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素粒子標準模型7:レプトンセクター:レプトンセクターのまとめ

\begin{eqnarray}
\mathcal{L}_{lepton}
&=&
\sum_{I=1,2,3}
\left[
i\bar{L}_{Ii}\bar{\sigma}^\mu(D\mu L_I)_{i} + i{\ell}_{I_R}^\dagger\sigma^\mu D_\mu {\ell}_{I_R} \right] -\sum_{I,J=1,2,3}y^l_{IJ}\left(
\bar{L}_{Ii}H_i\ell_{J_R}+c.c\right)\\
&\Downarrow&SSB&ユニタリ変換\nonumber\\
&=&\sum_{I=1,2,3}
\left[\bar{\psi}_{\nu_I}i\Slash{\partial}P_L\psi_{\nu_I}
+
\bar{\psi}_{\ell_I}\left(i\Slash{\partial}-m_{\ell_I}\right)\psi_{\ell_I}
-\frac{m_{\ell_I}}{v}h\bar{\psi}_{\ell_I}\psi_{\ell_I}
\right.\nonumber\\
&&~~~~~~~~~~~~~~-e\bar{\psi}_{\ell_I}\gamma^\mu\psi_{\ell_I}A_\mu + \frac{e}{\sqrt{2}\sin\theta_w} \bar{\psi}_{\nu_I}\gamma^\mu P_L\psi_{\ell_I}W^+_\mu + \frac{e}{\sqrt{2}\sin\theta_w} \bar{\psi}_{\ell_I}\gamma^\mu P_L\psi_{\nu_I}W^-_\mu\nonumber\\
&&~~~~~~~~~~~~~~
\left.+
\left(
\frac{e}{2\sin\theta_w\cos
\theta_w}
\left(
\bar{\psi}_{\nu_I}\gamma^\mu P_L\psi_{\nu_I}-
\bar{\psi}_{\ell_I}\gamma^\mu P_L\psi_{\ell_I}
\right)
+
e\tan\theta_w
\bar{\psi}_{\ell_I}\gamma^\mu\psi_{\ell_I}
\right)Z_\mu\right]\nonumber\\
\nonumber\\
&=&
\sum_{I=1,2,3}
\left[\bar{\psi}_{\nu_I}i\Slash{\partial}P_L\psi_{\nu_I}
+
\bar{\psi}_{\ell_I}\left(i\Slash{\partial}-m_{\ell_I}\right)\psi_{\ell_I}
-\frac{m_{\ell_I}}{v}h\bar{\psi}_{\ell_I}\psi_{\ell_I}\right.\nonumber\\
&&~~~~~~~~~~~~~~\left.+
J^\mu_{\ell_I,em}A_\mu+J^\mu_{\ell_I,Z}Z_\mu
+
J^{\mu}_{\ell_I,+}W^-_\mu+J^{\mu}_{\ell_I,-}W^+_\mu\right]
\end{eqnarray}
\begin{eqnarray}
J^{\mu}_{\ell_I,+}&\equiv&
\frac{e}{\sqrt{2}\sin\theta_w} \bar{\psi}_{\ell_I}\gamma^\mu P_L\psi_{\nu_I}\\
J^{\mu}_{\ell_I,-}&\equiv&\frac{e}{\sqrt{2}\sin\theta_w}\bar{\psi}_{\nu_I}\gamma^\mu P_L\psi_{\ell_I}\\
J^\mu_{\ell_I,em}&\equiv&-e\bar{\psi}_{\ell_I}\gamma^\mu\psi_{\ell_I}\\
J^\mu_{\ell_I,Z}&\equiv&\frac{e}{2\sin\theta_w\cos
\theta_w}
\left(
\bar{\psi}_{\nu_I}\gamma^\mu P_L\psi_{\nu_I}
-\bar{\psi}{\ell_I}\gamma^\mu P_L\psi{\ell_I}
\right)
+
e\tan\theta_w
\bar{\psi}_{\ell_I}\gamma^\mu\psi_{\ell_I}\nonumber\\
&=&
\frac{e}{2\sin\theta_w\cos
\theta_w}
\left(
\bar{\psi}_{\nu_I}\gamma^\mu P_L\psi_{\nu_I}
-\bar{\psi}_{\ell_I}\gamma^\mu P_L\psi_{\ell_I}
\right)
\tan\theta_w J^\mu_{\ell_I,em}
\end{eqnarray}

素粒子標準模型6:レプトンセクター:質量項の世代間混合

以上の話しでは電子・ニュートリノの第一世代に議論を絞っていた。以上の話しを第3世代まで含むように拡張しよう。まず運動項はどの世代でも一緒になるのはいいだろう。つまり第\(I\)世代の左手型レプトンのダブレットと右手型レプトンシングレットを
\begin{eqnarray}
L_I=\begin{pmatrix}
\nu_I\\
\ell_{I_L}
\end{pmatrix}
~~~~
\ell_{I_R}
\end{eqnarray}
と書くことにすると、運動項は全て
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}_{lepton-kin}=
\sum_{I=1,2,3}
\left[
i\overline{L}_{Ii}\bar{\sigma}^\mu (D_\mu L_I)_{i} + i{\ell}_{I_R}^\dagger\sigma^\mu (D_\mu {\ell}_{I_R})
\right]
\end{eqnarray}
となる。一方で質量項には変化がある。というのも、世代に依らずレプトンは同じ量子数を持っているから、先程の質量項を第3世代まで拡張した時の一般形は単なる和になるのではなく、
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}_{lepton-mass}=
-\sum_{I,J=1,2,3}\left(
y^l_{IJ}\bar{L}_{Ii}H_i\ell_{J_R}+c.c\right)
\end{eqnarray}
が一般形になる。係数\(y\)が添字\(I,J\)を持つように拡張されたのだが、今までの議論を思い出すと明らかなように、このように拡張してもゲージ対称性と無矛盾になっており、ラグランジアンの項として許される。しかしながら、実はこの係数は今からお見せするように一般性を失わずに\(y_{IJ}\propto\delta_{IJ}\)の対角形に取ることが出来る。まず運動項は世代を混ぜるユニタリ変換
\begin{eqnarray}
L_{Ii}&\to& U_{IJ}L_{Ji}\\
\ell_{I_R}&\to&V_{IJ}\ell_{J_R}
\end{eqnarray}
の下で明らかに不変である。この変換を質量項に施すと
\begin{eqnarray}
y^l_{IJ}\bar{L}_{Ii}H_i\ell_{J_R}
&\to&
y^l_{IJ}U^\ast_{II^\prime}\bar{L}_{I^\prime i}H_iV_{JJ^\prime}\ell_{J^\prime_R}\\
&=&
(U^\dagger_{I^\prime I}y^l_{IJ}V_{JJ^\prime})\bar{L}_{I^\prime i}H_i\ell_{J^\prime_R}\\
\end{eqnarray}
となるが、括弧で括った部分は\(U,V\)を適当に取ることで線形代数の一般論により対角形に出来、しかも対角成分は実数に持ち込める。よって、実数\(y_{\ell_I}\)を用いて質量項は一般に以下のように取れる。
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}_{lepton-mass}=
-\sum_{I=1,2,3}y_{\ell_I}\left(
\bar{L}_{Ii}H_i\ell_{I_R}+c.c\right)
\end{eqnarray}
同じ議論なので省略するが、この質量項はSSB後に
\begin{eqnarray}
\psi_{\ell_I}&&\equiv\begin{pmatrix}
\ell_{I_L}\\
\ell_{I_R}
\end{pmatrix}\\
m_{\ell_I}&&\equiv \frac{y_{\ell_I}v}{\sqrt{2}}
\end{eqnarray}
を用いて、
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}_{lepton-mass}
\xrightarrow{SSB}
\sum_{I=1,2,3}\left[-m_{\ell_I}\bar{\psi}_{\ell_I}\psi_{\ell_I}-\frac{m_{\ell_I}}{v}h\bar{\psi}_{\ell_I}\psi_{\ell_I}\right]
\end{eqnarray}
という項を生成する。言うまでもなく、第一項が質量項になる。ここでポイントだが、第二項目がレプトンーレプトンーヒッグスの相互作用を表しており、レプトン(クォークも)は自身の質量に比例した強度でヒッグスと相互作用することが分かる。

素粒子標準模型5:レプトンセクター:質量項

次の目標は質量項の導入であるが、いつものように場の二次形式で導入するとゲージ対称性が壊れる。そこで湯川項を入れ、対称性を破って質量を導入する。まずヒッグス場、左手型レプトン、右手型レプトンのゲージ量子数を再掲すると
\begin{eqnarray}
H&\to&\left(1,2,\frac{1}{2}\right)\\
L&\to&\left(1,2,-\frac{1}{2}\right)\\
{e}_R&\to&\left(1,1,-1\right) \end{eqnarray}
であるので、ハイパーチャージの加法性からざっくり見てやると\(L^\dagger\times H\times{e}_R\)のように組み合わせると、ちょうどゲージ量子数\((1,1,0)\)のゲージ不変な項が構成できる。ここでエルミート共役を単純に取っただけでは少しまずいので、この考えに基づいてちゃんと考えてみよう。 まず\(L_i\)が\(SU(2)\)の下で
\begin{eqnarray}
L_i^\prime=\exp\left[i\theta^aT^a\right]_{ij}L_j~~~T^a=\frac{1}{2}\sigma^a
\end{eqnarray}
と変換すると、エルミート共役を取ることで
\begin{eqnarray}
(L_i^\prime)^\dagger=\exp\left[-i\theta^aT^{a\ast}\right]_{ij}L_j^\dagger =\exp\left[i\theta^a(-T^{a\ast})\right]_{ij}L_j^\dagger
\end{eqnarray}
となり、\(SU(2)\)の2表現に対する複素表現で変換することが分かる。しかし\(2\)表現の複素表現は2表現と等価なので、2表現に直そう。そのためには恒等式\(\sigma^2(-\sigma^i)^\ast\sigma^2=\sigma^i\)と使えばよく、
\begin{eqnarray}
(i\sigma^2L^\prime)^\dagger_i
&=&
\left[(i\sigma^2)\exp\left(i\theta^a(-T^{a\ast})\right)\right]_{ij}(i\sigma^2L^\dagger)_j\\
&=&\exp\left[i\theta^aT^a\right]_{ij}
(i\sigma^2L^\dagger)_j
\end{eqnarray}
が得られる。これにより2表現に属する場が得られた。この場\(i\sigma^2L^\dagger\)は\(L\)のエルミート共役を取っているので、ハイパーチャージが反転して量子数
\begin{eqnarray}
L^c\equiv i\sigma^2L^\dagger=\begin{pmatrix}
1,2,\frac{1}{2}
\end{pmatrix}
\end{eqnarray}
の場が得られる。ここまで来ると話は簡単である。まず(右手型レプトンは\(SU(2)\)シングレットなので無視して)ヒッグス\(H\)と左手型レプトン\(i\sigma^2L^\dagger\)が\(SU(2)\)ダブレットなので、これらから\(SU(2)\)シングレットを作らなければならない。ここで\(SU(2)\)ダブレットは角運動量代数のスピン1/2と同じ構造を持っている。角運動量代数を思い出すと、スピン\(\frac{1}{2}\)を2つ掛けたものは、スピン1状態とスピン0状態に分解できたことを思い出そう。スピン1/2に属する2つの場\(\psi_1=\begin{pmatrix}
