\)が解となっていることが確認できます。

なんにせよ、因数分解さえできれば、ルートを消していくという単純作業で解けてしまいました!

このようなA分野(代数)の問題は競技数学の中では比較的、勉強量が点数に結び付きやすい分野かもしれませんね。

JMO1990問1

\(N\)を\(1990\)桁の\(9\)の倍数とする.\(N\)の各桁の和を\(N_1,N_1\)の各桁の和を\(N_2,N_2\)の各桁の和を\(N_3\)とする.\(N_3\)を求めよ.

【思考・方針】

整数問題において,

  • \(\ mod\ \)を考える
  • 不等式的に範囲を考える

といったことは基本中の基本ですが今回は両方とも使います.まず,各桁の和といえば\(\ mod\ 9\ \)を考えるのは定石ですし,各桁の和をとる時点でだいぶ数が小さくなりますから,答えはそう大きくはない\(\ \)(というか,大きすぎると困る)\(\ \)と考えられますね.どちらも発想としては出やすいのではないのでしょうか.

STEP1\( \ \ mod\ 9\ \)で考える

各桁の和を取る操作は\(mod\ 9\)の世界では不変(つまり,元の数を\(9\)で割った余りと各桁の和を\(9\)で割った余りは等しい)なので,\(N\)が\(9\)の倍数であるから\(N_1\)も\(N_2\)も\(N_3\)も全て\(9\)の倍数です.

STEP2\( \ \ \)範囲を上から押さえる

\(N\)の各桁の和が最大となるのは\(9\)が\(1990\)個続くときでその時の各桁の和は

$$9\times 1990=17910\ \ \ \ \ ∴\ N_1\le17910$$

です.ということは,\(N_2\)はどんなに大きくても\(\ \)(\(N_1=9999\)のときを考えて)\(9\times4=36\)\(\ \)以下

さらに\(N_2\)は\(9\)の倍数でしたから,\(N_2=9,18,27,36\)にしぼりこめますが,いずれにしろ\(N_3=9\)となりますね!

IMO(国際数学オリンピック)にも類題が昔に出ておりますから,そちらでもう一度確認してみましょう.少し先程よりも手間はかかるもののすぐに解けるのではないでしょうか.

Q.\(\ N=4444^{4444}\)の各桁の和を\(A\),\(A\)の各桁の和を\(B\),\(B\)の各桁の和を\(C\)とする.\(C\)を求めよ.

(IMO1975年問4)

(注)\(4\)が並んだ不吉な問題だなと思いましたが,冷静に考えたら,開催国のブルガリアには\(4\)が不吉という文化はないのではということに気が付きました.

【略解】

まずは\(\ mod\ 9\ \)を調べましょう.先ほどの議論同様,\(N,A,B,C\)の\(9\)でわった余りは全て等しいです.

$$4444\equiv16\equiv-2\ \ (mod\ 9)$$

より,

$$4444^3\equiv(-2)^3\equiv-8\equiv1\ \ (mod\ 9)$$

ですから,

$$N\equiv4444^{1481\times3+1}\equiv(4444^3)^{1481}\times4444\equiv1^{1481}\times{(-2)}\equiv7\ \ (mod\ 9)$$

より,\(N,A,B,C\)を\(9\)でわった余りは\(7\)ですね.

次に不等式評価です.結構大雑把にしてしまいましょう.

\(N<10000^{4444}\)より,\(N\)は\(4444\times4=17776\)桁以下ですから,\(A\le9\times17776<180000\)ですから,\(8B\le45\)(\(←99999\)の各桁の和)

\(∴\ C\le12\)(←\(39\)の各桁の和)となり,\(C\)の\(9\)で割った余りは\(7\)ですから,\(C=7\)と確定します!

ここまで似た問題が出題されることは稀ですが,似たような考え方の問題というのはいろいろあったりするので,大昔のIMOの問題は比較的解きやすいものも多いですし,挑んでみるのも良いかもしれませんね.

JMO2019本選問2

答え\(\cdots n(n+1)\)

【分析】

まず、「問題を正しく読めたか」というのが勝負の分かれ目なのではないでしょうか。僕自身も数回読み直してから理解しました。この問題のややこしいポイントは「数字を書き込むたびに点数が入る」ということでしょう。つまり、\(3\times 3\)で具体例を挙げると(書き込む数字は1以上9以下ですが \(mod \ 3\)にしか興味がないので\(0,1,2\)を3つずつ書き込むことにします。)

のような感じで点が入り、この場合であれば\(2+2+2+0+1+1+1+1+2=12\)点というわけです。このように最後の書き込まれている数字を見ても書き込む順番が分からなければ点数はわからないわけです。しかし、実は最後に書き込まれている数字を見るとうまい順番で書き込んでも〇〇点しか入らないというふうに上からおさえることができます。たとえばこの例の3行目は\((1,2,0)\)なわけですがこれらはどのような順番で書き込んでも3行目では2点しか入らないというのは明らかですよね?

【略解】

\(mod \ n\)にしか興味はないので\(n\times n\)のマスに\(1\)以上\(n-1\)以下の整数を\(n\)個ずつ書き込むことを考える。

ゲームが終了した時点での数字の書き込みに注目すると\(m\)行目で入る点数は最大でも

$$(m行目にある0の個数)+\left[\frac{(m行目にある0以外の数の個数)}{2}\right]\ 点\cdots ☆$$

である。(∵\(\ \)0は始めに書き込めばそれぞれ1点になり、0以外の数は他の数と足して0を作らないと点が入らないので足して0になるペアができるときが最大)ここで、[a]でaの整数部分を表すことにした。

☆を各行各列に関して和を取ると書き込まれている数字においての点数の上限を与えることができ、

\begin{eqnarray}&&\sum_{m=1}^n\left\{
(m行目にある0の個数)+\left[\frac{
(m行目にある0以外の数の個数) }{2}\right] \right\} \\
&&+\sum_{m=1}^n\left\{
(m列目にある0の個数)+\left[\frac{
(m列目にある0以外の数の個数) }{2}\right] \right\}\\ =&&
\sum_{m=1}^n\left\{
(m行目にある0の個数)+
(m列目にある0の個数) \right\} \\
&&+\sum_{m=1}^n\left\{
\left[\frac{
(m行目にある0以外の数の個数) }{2}\right] +\left[\frac{(
m列目にある0以外の数の個数 )}{2}\right] \right\}\\ \le&& 2n+
\sum_{m=1}^n\left\{
\frac{(
m行目にある0以外の数の個数 )}{2} +\frac{(
m列目にある0以外の数の個数 )}{2} \right\}\\ =&&2n+(n^2-n)=n(n+1) \end{eqnarray}

となる。(∵\(\ \)1つの数字は行と列で2回点数に関与する。)

よって、\(n\times n\)マスでの点数は\(n(n+1)\)以下ということが分かり、\(n(n+1)\)点のものは簡単に作れる。(省略)

(上の例のように数字を書き込むとできます。)

JJMO本選2019問5

【分析】

すぐにわかることとして円周角の定理より

\begin{eqnarray} \angle MAC&=&\angle MKC\cdots ①\\ \angle KAH&=&\angle KMC\cdots②
\end{eqnarray}

があります。つまり、

\begin{eqnarray}\triangle KAH∽\triangle KMC\cdots ③
\end{eqnarray}

を示せば


\begin{eqnarray} \angle AKH=\angle MKC\cdots ④
\end{eqnarray}

となりますから、①④から、\(\angle AKH=\angle MAC\)が示せるのです。
問題は相似を示すところですが、これは、


\begin{eqnarray} KA:AH=KM:MC\cdots ⑤
\end{eqnarray}

を示せば、②⑤より、③の相似が示せます。というわけで、⑤の式を示すことが目標です。
また、\(\angle CMN=\angle CHN=90^{\circ}\)から、\(C,M,H,N\)が同一円周上にあることも円周角の定理の逆からすぐにわかるわけですが、ここから、
・(\(C\)を通る)円がたくさんある
・示したいのは辺の比の式
ということから、\(C\)を原点とした反転をすればよいのでは?という発想にいたることができるかが最大の壁でした。
JJMOの本選では反転を使う問題も度々出題されますし、反転の対策をしていた人は解けたかも知れませんが、多くの人にとっては難しい問題だと思われます。

【略解】
\(C\)を中心とした半径\(r\)の反転円を考え、\(A\)の反転変換後の点を\(A^{\prime}\)のように表すことにする。 (補足②を用いて)この反転変換により、
直線\(BMC,AHC,KNC\)は直線\(M^{\prime}B^{\prime}C,H^{\prime}A^{\prime}C,N^{\prime}K^{\prime}C\)にうつり、
円\(CBAN,CMAK,CMHN\)は直線\(B^{\prime}M^{\prime}N,M^{\prime}A^{\prime}K,M^{\prime}H^{\prime}N\)にうつる。
また、\(BC:MC=2:1\)から、反転の定義より\(B^{\prime}C:M^{\prime}C=1:2\)と計算でき、以上より、反転後の図形は下図のようになる。

チェバの定理より、

\(CK^{\prime}:K^{\prime}N^{\prime}=N^{\prime}H^{\prime}:H^{\prime}M^{\prime}\)であるから、\(H^{\prime}K^{\prime}//M^{\prime}C\)

$$∴\ K^{\prime}A^{\prime}:K^{\prime}M^{\prime}=H^{\prime}A^{\prime}:H^{\prime}C$$