\psi^1_1\\
\psi^2_1
\end{pmatrix}\)と\(\psi_2\begin{pmatrix}
\psi^1_2\\
\psi^2_2
\end{pmatrix}\)があった時、これらの積を考えると
\begin{eqnarray}\psi_1^a\psi_2^a
\frac{1}{2}\left(
\psi^a_1\psi^b_2+\psi^a_2\psi^b_1
\right)
+
\frac{1}{2}\left(
\psi^a_1\psi^b_2-\psi^a_2\psi^b_1
\right)
\end{eqnarray}
と分解でき、この第二項がスピン0状態、すなわち\(SU(2)\)シングレットになっている。この第二項は
\begin{eqnarray}
\psi^a_1\psi^b_2-\psi^a_2\psi^b_1=
\epsilon^{ij}\psi^a_i\psi^b_j
\end{eqnarray}
と書けるので、これを参考にすると
\begin{eqnarray}
\epsilon^{ij}{L}^c_iH_j
\end{eqnarray}
が\(SU(2)\)シングレットになっていると分かるだろう。あとはここに\(\bar{e}_R\)を組み込んで\(U(1)\)スカラーにしなければならない。しかし\(U(1)\)ハイパーチャージは加法的なので、これは単に掛ければよく

\begin{eqnarray} (\epsilon^{ij}{L}^c_iH_j){e}_R \end{eqnarray}

とすればいい。これは全てのゲージ対称性に関してシングレットになっており、欲しかった項である。またローレンツ変換に対してもローレンツスカラーになっているので、これが最終的な結果である。なお(c)の記号があると見づらいので、等式変形しておこう。

\begin{eqnarray}
(\epsilon^{ij}{L}^c_iH_j){e}_R&=& \epsilon^{ij}(i\sigma^2{ik}L_k^\dagger)H_je_R\\
&=&
(i\sigma^2)^{ij}(i\sigma^2_{ik}L_k^\dagger)H_je_R\\
&=&L^\dagger_iH_ie_R\\
&=&\bar{L}_iH_ie_R
\end{eqnarray}
こちらのほうが見やすいだろう。こちらの表式を採用しよう。これに適当な係数を掛ければラグランジアンの候補になるのだが、取り敢えず簡単な形のまま調べてみよう。真空を破ってヒッグスが真空期待値を得たとすると、
\begin{eqnarray}
L^\dagger_iH_ie_R
&=&
H_iL_i^\dagger{e}_R\\
&\propto&
(0,v+h)\begin{pmatrix}
\nu^\dagger\\
e_L^\dagger
\end{pmatrix}{e}_R\\
&=&
(v+h)e_L^\dagger{e}_R\\
(真空期待値の項だけ拾うと)&\to&
ve_L^\dagger{e}_R
\end{eqnarray}
ラグランジアンにはエルミート共役の項も含まれるので、上記の項のエルミート共役がセットになっている。つまりラグランジアンには
\begin{eqnarray}
ve_L^\dagger{e}_R+(ve_L^\dagger{e}_R)^\dagger
\end{eqnarray}
の形で現れる。第二項を計算すると\(v{e}_R^\dagger e_L\)になるので、合わせると
\begin{eqnarray}ve_L^\dagger\bar{e}_R+(ve_L^\dagger\bar{e}_R)^\dagger
ve_L^\dagger{e}R+v{e}_R^\dagger e_L \end{eqnarray}

を得る。ここで先程のディラックスピノル

\begin{eqnarray} \psi_e\equiv\begin{pmatrix} e_L\\
{e}_R \end{pmatrix} \end{eqnarray}

を用いると、上記の項は以下のようにディラック質量項として書ける。

\begin{eqnarray} v\bar{\psi}_e\psi_e \end{eqnarray}

このようにして電子の質量項が自発的対称性の破れを通して得られる。以上を纏めると電子の質量項は

\begin{eqnarray} \mathcal{L}_{electron-mass}=-\left(y^l\bar{L}_iH_ie_R+c.c\right)
\end{eqnarray}

となる。

素粒子標準模型4:レプトンセクター:レプトンの運動項

レプトンは六種類存在し
\begin{eqnarray}
第一世代&:&電子/電子ニュートリノ\\
第二世代&:&μ粒子/μニュートリノ\\
第三世代&:&τ粒子/τニュートリノ
\end{eqnarray}
の組で世代を構成している。物質場の特徴として、左手系は\(SU(2)\)のダブレットを組むのだが、
右手系はシングレットになっている。従って\(SU(2)\)ゲージ場からは力を受けない。簡単のために第一世代に話しを限る。拡張は簡単なので
後から行う。

まず電子と電子ニュートリノの左手ワイルスピノルをダブレットに組もう。
\begin{eqnarray}
L\equiv\begin{pmatrix}
\nu_e\\
e_L
\end{pmatrix}
\end{eqnarray}
これとは別に右手の電子ワイルスピノル\({e}_R\)も準備しておこう(二点注意:(1)ここでは説明のために一旦右手型ワイルスピノルに付けているバーを外して、添字\(R\)で右手型を明示しておく。これは文字の煩雑さを避けるための処方である。(2)\(e_L\)と\(e_R\)でどちらにも\(e\)という文字を使っているが、この時点では全く無関係のスピノルであるので注意していただきたい。つまり例えば(右手と左手はエルミート共役で移り変わるが)\(e^\dagger_L=e_R\)のようになるようなものではないので注意)。このダブレットは\(SU(2)\)変換\(U\)の下で

\begin{eqnarray} L\to UL \end{eqnarray}

のように変換される。ここでの注意は上下のワイルスピノルを混ぜているのであって、単一のワイルスピノルの2成分を混ぜているわけではない。

まず運動項を構成すると、ダブレットは\(SU(2)\)ゲージ場の力を受けるので以下の共変微分を持つ。なお後で決めるのだが、この段階では左手型レプトンのハイパーチャージは分からないので、以下では\(Y=\begin{pmatrix} C&0\\0&C \end{pmatrix}\)としておいた。

\begin{eqnarray} &&\left[\partial_\mu-i\left(
g_2W_\mu^aT^a+g_1B_{\mu}Y
\right)\right]L\\
&=&
\begin{pmatrix}\partial_\mu-\frac{i}{2}g_2W_\mu^3
\frac{i}{2}Cg_1B_\mu
&
-\frac{i}{2}g_{2}(W_\mu^1-iW_\mu^2)\\
-\frac{i}{2}g_2(W_\mu^1+iW_\mu^2)
&\partial_\mu+\frac{i}{2}g_2W_\mu^3
\frac{i}{2}Cg_1B_\mu
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
\nu_e\\
e_L
\end{pmatrix}
\\
&=&
\begin{pmatrix}
\partial_\mu
-\frac{i}{2}\left[
(g_2c_w-Cg_1s_w)Z_\mu
+
(g_2s_w+Cg_1c_w)A_\mu
\right]&
-\frac{i}{2}g_{2}(W_\mu^1-iW_\mu^2)\\
-\frac{i}{2}g_2(W_\mu^1+iW_\mu^2)&
\partial_\mu
-\frac{i}{2}\left[
(-g_2c_w-Cg_1s_w)Z_\mu
+
(-g_2s_w+Cg_1c_w)A_\mu
\right]
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
\nu_e\\
e_L
\end{pmatrix}\nonumber\\
\end{eqnarray}
ここでニュートリノが電荷を持たない事を思い出そう。1-1成分がニュートリノの共変微分に相当するので、ニュートリノが\(U(1)\)ゲージ場:\(A_\mu\)とカップリングしないように、その前の係数は0でなければならない。これより
\begin{eqnarray}
g_2s_w+Cg_1c_w=0
\Rightarrow
C=-\frac{g_2}{g_1}\tan\theta_w=-1
\end{eqnarray}
また逆に電子は電荷\(-e\)を持つので、2-2成分の共変微分を考慮すると
\begin{eqnarray}
-e=\frac{-g_2s_w+Cg_1c_w}{2}
\end{eqnarray}
が成り立つべきで、これを変形することで
\begin{eqnarray}
-e&=&\frac{-g_2s_w+Cg_1c_w}{2}
=-g_2\sin\theta_w=-g_1\cos\theta_w\\
\nonumber\\
\Rightarrow e&=&g_2\sin\theta_w=g_1\cos\theta_w
\end{eqnarray}

という、我々が古来より知っている単位電荷とゲージカップリングとの関係が明らかになった。取り敢えず\(C=-1\)であると分かったので、先程の共変微分を変形していく。
\begin{eqnarray}
&&\left[\partial_\mu-i\left(
g_2W_\mu^aT^a-g_1B_{\mu}Y
\right)\right]L\\
&=&
\begin{pmatrix}
\partial_\mu
-\frac{i}{2}\left[
(g_2c_w-Cg_1s_w)Z_\mu
+
(g_2s_w+Cg_1c_w)A_\mu
\right]&
-\frac{i}{2}g_{2}(W_\mu^1-iW_\mu^2)\\
-\frac{i}{2}g_2(W_\mu^1+iW_\mu^2)&
\partial_\mu
-\frac{i}{2}\left[
(-g_2c_w-Cg_1s_w)Z_\mu
+
(-g_2s_w+Cg_1c_w)A_\mu
\right]
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
\nu_e\\
e_L
\end{pmatrix}\nonumber\\
\\
&=&
\begin{pmatrix}
\partial_\mu
-\frac{i}{2}\left[
(g_2c_w+g_1s_w)Z_\mu
+
(g_2s_w-g_1c_w)A_\mu
\right]&
-\frac{i}{2}g_{2}(W_\mu^1-iW_\mu^2)\\
-\frac{i}{2}g_2(W_\mu^1+iW_\mu^2)&
\partial_\mu
-\frac{i}{2}\left[
(-g_2c_w+g_1s_w)Z_\mu
+
(-g_2s_w-g_1c_w)A_\mu
\right]
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
\nu_e\\
e_L
\end{pmatrix}\nonumber\\
\\
&=&\begin{pmatrix}
\partial_\mu
-\frac{i}{2}
\sqrt{g_1^2+g_2^2}Z_\mu
&
-\frac{i}{\sqrt{2}}g_{2}W^+\mu\% -\frac{i}{\sqrt{2}}g_2W\mu^-&
\partial_\mu
+\frac{i}{2}
\frac{g^2_2-g_2^1}{\sqrt{g_1^2+g_2^2}}Z_\mu
+
ie
A_\mu
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
\nu_e\\
e_L
\end{pmatrix}\\
&=&\begin{pmatrix}
\partial_\mu
-\frac{i}{2}
\sqrt{g_1^2+g_2^2}Z_\mu
&
-\frac{i}{\sqrt{2}}g_{2}W^+\mu\\
-\frac{i}{\sqrt{2}}g_2W\mu^-&
\partial_\mu
+\frac{i}{2}
\frac{g^2_2-g_2^1}{\sqrt{g_1^2+g_2^2}}Z_\mu
+
ie
A_\mu
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
\nu_e\\
e_L
\end{pmatrix}
\end{eqnarray}
表式が物凄く汚いが、これ以上綺麗にはならない。最後に右手の電子共変微分も定義しておこう。右手型電子のハイパーチャージを\(Y=C^\prime\)として、電荷\(-e\)を持つことを要請して\(C^\prime\)を決めよう。まず共変微分をいつものように
\begin{eqnarray}
D_\mu {e}R&\equiv& (\partial_\mu-ig_1B_\mu Y){e}R\\
&=& (\partial_\mu-ig_1B_\mu C^\prime){e}R\\
&=& (\partial_\mu+ig_1s_wC^\prime Z_\mu-ig_1c_wC^\prime A_\mu){e}R
\end{eqnarray}

と書いたとする。前述のようにゲージ場\(A_\mu\)に対して電荷\(-1\)でカップリングすることを要請すると、\(-ig_1\cos\theta_wC^\prime=ie\)になるべきで、先程導いた公式\(g_1\cos\theta_w=e\)を用いることで右手型電子のハイパーチャージは\(Y=C^\prime=-1\)であると言える(このように選ぶことで右手型と左手型で\(U_{em}(1)\)チャージは同じになる。弱い相互作用を考えない限り、電磁気力に対してはカイラル対称性が保持されるので、右と左で電荷に差があってはいけない)。従って共変微分は

\begin{eqnarray}
D_\mu e_R&=&
(\partial_\mu-ig_1YB_\mu){e}_R\\
&=&(\partial_\mu
ie\tan\theta_wZ_\mu
+
ieA_\mu){e}_R
\end{eqnarray}
と定まる。

以上で共変微分を書き下せたので、運動項を構成すると
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}_{kin}=
i\bar{L}i\bar{\sigma}^\mu (D_\mu L)i + i{e}_R^\dagger\sigma^\mu (D_\mu {e}_R) \end{eqnarray}

となる。これについてもう少し変形してみよう。まず左手型から顕に式変形してみよう。

\begin{eqnarray}
&&
i\bar{L}_i\bar{\sigma}^\mu (D_\mu L)_i\
\nonumber\\
&=&
i(\bar{\nu}_e,\bar{e}_L) \bar{\sigma}^\mu
\begin{pmatrix}
\partial_\mu-\frac{i}{2}\sqrt{g_1^2+g_2^2}Z_\mu
&
-\frac{i}{\sqrt{2}}g_{2}W^+_\mu\\
-\frac{i}{\sqrt{2}}g_2W\mu^-
&\partial_\mu+\frac{i}{2}\frac{g^2_2-g_2^1}{\sqrt{g_1^2+g_2^2}}Z_\mu
+
ie
A_\mu
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
\nu_e\\
e_L
\end{pmatrix}\\
&=&
i\bar{\nu}_e\bar{\sigma}^\mu
\left\{
\left(\partial_\mu-\frac{i}{2}\sqrt{g^2_1+g^2_2}Z_\mu\right)\nu_e
\frac{i}{\sqrt{2}}g_2W^+_\mu e_L\right\}\\
&&~+i\bar{e}_L\bar{\sigma}^\mu\left\{
\left(\partial_\mu+\frac{i}{2}\frac{g^2_2-g_2^1}{\sqrt{g_1^2+g_2^2}}Z_\mu
+
ieA_\mu\right)e_L
\frac{i}{\sqrt{2}}g_2W^-_\mu\nu_e
\right\}\\
&=&
i\bar{\nu}_e\bar{\sigma}^\mu\partial_\mu\nu_e
+
i\bar{e}_L\bar{\sigma}^\mu\partial_\mu e_L\nonumber\\
&&
+
\left(
\frac{
\sqrt{g^2_1+g^2_2}}{2}\bar{\nu}_e\bar{\sigma}^\mu\nu_e
\frac{1}{2}\frac{g^2_2-g^2_1}{\sqrt{g_1^2+g_2^2}}
\bar{e}_L\bar{\sigma}^\mu e_L
\right)Z_\mu
+
\left(
-e\times\bar{e}_L\bar{\sigma}^\mu e_L\right)A_\mu\\
&&+
\frac{g_2}{\sqrt{2}}\bar{\nu}_e\bar{\sigma}^\mu e_LW^+_\mu
+
\frac{g_2}{\sqrt{2}}\bar{e}L\bar{\sigma}^\mu \nu_eW^-_\mu
\end{eqnarray}

右手系は既に簡単な形にまとまっているので、これを纏めると以下を得る。
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}_{lepton-kin}&=&
i\bar{\nu}e\bar{\sigma}^\mu\partial_\mu \nu_e
+
i\bar{e}L\bar{\sigma}^\mu\partial_\mu e_L
+
i\bar{e}R\sigma^\mu\partial_\mu e_R
\nonumber\\
&&
+
\left(
\frac{\sqrt{g^2_1+g^2_2}}{2}\bar{\nu}_e\bar{\sigma}^\mu\nu_e
\frac{1}{2}\frac{g^2_2-g^2_1}{\sqrt{g_1^2+g_2^2}}
\bar{e}L\bar{\sigma}^\mu e_L + e\tan\theta_w\bar{e}_R\sigma^\mu e_R \right)Z\mu\\
&&+
\left(
-e\times\bar{e}L\bar{\sigma}^\mu e_L -e\times\bar{e}_R\sigma^\mu e_R \right)A\mu\\
&&
+
\frac{g_2}{\sqrt{2}}\bar{\nu}e\bar{\sigma}^\mu e_LW^+\mu
+
\frac{g_2}{\sqrt{2}}\bar{e}L\bar{\sigma}^\mu \nu_eW^-\mu
\end{eqnarray}
ここで気付くか気づかないの境界線だが、
\begin{eqnarray}
\psi_e\equiv\begin{pmatrix}
e_L\\
e_R
\end{pmatrix}
~~
\psi_\nu\equiv\begin{pmatrix}
\nu_e\\
0
\end{pmatrix}=P_L\psi_\nu
\end{eqnarray}
という2つのディラックスピノルを導入すると綺麗にまとめる事ができる。
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}_{lepton-kin}
&=&
\bar{\psi}_{\nu_e}i\Slash{\partial}P_L\psi_{\nu_e}
+
\bar{\psi}_ei\Slash{\partial}\psi_e\nonumber\\
&&
-e\bar{\psi}_e\gamma^\mu\psi_eA_\mu
+
\frac{g_2}{\sqrt{2}}
\bar{\psi}_{\nu_e}\gamma^\mu P_L\psi_eW^+_\mu
+
\frac{g_2}{\sqrt{2}}
\bar{\psi}_e\gamma^\mu P_L\psi_{\nu_e}W^-_\mu\nonumber\\
&&
+
\left(
\frac{\sqrt{g^2_1+g^2_2}}{2}\bar{\psi}_{\nu_e}\gamma^\mu P_L\psi_{\nu_e}
\frac{1}{2}\frac{g^2_2-g^2_1}{\sqrt{g_1^2+g_2^2}}
\bar{\psi}_e\gamma^\mu P_L\psi_e + e\tan\theta_w\bar{\psi}_e\gamma^\mu P_R\psi_e \right)Z\mu\nonumber\\
\end{eqnarray}

ここで最後の項をもう少し変形すると

\begin{eqnarray}
&&\left(
\frac{\sqrt{g^2_1+g^2_2}}{2}\bar{\psi}_{\nu_e}\gamma^\mu P_L\psi_{\nu_e}
\frac{1}{2}\frac{g^2_2-g^2_1}{\sqrt{g_1^2+g_2^2}}
\bar{\psi}_e\gamma^\mu P_L\psi_e
+
e\tan\theta_w\bar{\psi}_e\gamma^\mu P_R\psi_e
\right)\\
&=&
\frac{\sqrt{g^2_1+g^2_2}}{2}
\left(\bar{\psi}_{\nu_e}\gamma^\mu P_L\psi_{\nu_e}
\bar{\psi}_e\gamma^\mu P_L\psi_e
\right)
+
\frac{g^2_1}{\sqrt{g_1^2+g_2^2}}
\bar{\psi}_e\gamma^\mu P_L\psi_e
+
e\tan\theta_w\bar{\psi}_e\gamma^\mu P_R\psi_e\\
&=&
\frac{\sqrt{g^2_1+g^2_2}}{2}
\left(\bar{\psi}_{\nu_e}\gamma^\mu P_L\psi_{\nu_e}
\bar{\psi}_e\gamma^\mu P_L\psi_e
\right)
+
g_1\sin\theta_w
\bar{\psi}_e\gamma^\mu P_L\psi_e
+
e\tan\theta_w\bar{\psi}_e\gamma^\mu P_R\psi_e\\
&=&
\frac{\sqrt{g^2_1+g^2_2}}{2}
\left(\bar{\psi}_{\nu_e}\gamma^\mu P_L\psi_{\nu_e}
\bar{\psi}_e\gamma^\mu P_L\psi_e
\right)
+
e\tan\theta_w
\bar{\psi}_e\gamma^\mu P_L\psi_e
+
e\tan\theta_w\bar{\psi}_e\gamma^\mu P_R\psi_e\\
&=&
\frac{g_2}{2\cos
\theta_w}
\left(\bar{\psi}_{\nu_e}\gamma^\mu P_L\psi_{\nu_e}
\bar{\psi}_e\gamma^\mu P_L\psi_e
\right)
+
e\tan\theta_w
\bar{\psi}_e\gamma^\mu\psi_e\\
&=&
\frac{e}{2\sin\theta_w\cos
\theta_w}
\left(\bar{\psi}_{\nu_e}\gamma^\mu P_L\psi_{\nu_e}
\bar{\psi}_e\gamma^\mu P_L\psi_e \right) + e\tan\theta_w \bar{\psi}_e\gamma^\mu\psi_e \end{eqnarray}

のように纏まるので、

\begin{eqnarray}
\mathcal{L}_{lepton-kin}
&=&
\bar{\psi}_{\nu_e}i\Slash{\partial}P_L\psi_{\nu_e}
+
\bar{\psi}_{e}i\Slash{\partial}\psi_{e}\nonumber\\
&&
-e\bar{\psi}_e\gamma^\mu\psi_eA_\mu
+
\frac{e}{\sqrt{2}\sin\theta_w}
\bar{\psi}_{\nu_e}\gamma^\mu P_L\psi_eW^+_\mu
+
\frac{e}{\sqrt{2}\sin\theta_w}
\bar{\psi}_{e}\gamma^\mu P_L\psi_{\nu_e}W^-_\mu\nonumber\\
&&
+
\left\{
\frac{e}{2\sin\theta_w\cos
\theta_w}
\left(\bar{\psi}_{\nu_e}\gamma^\mu P_L\psi_{\nu_e}
\bar{\psi}_e\gamma^\mu P_L\psi_e \right) + e\tan\theta_w \bar{\psi}_e\gamma^\mu\psi_e \right\}Z_\mu
\end{eqnarray}

を得る。ここで表式を更に簡略化するために次のカレントを導入する。
\begin{eqnarray}
J^{\mu}_{e,+}&\equiv&\frac{e}{\sqrt{2}\sin\theta_w}\bar{\psi}_{e}\gamma^\mu P_L\psi_{\nu_e}\\
J^{\mu}_{e,-}&\equiv&\frac{e}{\sqrt{2}\sin\theta_w}\bar{\psi}_{\nu_e}\gamma^\mu P_L\psi_{e}\\
J^\mu_{e,em}&\equiv&-e\bar{\psi}_e\gamma^\mu\psi_e\\