(補足③より)反転前の長さの比の式に直すと



\begin{eqnarray}&& \frac{r^2×KA}{CK×CA}:\frac{r^2×KM}{CK×CM}=\frac{r^2}{CA}-\frac{r^2}{CH}:\frac{r^2}{CH}\\
&∴&\ KM\times \frac{CH-CA}{CK×CM×CA×CH}=\frac{KA}{CK×CA×CH}\\
&∴&\ \frac{KM×AH}{CM}=KA\\
&∴&\ KM×AH=KA×CM
\end{eqnarray}

より目標の比の式⑤が成り立つから、先ほど【分析】で述べたことから、示すべき結論は示された。

【補足】反転
①反転とは
点Aに対し、\(OA\times OA^{\prime}=r^2\)なる半直線\(OA\)上の点\(A^{\prime}\)を対応付ける変換を中心\(O\),\(\ \)半径\(r\)の反転円による反転とよぶ。Oを原点とも呼ぶ。
※無限遠点を付け加え、反転により原点は無限遠点に対応し、逆に、無限遠点は原点に対応すると考えるとよい。

②円円対応
反転変換により、「円または直線」は「円または直線」にうつる。(証明は省略)
(直線を半径\(\infty\)の円と考えれば円が円にうつると思うこともできる。)
特に、原点と無限遠点の動きに着目し、
原点を通る円→原点を通らない直線
原点を通る直線→原点を通る直線
原点を通らない円→原点を通らない円
原点を通らない直線→原点を通る円
である。

③反転と相似
中心\(O\),\(\ \)半径\(r\)の反転円を考え、\(A,B\)の反転変換後の点を\(A^{\prime},B^{\prime}\)とすれば、\(\triangle OAB∽\triangle OB^{\prime}A^{\prime}\)で相似比は\(OA\times OB:r^2\)となる。
(証明は省略)

JMO2019本選問3

【分析】

入賞を目指すならこの問題までは落とせないといったところでしょうか。見た目がごつくて一瞬びびってしまいますがこのような問題の定石「\(x,y\)に適当に数字を代入して必要条件調べる」で攻めていきましょう。しかし、本選だけあってこれだけでは\(f(2)\)が鍵なのかな?といったことはわかるものの手が止まってしまいます。そこで今回は\(f\)の候補を探すことにしましょう。(見つけたら部分点をもらえる可能性もありますし)そうすると\(f\)の候補として定数項のない1次関数が見つかるのではないでしょうか。実はこれ以外にはないということが示せてしまいます。

【略解】

$$f\left(\frac{f(y)}{f(x)}+1\right)=f\left(x+\frac{y}{x}+1\right)-f(x)\cdots ☆$$

☆に\(y=x\)を代入すると

$$f(2)=f(x+2)-f(x)\cdots ①$$

☆に\(x=2\)を代入すると

\begin{eqnarray}f\left(\frac{f(y)}{f(2)}+1\right)&=&f\left(2+\frac{y}{2}+1\right)-f(2)\\ &=&f\left(\frac{y}{2}+1\right)\ (∵①)\cdots \# \end{eqnarray}

ここで、\(f\)で飛ばして等しいならば飛ばす前も等しいということが言えたら、\(f\)は定数項を持たない一次関数ということが言えますから\(f\)が単射であることを示していきましょう。つまり、

$$任意のa,bに対して、\ f(a)=f(b)\Rightarrow a=b$$

が成り立つことを示しましょう。\(f(a)=f(b)\)を仮定します。☆に\(x=a,b\)を代入するとそれぞれ

\begin{eqnarray}
f\left(\frac{f(y)}{f(a)}+1\right)=f\left(a+\frac{y}{a}+1\right)-f(a) \cdots ③ \\
f\left(\frac{f(y)}{f(b)}+1\right)=f\left(b+\frac{y}{b}+1\right)-f(b) \cdots ④\end{eqnarray}

仮定より、③、④において左辺と右辺第二項はそれぞれ等しいので任意の正の実数\(y\)に対して

$$f\left(a+\frac{y}{a}+1\right)=
f\left(b+\frac{y}{b}+1\right) \cdots ⑤$$

が成り立ちます。\(a\not =b\)とし、\(y\)を大きくすると

$$
\left|\left(a+\frac{y}{a}+1\right) –
\left(b+\frac{y}{b}+1\right) \right|$$

はいくらでも大きくできるので例えばこれが\(2n\ (n\)は自然数)となるように\(y\)を選ぶことができます。すると①により、⑤の両辺の差は\(n\times f(2)\)となるので\(f(2)=0\)

よって、これは矛盾で\(a=b\)となります。つまり、\(f\)が単射であることが分かりましたので#で単射性を用いて、

\begin{eqnarray}
\frac{f(y)}{f(2)}+1&=&
\frac{y}{2}+1 \\ f(y)&=&\frac{f(2)}{2}y\end{eqnarray}

とわかり、結局、\(f(x)=mx\)の形しかありえず、これが条件☆を満たすことは簡単に確認できます。