J^\mu{e,Z}&\equiv&\frac{e}{2\sin\theta_w\cos\theta_w}
\left(\bar{\psi}_{\nu_e}\gamma^\mu P_L\psi_{\nu_e}-
\bar{\psi}_e\gamma^\mu P_L\psi_e
\right)
+
e\tan\theta_w
\bar{\psi}_e\gamma^\mu\psi_e\nonumber\\
&=&
\frac{e}{2\sin\theta_w\cos
\theta_w}
\left(\bar{\psi}{\nu_e}\gamma^\mu P_L\psi{\nu_e}
-\bar{\psi}_e\gamma^\mu P_L\psi_e\right)
-\tan\theta_w J^\mu_{e,em}
\end{eqnarray}
このカレントを用いることで以下のレプトンの運動項の最終的な答えを得る。
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}_{lepton-kin}
&=&
\bar{\psi}_{\nu_e}i\Slash{\partial}P_L\psi_{\nu_e}
+
\bar{\psi}_{e}i\Slash{\partial}\psi_{e}
+
J^\mu_{e,em}A_\mu+J^\mu_{e,Z}Z_\mu
+
J^{\mu}_{e,+}W^-_\mu+J^{\mu}_{e,-}W^+_\mu
\end{eqnarray}

素粒子標準模型3:ヒッグス場とゲージ場:ヒッグス場とゲージ場のまとめ

ここまでSSB(ヒッグス粒子との寄与)に無関係な\(SU(3)\)ゲージ場:グルーオンのラグランジアンを考えてこなかった。そこで以上の結果にグルーオン場のラグランジアン\(\mathcal{L}_{gluon}=-\frac{1}{4}G^a_{\mu\nu}G^{a\mu\nu}\)を追加して以下を得る。
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}
&=&
\frac{1}{2}\partial_\mu h\partial^\mu h
+
\frac{M^2_Z}{2v^2}Z_\mu Z^\mu\left(2vh+h^2\right)
+
\frac{M_W^2}{v^2}W_\mu^+W^{-\mu}(2vh+h^2)
-\frac{1}{2}m_h^2h^2-\frac{1}{4}\lambda vh^3-\frac{1}{16}\lambda h^4
\nonumber\\
&&
-\frac{1}{2}\left(
D_\mu W_\nu^+-D_\nu W_\mu^+
\right)
\left(
D^{\dagger\mu}W^{-\nu}-D^{\dagger\nu}W^{-\mu}\right)
\frac{1}{4}Z_{\mu\nu}Z^{\mu\nu}
-\frac{1}{4}
A_{\mu\nu}A^{\mu\nu}\nonumber\\
&&
+
ig_2(
c_wZ_{\mu\nu}
+
s_wA_{\mu\nu}
)
W^{+\mu}W^{-\nu}
+
\frac{1}{2}g^2_2\left(
W_\mu^-W_\nu^+W^{-\mu}W^{+\nu}
W_\mu^-W_\nu^+
W^{+\mu}W^{-\nu}
\right)\nonumber\\
&&
+
\frac{1}{2}M_Z^2Z_\mu Z^\mu
+
M^2_WW_\mu^+W^{-\mu}-\frac{1}{4}G^a_{\mu\nu}G^{a\mu\nu}
\end{eqnarray}
後に単位電荷\(e\)と\(g\)の関係が明らかになるので、この式の\(e\)での書き換えは後ほどに回す。

素粒子標準模型2:ヒッグス場とゲージ場:ゲージ場の運動項

ゲージ場の運動項を考えよう。これは通常のものを採用すればよく、
\begin{eqnarray}
W_{\mu\nu}&\equiv&\partial_\mu W_\nu-\partial_\nu W_\mu-ig_2[W_\mu,W_\nu]\\
B_{\mu\nu}&\equiv&\partial_\mu B_\nu-\partial_\nu B_\mu
\end{eqnarray}
を用いて
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}{gauge-kin} &=& -\frac{1}{4}W{\mu\nu}^aW^{a\mu\nu}-\frac{1}{4}B_{\mu\nu}B^{\mu\nu}
\end{eqnarray}
と取る。次の課題として、自発的対称性の破れが起こると物理的粒子は\(W^i_\mu,B_\mu\)から\(A_\mu,Z_\mu,W_\mu^\pm\)に変わるので、この運動項を後者の(質量固有状態の)ゲージ場で書き直そう。
\begin{eqnarray}
W_{\mu\nu}&=&\partial_\mu W_\nu-\partial_\nu W_\mu-ig_2[W_\mu,W_\nu]\\
&=&
(\partial_\mu W_\nu^a)T^a-(\partial_\nu W_\mu^a)T^a-ig_2W^a_\mu W^b_\nu[T^a,T^b]\\
&=&
(\partial_\mu W_\nu^a)T^a-(\partial_\nu W_\mu^a)T^a-ig_2W^a_\mu W^b_\nu(i\epsilon_{abc}T^c)\\
&=&
(\partial_\mu W_\nu^a)T^a-(\partial_\nu W_\mu^a)T^a+g_2\epsilon_{abc}W^a_\mu W^b_\nu T^c
\end{eqnarray}
であったから
\begin{eqnarray}
W_{\mu\nu}^1&=&\partial_\mu W_\nu^1
\partial_\nu W_\mu^1
+
g_2(W_\mu^2W_\nu^3-W_\nu^2W_\mu^3)\\
W_{\mu\nu}^2&=&\partial_\mu W_\nu^2
\partial_\nu W_\mu^2
+
g_2(W_\mu^3W_\nu^1-W_\nu^3W_\mu^1)\\
W_{\mu\nu}^3&=&\partial_\mu W_\nu^3
\partial_\nu W_\mu^3
+
g_2(W_\mu^1W_\nu^2-W_\nu^1W_\mu^2)
\end{eqnarray}

より

\begin{eqnarray}
&&\frac{1}{2}\left[W_{\mu\nu}^1W^{1\mu\nu}+W_{\mu\nu}^2W^{2\mu\nu}\right]\\
&=&
\frac{1}{\sqrt{2}}\left(
W_{\mu\nu}^1+iW_{\mu\nu}^2
\right)
\times
\frac{1}{\sqrt{2}}\left(
W^{1\mu\nu}-iW^{2\mu\nu}
\right)\\
&=&
\left[\partial_\mu W_\nu^-
\partial_\nu W_\mu^-
+
ig_2\left(
W_\mu^3W_\nu^–W_\nu^3W_\mu^-
\right)\right]\\
&&~~~\times
\left[\partial^\mu W^{+\nu}-\partial^\nu W^{+\mu}
ig_2\left(
W^{3\mu}W^{+\nu}-W^{3\nu}W^{+\mu}
\right)\right]\\
&=&
\left[\left(\partial_\mu+ig_2W_\mu^3\right)W^-_\nu-
(\mu\leftrightarrow\nu)
\right]
\left[\left(\partial_\mu-ig_2W_\mu^3\right)W^+_\nu-
(\mu\leftrightarrow\nu)
\right]
\end{eqnarray}

ここで\(D_\mu \equiv\partial_\mu-ig_2W_\mu^3\)を導入してやると\footnote{先程得た式を使えば
\begin{eqnarray}D_\mu \equiv\partial_\mu-ig_2W_\mu^3
D_\mu \equiv\partial_\mu-ig_2c_wZ_\mu-ig_2s_wA_\mu
\end{eqnarray}
と出来、後述の理論的考察から得られる単位電荷\(e\)と\(g_2\)の関係式\(g_2\sin\theta_w=e\)を用いることで、共変微分の\(A_\mu\)の前の係数が\(-ie\)になるので、\(W^+\mu\)はその記号の通り、電荷\(+1\)の粒子になる。}

\begin{eqnarray} &&\frac{1}{4}\left[W{\mu\nu}^1W^{1\mu\nu}+W_{\mu\nu}^2W^{2\mu\nu}\right]\\
&=&\frac{1}{2}\left[\left(\partial_\mu+ig_2W_\mu^3\right)W^-_\nu-
(\mu\leftrightarrow\nu)
\right]
\left[\left(\partial_\mu-ig_2W_\mu^3\right)W^+_\nu-
(\mu\leftrightarrow\nu)
\right]\\
&=&
\frac{1}{2}\left(
D_\mu W_\nu^+-D_\nu W_\mu^+
\right)
\left(
D^{\dagger\mu}W^{-\nu}-D^{\dagger\nu}W^{-\mu}
\right)
\end{eqnarray}
というように纏めることが出来る。
次に\(W^3\)を見てみる。
\begin{eqnarray}
W_{\mu\nu}^3&=&
\partial_\mu W_\nu^3-\partial_\nu W_\mu^3+g_2(W_\mu^1W_\nu^2-W_\nu^1W_\mu^2)\\
&=&
c_wZ_{\mu\nu}
+
s_wA_{\mu\nu}
+
ig_2(W_\mu^-W_\nu^+-W_\mu^+W_\nu^-)
\end{eqnarray}
より
\begin{eqnarray}
&&W_{\mu\nu}^3W^{3\mu\nu}+B_{\mu\nu}B^{\mu\nu}\\
&=&
\left[c_wZ_{\mu\nu}
+
s_wA_{\mu\nu}
+
ig_2(W_\mu^-W_\nu^+-W_\mu^+W_\nu^-)\right]^2
+
\left[
-s_wZ_{\mu\nu}+c_wA_{\mu\nu}
\right]^2\\
&=&
Z_{\mu\nu}Z^{\mu\nu}
+
A_{\mu\nu}A^{\mu\nu}
+
2ig_2(
c_wZ^{\mu\nu}
+
s_wA^{\mu\nu}
)
(W_\mu^-W_\nu^+-W_\mu^+W_\nu^-)
g^2_2(W_\mu^-W_\nu^+-W_\mu^+W_\nu^-)^2\nonumber\\
\\
&=&
Z_{\mu\nu}Z^{\mu\nu}
+A_{\mu\nu}A^{\mu\nu}4ig_2(
c_wZ^{\mu\nu}
+
s_wA^{\mu\nu}
)W_\mu^+W_\nu^-
2g^2_2\left(
W_\nu^+W^{+\nu}W_\mu^-W^{-\mu}
W^{+\mu}W_\mu^-
W_\nu^+W^{-\nu}
\right)\nonumber\\
\end{eqnarray}
以上を統合すると、ゲージ場の運動項に関する元のラグランジアンは
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}_{gauge-kin}=-\frac{1}{4}W_{\mu\nu}^aW^{a\mu\nu}-\frac{1}{4}B_{\mu\nu}B^{\mu\nu}
\end{eqnarray}
であったので、まずゲージ場の部分からは
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}{gauge-kin} &=& -\frac{1}{2}\left( D\mu W_\nu^+-D_\nu W_\mu^+
\right)
\left(
D^{\dagger\mu}W^{-\nu}-D^{\dagger\nu}W^{-\mu}\right)
\frac{1}{4}Z_{\mu\nu}Z^{\mu\nu}
-\frac{1}{4}
A_{\mu\nu}A^{\mu\nu}\nonumber\\
&&~~~
+
ig_2(
c_wZ_{\mu\nu}
+
s_wA_{\mu\nu}
)
W_\mu^+W_\nu^-
+
\frac{1}{2}g^2_2\left(
W_\mu^-W_\nu^+W^{-\mu}W^{+\nu}
W_\mu^-W_\nu^+
W^{+\mu}W^{-\nu}
\right)\nonumber\\
\end{eqnarray}

となる。ゲージ場の運動項の書き換えは以上だが、次にヒッグスのラグランジアンから来る項を考えよう。ヒッグス場の自発的対称性の破れの後のラグランジアンを再掲すると

\begin{eqnarray}
\mathcal{L}
&=&
\frac{1}{2}\partial_\mu h\partial^\mu h
+
\frac{M^2_Z}{2v^2}Z_\mu Z^\mu\left(2vh+h^2\right)
+
\frac{M_W^2}{v^2}W_\mu^+W^{-\mu}(2vh+h^2)+
\frac{1}{2}M_Z^2Z_\mu Z^\mu
+
M^2_WW_\mu^+W^{-\mu}\nonumber\\
&&
-\frac{1}{2}m_h^2h^2-\frac{1}{4}\lambda vh^3-\frac{1}{16}\lambda h^4
\end{eqnarray}

であったから、ここからゲージ場だけが含まれている項だけ取り出してくると(それは結局ゲージ場の質量項の事)、2つを合わせることでゲージ場に関する以下の完全なラグランジアンを得る。

\begin{eqnarray}
\mathcal{L}{gauge} &=& -\frac{1}{2}\left( D\mu W_\nu^+-D_\nu W_\mu^+
\right)
\left(
D^{\dagger\mu}W^{-\nu}-D^{\dagger\nu}W^{-\mu}\right)
\frac{1}{4}Z_{\mu\nu}Z^{\mu\nu}
-\frac{1}{4}
A_{\mu\nu}A^{\mu\nu}\nonumber\\
&&
+
ig_2(
c_wZ_{\mu\nu}
+
s_wA_{\mu\nu}
)
W^{+\mu}W^{-\nu}
+
\frac{1}{2}g^2_2\left(
W_\mu^-W^{-\mu}W_\nu^+W^{+\nu}
W_\mu^-W^{+\mu}
W_\nu^+W^{-\nu}
\right)\nonumber\\
&&
+
\frac{1}{2}M_Z^2Z_\mu Z^\mu
+
M^2_WW_\mu^+W^{-\mu}
\end{eqnarray}

素粒子標準模型1:ヒッグス場とゲージ場:ヒッグス場のラグランジアン

ここではヒッグス粒子を導入する。ヒッグス粒子はSU(2)に関してダブレット、SU(3)に関してはシングレットになっている。そしてヒッグス自身はハイパーチャージを持つので、複素場である。ゲージ量子数は
\begin{eqnarray}
H=\left(1,2,\frac{1}{2}\right)
\end{eqnarray}
である。故にヒッグス場は2つの複素スカラ-場を用いて、\(SU(2)\)に関して
\begin{eqnarray}
\Phi(x)=
\begin{pmatrix}
\phi_1(x)\\
\phi_2(x)
\end{pmatrix}
\end{eqnarray}
というダブレット構造を構成している。ゲージ量子数からヒッグス二重項に対する共変微分は、\(SU(2)\)と\(U(1)\)を取り入れた
\begin{eqnarray}
(D_\mu \phi)=\partial_\mu\phi-i\left[
g_2W_\mu^aT^a_2+g_1B_\mu Y
\right]\phi
\end{eqnarray}
となると言える。ゲージ量子数で指定されているように、ここではヒッグスがハイパーチャージ\(\frac{1}{2}\)である事を認める\footnote{こうすると現象が上手く説明できる。という理由から決めている。また歴史的な順序を考えると電子の共変微分を考えて、そこからゲージカップリングと単位電荷の関係式を出すことで}。
するとヒッグスはダブレットなので、ハイパーチャージに関する生成子は
\begin{eqnarray}
Y=\begin{pmatrix}
1/2&0\\
0&1/2
\end{pmatrix}
\end{eqnarray}
という行列になる。そしてラグランジアンはいつものように
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}_H &=& (D\mu\phi)^\dagger(D^\mu\phi)-V(\phi^\dagger\phi)
\end{eqnarray}
になる。次にポテンシャルを決める必要があるが、ここでは
\begin{eqnarray}
V(|\phi|)=\frac{\lambda}{4}\left(
\phi^\dagger\phi-\frac{1}{2}v^2
\right)^2
\end{eqnarray}
としよう。これは仮定である。このようにポテンシャルを取ると何故か現象を上手く説明できるのだ。

このポテンシャルの最小点は
\begin{eqnarray}
|\phi|=\frac{v}{\sqrt{2}}
\end{eqnarray}
で取ることになる。従って真空ではヒッグス場は零でない値を取ることになり、自発的対称性の破れが起きる。上式からも分かるように、真空を定める\(\phi\)の値は絶対値で規定されているので、真空を選ぶ段階で位相の自由度がある。しかし以下に説明するように、この位相は常に実数に揃えることが出来る。ここで大域的\(SU(2)\)対称性を考えてみよう。\(SU(2)\)の一般系は複素数\(a,b\)を用いて
\begin{eqnarray}
U=\frac{1}{\sqrt{|a|^2+|b|^2}}\begin{pmatrix}
a^\dagger&b^\dagger\\
-b&a
\end{pmatrix}
\end{eqnarray}
と書き表せる。すると
\begin{eqnarray}
\frac{1}{\sqrt{|a|^2+|b|^2}}
\begin{pmatrix}
a^\dagger&b^\dagger\\
-b&a
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
x\\y
\end{pmatrix}
&=&
\frac{1}{\sqrt{|a|^2+|b|^2}}
\begin{pmatrix}
a^\dagger x+b^\dagger y\\
-bx+ay
\end{pmatrix}
\end{eqnarray}
となり、\(a^\dagger x+b^\dagger y=0\)となるように\(a,b\)を選ぶと
\begin{eqnarray}
\frac{1}{\sqrt{|a|^2+|b|^2}}
\begin{pmatrix}
0\\
-b x+a\left(-\frac{a^\dagger}{b^\dagger}x\right)
\end{pmatrix}
&=&
\begin{pmatrix}
0\\
-\frac{x}{b^\dagger}\sqrt{|a|^2+|b|^2}
\end{pmatrix}
\end{eqnarray}
のように第一成分を0に出来る。更に\(x/b^\dagger\in\mathbb{R}\)となるように\(a\)を選ぶと成分を実数に出来る。従って
\begin{eqnarray}
\phi_{vac}(x)&=&\frac{1}{\sqrt{2}}\begin{pmatrix}
0\\
v
\end{pmatrix}
\end{eqnarray}
のように、実数に取ることが出来る。さらにこの真空からのズレとして
\begin{eqnarray}
\phi(x)=\frac{1}{\sqrt{2}}\begin{pmatrix}
0\\v
\end{pmatrix}+\delta\phi(x)
\end{eqnarray}
と書く。ここで局所的SU(2)対称性から常に\(\delta\phi\)の第一成分を0に出来る。実際、\(\delta\phi(x)=(\phi_1(x),\phi_2(x))^T\)とした時
\begin{eqnarray}
U(x)=\frac{1}{\sqrt{|\phi_1(x)|^2+|\phi_2(x)|^2}}\begin{pmatrix}
\phi_2(x)&-\phi_1(x)\\
\phi_1^\dagger(x)&\phi_2^\dagger(x)
\end{pmatrix}
\end{eqnarray}
としてやれば第二成分は確かに0に出来るし、同時に第一成分も実数に出来る。従って
\begin{eqnarray}
\phi(x)=\frac{1}{\sqrt{2}}\begin{pmatrix}
0\\v+h(x)
\end{pmatrix}
~v,h\in\mathbb{R} \end{eqnarray}

と書くことが出来る。この新しい場\(h(x)\)でラグランジアンを書き直そう。いっぺんに見るのは骨が折れるので、各項づつ見ていこう。まず

\begin{eqnarray}
D_\mu\phi(x)
&=& \begin{pmatrix} \partial_\mu-\frac{i}{2}(g_2W^3_\mu+g_1B_\mu) &-\frac{i}{2}g_2(W_\mu^1-iW_\mu^2)\\
-\frac{i}{2}g_2(W_\mu^1+iW_\mu^2) & \partial_\mu-\frac{i}{2}(-g_2W^3_\mu+g_1B_\mu) \end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
0\\\frac{v+h(x)}{\sqrt{2}}\end{pmatrix}\\
&=&
\begin{pmatrix} -\frac{i}{2}g_2(W_\mu^1-iW_\mu^2)\left(\frac{v+h(x)}{\sqrt{2}}\right)\\
\partial_\mu\left(\frac{v+h(x)}{\sqrt{2}}\right) -\frac{i}{2}(-g_2W^3_\mu+g_1B_\mu) \left(\frac{v+h(x)}{\sqrt{2}}\right)
\end{pmatrix}
\end{eqnarray}

であるから

\begin{eqnarray}
&&(D_\mu\phi)^\dagger(D^\mu\phi)\\
&=& \frac{1}{2}\partial_\mu h\partial^\mu h + \frac{1}{4}(g_2W^3_\mu-g_1B_\mu)(g_2W^{3\mu}-g_1B^\mu)\left(\frac{v+h}{\sqrt{2}}\right)^2 + \frac{g^2_2}{4}(W_\mu^1+iW_\mu^2)(W^{1\mu}-iW^{2\mu})\left(\frac{h+v}{\sqrt{2}}\right)^2\nonumber\\
\\
&=&\frac{1}{2}\partial_\mu h\partial^\mu h+\frac{1}{8}(g_2W^3_\mu-g_1B_\mu)(g_2W^{3\mu}-g_1B^\mu)\left(2vh+h^2\right) + \frac{g^2_2}{8}(W_\mu^1+iW_\mu^2)(W^{1\mu}-iW^{2\mu})(2vh+h^2)\nonumber\\
\\
&&+ \frac{1}{8}(g_2W^3_\mu-g_1B_\mu)(g_2W^{3\mu}-g_1B^\mu)v^2 + \frac{g^2_2}{8}(W_\mu^1+iW_\mu^2)(W^{1\mu}-iW^{2\mu})v^2
\end{eqnarray}

ここでは敢えてヒッグス場を含む項と含まない項で上下に書いた。二行目にある式について考えてみたい。これはゲージ場の二次式の項なので質量に対応すると思われる。まずこの項を改めて書き直していこう。

\begin{eqnarray}
&&\frac{1}{8}(g_2W^3_\mu-g_1B_\mu)(g_2W^{3\mu}-g_1B^\mu)v^2 + \frac{g^2_2}{8}(W_\mu^1+iW_\mu^2)(W^{1\mu}-iW^{2\mu})v^2\\
&=&\frac{1}{8}v^2 (W^1_\mu,W^2_\mu,W^3_\mu,B_\mu)
\begin{pmatrix}g_2^2&0&0&0\\
0&g_2^2&0&0\\
0&0&g_2^2&-g_1g_2\\
0&0&-g_1g_2&g_1^2\end{pmatrix}
\begin{pmatrix} W^1_\mu\\W^2_\mu\\W^3_\mu\\B_\mu\end{pmatrix} \end{eqnarray}

これから見て取れるように、質量項が混じってしまっている。従って質量固有状態を知るために行列を対角化してみよう。簡単な代数計算から固有値は

\begin{eqnarray} 0~~,~~\frac{1}{8}v^2(g_1^2+g_2^2)~~,~~\frac{1}{8}v^2g_2^2~~,~~\frac{1}{8}v^2g_2^2
\end{eqnarray}
と求まり、対応する固有状態は上記の固有値の順に(基底を取り直して)
\begin{eqnarray}
&&\begin{pmatrix}A_\mu\\
Z_\mu\end{pmatrix}
=\begin{pmatrix}
\frac{g_2}{\sqrt{g_1^2+g_2^2}}&\frac{g_1}{\sqrt{g_1^2+g_2^2}}\\
-\frac{g_1}{\sqrt{g_1^2+g_2^2}}&\frac{g_2}{\sqrt{g_1^2+g_2^2}}
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
B_\mu\\
W_\mu^3
\end{pmatrix}
\equiv
\begin{pmatrix}
\cos\theta_w&\sin\theta_w\\
-\sin\theta_w&\cos\theta_w
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
B_\mu\\
W_\mu^3
\end{pmatrix}\\
&&W^1_\mu\\
&&W_\mu^2
\end{eqnarray}
が質量固有状態になる\footnote{
\begin{eqnarray}
\begin{pmatrix}
B_\mu\\W^3_\mu\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
\cos\theta_w&-\sin\theta_w\\
\sin\theta_w&\cos\theta_w
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
A_\mu\\Z_\mu
\end{pmatrix}
\end{eqnarray}
}。なおここで定義した\(\theta_w\)はワインバーグ角と呼ばれ、二つのゲージ場\(B_\mu\)と\(W^3_\mu\)の混ざり具合を表す。ここからは群論のテクニカルな話しになるが、\(W_\mu^{1,2}\)の基底も取り替える。上記の行列からも明らかだが、質量行列の上二成分行列が対角形なので適当なユニタリ変換で\(W^{1/2}\mu\)を混ぜても質量固有状態であるという事実は変わらない。勿論任意のユニタリ変換でもいいのだが、リー群の非カルタン行列が昇降演算子の役割を果たすことを思い起こすと

\begin{eqnarray}
\begin{pmatrix}
W^+\mu\\
W^-\mu
\end{pmatrix}
&=&
\begin{pmatrix}
\frac{1}{\sqrt{2}}(W\mu^1-iW^2_\mu)\\
\frac{1}{\sqrt{2}}(W_\mu^1+iW^2_\mu)
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
\frac{1}{\sqrt{2}}&-\frac{i}{\sqrt{2}}\\
\frac{1}{\sqrt{2}}&\frac{i}{\sqrt{2}}
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
W_\mu^1\\
W_\mu^2
\end{pmatrix}
\end{eqnarray}

という新たな場を導入するのが良い。生成子の取替えまで考察すると意味が明瞭になるだろうが、これの解析は後に回す。ユニタリ変換をしても固有値は不変なので、結局以上の対角化により、質量零のゲージ場\(A_\mu\)、質量\(M_Z\equiv\frac{1}{2}v\sqrt{g^2_1+g_2^2}\)を持つゲージ場:Zボソン、質量\(M_W\equiv\frac{1}{2}vg_2\)を持つゲージ場:\(W^{\pm}\)ボソンの4つが生まれる\footnote{ここで\(M^2_Z,M^2_W\)が固有値に一致してないと思うかもしれないが、スカラー場などで知っているように質量項は\(\frac{1}{2}m^2\phi^2\)のように係数がつくので、これを考慮して質量を定義した。}。

ラグランジアンをこの新たに導入した場で書き直そう。

\begin{eqnarray}
&&(D_\mu\phi)^\dagger(D^\mu\phi)\\
&=&\frac{1}{2}\partial_\mu h\partial^\mu h
+
\frac{1}{8}(g_2W^3_\mu-g_1B_\mu)(g_2W^{3\mu}-g_1B^\mu)\left(2vh+h^2\right)
+
\frac{g^2_2}{8}(W_\mu^1+iW_\mu^2)(W^{1\mu}-iW^{2\mu})(2vh+h^2)\nonumber
\\
&&+
\frac{1}{8}(g_2W^3_\mu-g_1B_\mu)(g_2W^{3\mu}-g_1B^\mu)v^2
+
\frac{g^2_2}{8}(W_\mu^1+iW_\mu^2)(W^{1\mu}-iW^{2\mu})v^2\nonumber\\
\\
&=&
\frac{1}{2}\partial_\mu h\partial^\mu h
+
\frac{M^2_Z}{2v^2}Z_\mu Z^\mu\left(2vh+h^2\right)
+
\frac{M_W^2}{v^2}W_\mu^+W^{-\mu}(2vh+h^2)+
\frac{1}{2}M_Z^2Z_\mu Z^\mu
+
M^2_WW_\mu^+W^{-\mu}\nonumber\\
\end{eqnarray}
運動項の書き換えが以上だったので、次はポテンシャル部分も書き直してみよう。

\begin{eqnarray}
V(|\phi|)=\frac{\lambda}{4}\left(
\phi^\dagger\phi-\frac{1}{2}v^2\right)^2
\frac{1}{4}\lambda\left(
\frac{1}{2}(v+h)^2-\frac{1}{2}v^2
\right)^2
&=&
\frac{1}{4}\lambda\left(
vh+\frac{1}{2}h^2
\right)^2\nonumber\\
&=&
\frac{1}{4}\lambda v^2h^2+\frac{1}{4}\lambda vh^3+\frac{1}{16}\lambda h^4
\end{eqnarray}

のようになる。ここで\(m^2_h\equiv\frac{1}{2}\lambda v^2\)がヒッグス場の質量になっていることが分かる。従って、ヒッグス場のSSBの後のラグランジアンは

\begin{eqnarray}
\mathcal{L}
&=&
\frac{1}{2}\partial_\mu h\partial^\mu h
+
\frac{M^2_Z}{2v^2}Z_\mu Z^\mu\left(2vh+h^2\right)
+
\frac{M_W^2}{v^2}W_\mu^+W^{-\mu}(2vh+h^2)+
\frac{1}{2}M_Z^2Z_\mu Z^\mu
+
M^2_WW_\mu^+W^{-\mu}\nonumber\\
&&
-\frac{1}{2}m_h^2h^2-\frac{1}{4}\lambda vh^3-\frac{1}{16}\lambda h^4
\end{eqnarray}
となる。

フーリエ級数:第7回:項別微分積分

前回までで\(y=x^2\)のフーリエ級数
\begin{eqnarray}
x^2=\frac{\pi^2}{3}
+
\sum_{n=1}^\infty
\frac{4(-1)^{n}}{n^2}
\cos(nx)\label{701}
\end{eqnarray}
を求めた。ここで次のような願望が出るとする。
\begin{eqnarray}
y=xのフーリエ級数ってなんだろうか?
\end{eqnarray}
$\ref{701}$式を見ると左辺が\(x^2\)なので、微分すれば\(y=2x\)が出てくる。すると\(\ref{701}\)式の両辺を\(x\)で微分すればいいのではないか、という考えが出てくる。これは実際正しい。両辺の微分を実行すれば
\begin{eqnarray}
\frac{d}{dx}x^2&=&\frac{d}{dx}\frac{\pi^2}{3}
+
\frac{d}{dx}\left[\sum_{n=1}^\infty
\frac{4(-1)^{n}}{n^2}
\cos(nx)\right]\\
&\downarrow&\nonumber\\
2x&=&
\sum_{n=1}^\infty
\frac{4(-1)^{n}}{n^2}
\frac{d}{dx}\cos(nx)\\
&=&
\sum_{n=1}^\infty
\frac{4(-1)^{n+1}}{n}
\sin(nx)\\
&\downarrow&\nonumber\\
x&=&
\sum_{n=1}^\infty
\frac{2(-1)^{n+1}}{n}
\sin(nx)
\end{eqnarray}
という結果になる。これが本当に正しいかどうか見るために、定義に従って\(y=x\)をフーリエ級数展開してみよう。周期\(2\pi\)のフーリエ級数の展開係数の公式を再掲すると
\begin{eqnarray}
a_n&=&\frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^\pi f(x)\cos\left(nx\right)dx\\
b_n&=&\frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^\pi f(x)\sin\left(nx\right)dx
\end{eqnarray}
であったが、\(y=x\)は奇関数なので\(a_n\)は計算するまでもなく0と分かる。従って\(b_n\)を計算すると

\begin{eqnarray}
b_n&=&
\frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^\pi x\sin\left(nx\right)dx\\
&=&
\frac{1}{\pi}\left[
\frac{-1}{n}x\cos(nx)+\frac{1}{n^2}\sin(nx)
\right]_{-\pi}^\pi\\
&=& \frac{-2}{n}(-1)^{n}\\
&\downarrow&\nonumber\\
b_n&=&\frac{2}{n}(-1)^{n+1}
\end{eqnarray}

よって、定義どおり厳密に計算した結果は

\begin{eqnarray}
y=x=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{2(-1)^{n+1}}{n}\sin(nx)
\end{eqnarray}

になる。これは先程の\(x^2\)のフーリエ級数を微分して得られた結果と完全に一致している。

さて\(x=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{2(-1)^{n+1}}{n}\sin(nx)\)という結果が得られたが、この式を更に微分すれば\(y=1\)のフーリエ級数展開が得られると期待できる。しかしこれは叶わない願いであることが分かる。何故か?それは簡単に見ることが出来て、もし\(x=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{2(-1)^{n+1}}{n}\sin(nx)\)の両辺を微分すると(微分した結果が正しいと仮定すれば)
\begin{eqnarray}
\frac{d}{dx}x&=&\frac{d}{dx}\left[\sum_{n=1}^{\infty}\frac{2(-1)^{n+1}}{n}\sin(nx)\right]\\
&\downarrow&\nonumber\\
1&=&
\sum_{n=1}^{\infty}\frac{2(-1)^{n+1}}{n}\frac{d}{dx}\sin(nx)\\
&=&
2\sum_{n=1}^{\infty}(-1)^{n+1}\cos(nx)
\end{eqnarray}
を得る。これが何故正しくないかというと、右辺が明らかに収束しないからだ。「級数」というものに馴染みがない者の為に少し述べると、そもそも「級数」というのは級数が収束して初めて「級数」というものが正しく定義される。簡単な例が
\begin{eqnarray}
S=1-1+1-1+1-1+\cdots
\end{eqnarray}
のような無限和で、これは明らかに収束しない。従ってこの無限和に対してwell-definedな値を付ける事は出来ず、その意味でこの級数は定義されない。今得た式は当にこの式と同じ構造になっていて、実際先程得た式
\begin{eqnarray}
1&=&
2\sum_{n=1}^{\infty}(-1)^{n+1}\cos(nx)
\end{eqnarray}
に(x=0)を代入すると、左辺は1なのに、右辺は
\begin{eqnarray}
2(1-1+1-1+1-1+\cdots)
\end{eqnarray}
となり、上述の収束しない無限和(定義できない級数)になっており、視覚的には
\begin{eqnarray}
1=値が定まらないはずの無限和
\end{eqnarray}
となっており、矛盾をきたすことが分かる。つまり
\begin{eqnarray}
x\leftarrow
x^2\leftarrow
x^3\leftarrow
x^4\leftarrow\cdots
\end{eqnarray}
という流れであれば、(和が収束するから)フーリエ級数の両辺を自由に微分して両辺を比較しても良い。しかし、\(x^0\leftarrow x^1\)という流れは先程の理由から単純に両辺微分&比較というわけには行かないのだ。

一般論としてまとめると次の様になる。ある関数\(f(x)\)のフーリエ級数展開\(F(x)\)があった時に、これを微分したも物\(\frac{d}{dx}F(x)\)が無限和として収束してさえいれば

\begin{eqnarray}
\frac{d}{dx}f(x)=\frac{d}{dx}F(x)
\end{eqnarray}

が成り立つ。つまり\(\frac{df}{dx}\)のフーリエ級数は\(\frac{dF}{dx}\)で求まる事になる。

ちなみに両辺積分&比較は(私の知る限り)常に出来る。というか、出来るものと思ってもらっても恐らく物理で扱う範囲では問題ない。では何故積分なら常にしてもいいのか。その理由を見るために\(y=f(x)\)とその原始関数\(y=\int_{0}^{x}f(t)dt\)のフーリエ級数の係数の関係を見てみよう。関数\(f(x)\)のフーリエ係数を\(a_n,b_n\)と小文字で書き、原始関数の方を大文字で書くことにする。さてフーリエ係数を求める公式を再掲すると周期\(2\pi\)で議論する

\begin{eqnarray}
a_n&=&\frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^\pi f(x)\cos\left(nx\right)dx\\
b_n&=&\frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^\pi f(x)\sin\left(nx\right)dx
\end{eqnarray}

であったが、

\begin{eqnarray}
A_n&=&
\frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^\pi f(x)\cos\left(nx\right)dx\\
&=&
\frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^\pi
\left[
\int_{0}^{x}f(t)dt
\right]
\cos\left(nx\right)dx\\
(部分積分より)&=&
\frac{1}{\pi}\left[
\left(
\int_0^xf(t)dt
\right)
\frac{\sin(nx)}{n}
\right]_{-\pi}^\pi -\frac{1}{\pi} \frac{1}{n}\int{-\pi}^\pi f(x)\sin(nx)\\
(第一項は\sin(n\pi)=0より0)&=&
\frac{1}{n}\left(\frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^\pi f(x)\sin(nx)\right)\\
&=&
-\frac{b_n}{n}
\end{eqnarray}
\(B_n\)も同様にして求めると
\begin{eqnarray}
A_n&=&-\frac{b_n}{n}\\
B_n&=&\frac{a_n}{n}
\end{eqnarray}
を得る。この結果から直ぐ分かるように、「原始関数のフーリエ係数」は「元の関数のフーリエ係数×\(\frac{1}{n}\)」となっており、\(A_n,B_n\)の収束性の方が常に\(a_n,b_n\)の収束性よりいい。つまり元の関数のフーリエ級数が収束していれば、それを積分した物も収束している事になり、「両辺積分&比較」が正当化される。

しかし実用的には微分ほど積分は使えない可能性がある。というのも積分には常に積分定数が付き纏うのだが、例えば\(y=x\)のフーリエ級数を積分すると
\begin{eqnarray}
x&=&\sum_{n=1}^{\infty}\frac{2(-1)^{n+1}}{n}\sin(nx)\\
&\downarrow&\nonumber\\
\frac{1}{2}x^2
&=&
C
+
\sum_{n=1}^{\infty}\frac{2(-1)^{n}}{n^2}\cos(nx)\\
&\downarrow&\nonumber\\
x^2&=&2C+\sum_{n=1}^{\infty}\frac{4(-1)^{n}}{n^2}\cos(nx)
\end{eqnarray}
となり、以前求めていた\(x^2\)のフーリエ級数に一致するのだが、Cは積分だけからでは決まらず、どうにかして我々が決めなければならず、このCを決まるためには両辺の\(x\)に特定の値を入れ、両辺が等しくなるようにCを決める必要がある。少し手を動かしてみると分かると思うが、結局このCを求めるためには
\begin{eqnarray}
\frac{\pi^2}{6}=\sum_{n=1}^\infty\frac{1}{n^2}
\end{eqnarray}
という結果を使わなければならない。しかしこれよりも前の回で見てきたように、この\(\frac{\pi^2}{6}=\sum_{n=1}^\infty\frac{1}{n^2}\)という結果は寧ろ\(x^2\)のフーリエ級数から得られたものであって、\(x^2\)のフーリエ級数展開を求める為にこれを用いることは循環論法になってしまう。従って\(x^n\)のような\(x\)の高次のフーリエ級数を低次のフーリエ級数の積分から求めたいとすると、フーリエ級数以外の別の方法で\(\sum_{k=1}^{\infty}\frac{1}{k^n}\)を求めておく必要があり、これを求める位ならば素直に定義に従って計算したほうがよっぽど早いし簡単である。

しかし例外があって\(x^{2n+1}\)のフーリエ級数はそれよりも一つ低次の\(x^{2n}\)のフーリエ級数から、先程の積分定数問題を考えることなく、厳密に求めることが出来る。積分定数はフーリエ係数で言う所の\(a_0\)に対応するが、我々は\(x^{2n-1}\)の奇関数性から\(a_n\)は恒等的に0になることを知っている。つまりこの場合、積分定数は0とすることが出来、先程の問題は気にしなくてよいのだ。実際に\(x^3\)のフーリエ級数展開を\(x^2\)のフーリエ級数を積分することで求めて見よう。
\begin{eqnarray}
t^2&=&\frac{\pi^2}{3}
+
\sum_{n=1}^\infty
\frac{4(-1)^{n}}{n^2}
\cos(nt)\\
&\downarrow&両辺に\int_0^x dtを掛ける\nonumber\\
\frac{1}{3}x^3
&=&
\int_0^x\frac{\pi^2}{3}dt
+
\sum_{n=1}^\infty
\frac{4(-1)^{n}}{n^2}
\int_0^x\cos(nt)dt\\
(上述の理由から積分定数は0)&=&
\frac{\pi^2}{3}x
+
\sum_{n=1}^{\infty}\frac{4(-1)^{n}}{n^3}
\sin(nx)\\
(y=xのフーリエ級数を第一項に代入)&=&
\frac{\pi^2}{3}
\left(
\sum_{n=1}^{\infty}\frac{2(-1)^{n+1}}{n}\sin(nx)
\right)
+
\sum_{n=1}^{\infty}\frac{4(-1)^{n}}{n^3}
\sin(nx)\nonumber\\
\\
&=&
\sum_{n=1}^{\infty}
\left(
\frac{2\pi^2(-1)^{n+1}}{3n}
+
\frac{4(-1)^n}{n^3}
\right)\sin(nx)
\end{eqnarray}
よって最終結果は
\begin{eqnarray}
x^3=\sum_{n=1}^{\infty}
\left(
\frac{2\pi^2(-1)^{n+1}}{n}
+
\frac{12(-1)^n}{n^3}
\right)\sin(nx)
\end{eqnarray}
となる。ここでは示さないが、定義どおり計算した結果と厳密に一致する。

フーリエ級数:第8回:パーゼバルの等式

今までフーリエ級数
\begin{eqnarray}
ex)~f(x)=\frac{a_0}{2}+\sum_{n=1}^{\infty} \left[ a_n\cos(nx)+b_n\sin(nx) \right](周期2\pi のフーリエ級数)
\end{eqnarray}
に関するいくつかの話題を見てきた。次に見るのは「パーゼバルの等式」というものである。

\begin{eqnarray}
\int_{-\pi}^\pi|f(x)|^2dx
&=&
\int_{-\pi}^\pi
\left|
\frac{a_0}{2}+\sum_{n=1}^{\infty}
\left[
a_n\cos(nx)+b_n\sin(nx)
\right]
\right|^2dx\\
&\downarrow&(a+b+c)^2=a^2+b^2+c^2+2(ab+bc+ca)を使う
\nonumber\\
&=&
\int_{-\pi}^\pi dx
\left\{
\frac{1}{4}a_0^2
+
\sum_{n,m=1}^\infty a_na_m\cos(nx)\cos(mx)
+
\sum_{n,m=1}^\infty b_nb_m\sin(nx)\sin(mx)
\right.\nonumber\\
&&~~~ +\left. \sum_{n=0}^\infty\left( a_0a_n\cos(nx) + a_0b_0\sin(nx) \right) + 2\sum_{n,m=1}^{\infty} a_nb_n\cos(nx)\sin(nx)\right\}\nonumber\\
&=&\frac{1}{4}\int_{-\pi}^\pi a_0^2dx + \sum_{n,m=1}^\infty a_na_m\int_{-\pi}^\pi \cos(nx)\cos(mx)dx + \sum_{n,m=1}^\infty b_nb_m\int_{-\pi}^\pi \sin(nx)\sin(mx)dx \nonumber\\
&&~~~
+
\sum_{n=0}^\infty\left(
a_0a_n\int_{-\pi}^\pi \cos(nx)dx
+
a_0b_0\int_{-\pi}^\pi \sin(nx)dx
\right)
+
2\sum_{n,m=1}^{\infty}
a_nb_n\int_{-\pi}^\pi \cos(nx)\sin(nx)dx\nonumber\\
\end{eqnarray}

さてここで直交関係式
\begin{eqnarray}
\int_{-L}^{L}\cos\left(\frac{m\pi x}{L}\right)\cos\left(\frac{n\pi x}{L}\right)dx&=&L\delta_{mn}\\
\int_{-L}^{L}\sin\left(\frac{m\pi x}{L}\right)\sin\left(\frac{n\pi x}{L}\right)dx&=&L\delta_{mn}\\
\int_{-L}^{L}1\times 1dx&=&2L\\
\nonumber\\
\int_{-L}^{L}\cos\left(\frac{m\pi x}{L}\right)\sin\left(\frac{n\pi x}{L}\right)dx&=&0\\
\int_{-L}^{L}1\times \sin\left(\frac{n\pi x}{L}\right)dx&=&0\\
\int_{-L}^{L}1\times \cos\left(\frac{m\pi x}{L}\right)dx&=&0
\end{eqnarray}
を思い出すと今の場合(\(L=\pi\))、上式の第二行目は全て0になる。そして一行目の第二項・第三項は\(m=n\)の時のみ0でない値を持つ事が分かる。従って次の結果を得る。
\begin{eqnarray}
\int_{-\pi}^\pi|f(x)|^2dx
&=&
\frac{1}{4}\int_{-\pi}^\pi a_0^2dx
+
\sum_{n=1}^\infty a_n^2\int_{-\pi}^\pi \cos^2(nx)dx
+
\sum_{n=1}^\infty b_n^2\int_{-\pi}^\pi \sin^2(nx)dx\\
&=&
\frac{\pi}{2}a_0^2
+
\pi\sum_{n=1}^{\infty}
\left(
a_n^2+b_n^2
\right)
\end{eqnarray}
以上より、パーゼバルの等式
\begin{eqnarray}
\int_{-\pi}^\pi|f(x)|^2dx
\frac{\pi}{2}a_0^2
+
\pi\sum_{n=1}^{\infty}
\left(
a_n^2+b_n^2
\right)
\end{eqnarray}
を得る。

これが正しいかどうか、簡単な例で検算してみよう。我々\(y=x\)のフーリエ級数(周期\(2\pi\))を知っていて、その結果は
\begin{eqnarray}
x=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{2(-1)^{n+1}}{n}\sin(nx)
\end{eqnarray}
であった。ここから
\begin{eqnarray}
a_n&=&0\\
b_n&=&\frac{2(-1)^{n+1}}{n}
\end{eqnarray}
を読み取れる。これを今得た公式に代入してみよう。
\begin{eqnarray}
\int_{-\pi}^\pi|x|^2dx&=&
\pi\sum_{n=1}^{\infty}
\left(
\frac{2(-1)^{n+1}}{n}
\right)^2\\
\frac{2}{3}\pi^3&=&4\pi\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^2}\\
&\downarrow&整理\nonumber\\
\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^2}
&=&
\frac{\pi^2}{6}
\end{eqnarray}
という結果を得るが、これは以前の記事で我々が求めた結果にちゃんと一致している。


ちなみにパーゼバルの等式を求めるにあたって、複素フーリエ級数だともう少しコンパクトな結果で答えを求めることが出来る。複素フーリエ級数を再掲すると
\begin{eqnarray}
f(x)=\sum_{n=-\infty}^{\infty}c_ne^{inx}
\end{eqnarray}
という形であった。この式と指数関数に関する直交関係式(この公式は初出かも。でも簡単に導出できる)
\begin{eqnarray}
\int_{-\pi}^\pi e^{inx}e^{-imx}dx=2\pi\delta_{nm}
\end{eqnarray}
を用いると、
\begin{eqnarray}
\int_{-\pi}^\pi|f(x)|^2dx
&=&
\int_{-\pi}^\pi\left|\sum_{n=-\infty}^{\infty}c_ne^{inx}\right|^2dx\\
&=&
\int_{-\pi}^\pi\sum_{n,m=-\infty}^{\infty}c_nc_m^\ast e^{inx}e^{-imx}dx\\
&=&
\sum_{n,m=-\infty}^{\infty}c_nc_m^\ast \int_{-\pi}^\pi e^{inx}e^{-imx}dx\\
&=&
\sum_{n,m=-\infty}^{\infty}c_nc_m^\ast 2\pi\delta_{mn}\\
&=&
2\pi\sum_{n=-\infty}^{\infty}|c_n|^2
\end{eqnarray}
つまり
\begin{eqnarray}
\int_{-\pi}^\pi|f(x)|^2dx
&=&
2\pi\sum_{n=-\infty}^{\infty}|c_n|^2
\end{eqnarray}
という複素フーリエ版パーゼバルの等式を得ることが出来る。

この複素フーリエ版のパーゼバルの等式が、先程導いたパーゼバルの等式に等しいことを示しておこう。まず複素フーリエ級数の回で見たように、我々は
\begin{eqnarray}
c_n&=&\frac{a_n-ib_n}{2}\\
a_n&=&a_{-n}\\
b_n&=&-b_{-n}
\end{eqnarray}
が成り立つことを知っている。故にこれを上式に代入すれば
\begin{eqnarray}
\int_{-\pi}^\pi|f(x)|^2dx
&=&
2\pi\sum_{n=-\infty}^{\infty}|c_n|^2\\
&=&
2\pi\sum_{n=-\infty}^{\infty}\left|
\frac{a_n-ib_n}{2}
\right|^2\\
&=&
\frac{\pi}{2}\sum_{n=-\infty}^{\infty}\left(
a^2_n+b^2_n
\right)\\
&=&
\frac{\pi}{2}\left[
\sum_{n=1}^{\infty}
\left(
a^2_n+b^2_n
\right)
+
\sum_{n=-\infty}^{-1}
\left(
a^2_n+b^2_n
\right)
+
\left(
a^2_0+b^2_0
\right)
\right]\\
&\downarrow&a_n=a_{-n},
b_n=-b_{-n},b_0=0を用いると\\
&=&
\frac{\pi}{2}
\left[
a_0^2
+2\sum_{n=1}^{\infty}
\left(
a^2_n+b^2_n
\right)
\right]\\
&=&
\frac{\pi}{2}a_0^2+{\pi}\sum_{n=1}^{\infty}
\left(
a^2_n+b^2_n
\right)
\end{eqnarray}
従って複素版パーゼバルの等式は元のパーゼバルの等式と完全に等価であることが言えた。一安心。

フーリエ級数:第5回:フーリエ級数に関する補足

ここまで順調にフーリエ級数について議論してきたが、実は数学的には難しい面が沢山ある。それを見るために次のグラフに注目してみて欲しい。


これは\(y=x\)の周期\(2\pi\)のフーリエ級数展開である(n=30項まで取っている)。言うまでもないが、\(y=x\)を再現できるのは\([-\pi,\pi]\)だけで、これより外では


のように\([-\pi,\pi]\)のグラフが繰り返される。周期\(2\pi\)の周期関数で展開しているのだから、まぁ当然だろう。さて元のグラフに戻ってもらうと2つの事が気になる。1つ目は\(x=\pi\)や\(x=\pi\)等の不連続点での級数の値。2つ目は\(x=\pi\)や\(x=-\pi\)等の不連続点でのギザギザのデカさである。

まず一つ目の問題について、これは詳細な関数論の議論が必要になるので結果だけの述べるが、次の公式が成り立つことが知られている。
\begin{eqnarray}
x\in(-\pi,\pi)であれば、F(x)&\equiv&\frac{1}{2}\left(
\lim\limits_{\epsilon\to+0}
f(x+\epsilon)
+
\lim\limits_{\epsilon\to+0}
f(x-\epsilon)
\right)\\
x=\pi であれば、
F(\pi)&\equiv&\frac{1}{2}\left(
\lim\limits_{\epsilon\to+0}
f(\pi-\epsilon)
+
\lim\limits_{\epsilon\to+0}
f(-\pi+\epsilon)
\right)\\
x=-\pi であれば、F(-\pi)&\equiv&
\frac{1}{2}\left(
\lim\limits_{\epsilon\to+0}
f(-\pi+\epsilon)
+
\lim\limits_{\epsilon\to+0}
f(\pi-\epsilon)
\right)=F(\pi)
\end{eqnarray}
ここで左辺の\(F(x)\)は
\begin{eqnarray}
f(x)=\frac{a_0}{2}+\sum_{n=1}^{\infty}
\left(
a_n\cos\left(\frac{n\pi x}{L}\right)
+
b_n\sin\left(\frac{n\pi x}{L}\right)
\right)
\end{eqnarray}
といつものようにフーリエ級数展開した時の右辺のことである(意味が分からない人はこの後に補足を入れる)。もし\(f(x)\)が点\(x\)で連続であれば当然
\begin{eqnarray}
f(x)=\lim\limits_{\epsilon\to+0}
f(x+\epsilon)=
\lim\limits_{\epsilon\to+0}
f(x-\epsilon)
\end{eqnarray}
なので(当然のような結果\(F(x)=f(x)\)を得る。この式によれば、\(y=x\)のフーリエ級数展開の右辺に\(x=\pi\)を代入した時の値は
\begin{eqnarray}
F(\pi)&=&
\frac{1}{2}\left(
\lim\limits_{\epsilon\to+0}
f(\pi-\epsilon)
+
\lim\limits_{\epsilon\to+0}
f(-\pi+\epsilon)
\right)\
&=&
\frac{1}{2}\left(
\lim\limits_{\epsilon\to+0}
(\pi-\epsilon)
+
\lim\limits_{\epsilon\to+0}
(-\pi+\epsilon)
\right)\
&=&0
\end{eqnarray}
となり、フーリエ級数の値は0に収束する。実際先程載せたグラフを見ると確かに\(x=\pm\pi\)で\(y=0\)を通っていることが分かるだろう。

(先程の補足)もしかしたら読者の中には
\begin{eqnarray}
f(x)=\frac{a_0}{2}+\sum_{n=1}^{\infty}
\left(
a_n\cos\left(\frac{n\pi x}{L}\right)
+
b_n\sin\left(\frac{n\pi x}{L}\right)
\right)
\end{eqnarray}
の右辺を\(F(x)\)としても、右辺=左辺だから\(F(x)=f(x)\)となって結局\(f(x)\)になるじゃないか、と思う者もいるかも知れない。しかしここが難しいポイントで、あくまで右辺=左辺がちゃんと成り立つのは連続的な点だけで、不連続点についてはこのフーリエ\(\underline{級数}\)がどんな値に収束するのかは自明ではないし、もしかしたら収束しない可能性だってあるかもしれない。この誤解が生まれたのはある意味で私の責任で、というのも、私はこの記事の中で常に「フーリエ級数をすると\(f(x)=\frac{a_0}{2}+\sum_{n=1}^{\infty}
\left(
a_n\cos\left(\frac{n\pi x}{L}\right)
+
b_n\sin\left(\frac{n\pi x}{L}\right)
\right)\)と展開できるから~」
のように常にフーリエ級数展開出来るかのような言葉使いをしてしまっていた。だからフーリエ級数展開を厳密に書くならば)

連続な点xにおいては、以前求めた級数
\begin{eqnarray}
f(x)=\frac{a_0}{2}+\sum_{n=1}^{\infty}
\left(
a_n\cos\left(\frac{n\pi x}{L}\right)
+
b_n\sin\left(\frac{n\pi x}{L}\right)
\right)
\end{eqnarray}
が成り立つ。なお不連続点に関しては
\begin{eqnarray}
x_0\in(-\pi,\pi)であれば、
\left[\frac{a_0}{2}+\sum_{n=1}^{\infty}
\left(
a_n\cos\left(\frac{n\pi x}{L}\right)
+
b_n\sin\left(\frac{n\pi x}{L}\right)
\right)\right]{x=x_0} &\equiv&\frac{1}{2}\left( \lim\limits{\epsilon\to+0}
f(x+\epsilon)
+
\lim\limits_{\epsilon\to+0}
f(x-\epsilon)
\right)\nonumber\\
x=\pi であれば、
\left[\frac{a_0}{2}+\sum_{n=1}^{\infty}
\left(
a_n\cos\left(\frac{n\pi x}{L}\right)
+
b_n\sin\left(\frac{n\pi x}{L}\right)
\right)\right]{x=\pi}&\equiv&\frac{1}{2}\left( \lim\limits{\epsilon\to+0}
f(\pi-\epsilon)
+
\lim\limits_{\epsilon\to+0}
f(-\pi+\epsilon)
\right)\nonumber\\
x=-\pi であれば、\left[\frac{a_0}{2}+\sum_{n=1}^{\infty}
\left(
a_n\cos\left(\frac{n\pi x}{L}\right)
+
b_n\sin\left(\frac{n\pi x}{L}\right)
\right)\right]{x=-\pi}&\equiv& \frac{1}{2}\left( \lim\limits{\epsilon\to+0}
f(-\pi+\epsilon)
+
\lim\limits_{\epsilon\to+0}
f(\pi-\epsilon)
\right)\nonumber
\end{eqnarray}
が成り立つ。


というのが正しくて、こうすると先程のような疑問は生まれないと思う。


次に2つ目の問題を考える。実はグラフを書く際には有限の項でどうしても級数を打ち切る必要があるのだが(パソコンでは無限の項なんて書けないからね)、そうするとこの端点でのトゲトゲのデカさは嫌でも発生する。これは必ず発生する現象で「ギブス現象」という名前まで付いている。これに関しては難しい話なので興味ある学生は自ら調べて頂きたい。