フーリエ級数:第6回:フーリエ級数から得られる公式

ここでは\(~y=x^2~\)をフーリエ級数展開することで、歴史的に有名なパーゼバルの等式
\begin{eqnarray}
\frac{\pi^2}{6}=\frac{1}{1^2}+\frac{1}{2^2}
+\frac{1}{3^2}
+\frac{1}{4^2}
+\frac{1}{5^2}
+\cdots
\end{eqnarray}
を求めてみたいと思う。その為には周期\(~2\pi~\)のフーリエ級数で十分なので、ここでは第3回に書いた周期\(~2\pi~\)のフーリエ級数展開の公式を用いる。\(y=x^2\)のフーリエ級数展開に必要なことは
\begin{eqnarray}
a_n&=&\frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^\pi f(x)\cos\left(nx\right)dx\\
b_n&=&\frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^\pi f(x)\sin\left(nx\right)dx
\end{eqnarray}
の\(~f(x)~\)に\(~x^2~\)をぶち込んで積分計算するだけだが、計算するまでもなく\(~\sin~\)の奇関数性から\(~b_n~\)の係数は全て0になる。従って\(~a_n~\)を計算していくと、\(n\neq0\)に対しては
\begin{eqnarray}
a_n&=&\frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^\pi x^2\cos\left(nx\right)dx\\
&=&
\frac{1}{\pi}\left[
\frac{1}{n}
x^2\sin(nx)
+
\frac{2}{n^2}x\cos (nx)-\frac{2}{n^3}\sin(nx)
\right]_{-\pi}^\pi\ &=& \frac{4(-1)^{n}}{n^2}
\end{eqnarray}

となり、\(~n=0~\)に関しては

\begin{eqnarray} a_0&=&\frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^\pi x^2dx=
\frac{2}{3}\pi^2
\end{eqnarray}
従って
\begin{eqnarray}
a_0&=&\frac{2}{3}\pi^2\\
a_{n(\neq0)}&=&\frac{4(-1)^{n}}{n^2}\\
b_n&=&0
\end{eqnarray}
となる。係数が求まったので、具体的にフーリエ級数展開の公式に代入すれば
\begin{eqnarray}
f(x)=x^2&=&\frac{a_0}{2}
+\sum_{n=1}^\infty
\left(
a_n\cos(nx)+b_n\sin (nx)
\right)\\
&=&
\frac{\pi^2}{3}
+
\sum_{n=1}^\infty
\frac{4(-1)^{n}}{n^2}
\cos(nx)
\end{eqnarray}
折角なので、ちゃんと波の重ね合わせで\(~y=x^2~\)が作れているのかを確認するためにグラフを書いてみよう。


上から順に項の数を増やし精度を上げた。項が増えるほどに\(~y=x^2~\)のグラフに近づいていってるのが分かる。

さて、結果を再掲すると
\begin{eqnarray}
f(x)=x^2&=&
\frac{\pi^2}{3}
+
\sum_{n=1}^\infty
\frac{4(-1)^{n}}{n^2}
\cos(nx)
\end{eqnarray}
であったのだが、この式で両辺に\(~x=\pi~\)を代入してみよう。
\begin{eqnarray}
\pi^2
&=&
\frac{\pi^2}{3}
+
\sum_{n=1}^\infty
\frac{4(-1)^{n}}{n^2}
\cos(n\pi)\\
&=&
\frac{\pi^2}{3}
+
\sum_{n=1}^\infty
\frac{4(-1)^{n}}{n^2}
(-1)^n\\
&=&
\frac{\pi^2}{3}
+
\sum_{n=1}^\infty
\frac{4}{n^2}\\
&\Downarrow&\nonumber\\
\sum_{n=1}^\infty
\frac{4}{n^2}
&=&
\pi^2-
\frac{\pi^2}{3}\\
&=&
\frac{2}{3}\pi^2\\
&\Downarrow&\nonumber\\
\sum_{n=1}^\infty
\frac{1}{n^2}
&=&
\frac{\pi^2}{6}
\end{eqnarray}
このようにして実際にパーゼバルの公式を示すことが出来た。また\(~y=x^2~\)のフーリエ級数に\(~x=\pi~\)ではなく\(~x=0~\)を代入しても面白い結果が得られる。実際にやってみると
\begin{eqnarray}
0&=&\frac{\pi^2}{3}
+
\sum_{n=1}^\infty
\frac{4(-1)^{n}}{n^2}\\
&\downarrow&\nonumber\\
\sum_{n=1}^\infty
\frac{(-1)^{n+1}}{n^2}
&=&\frac{\pi^2}{12}
\end{eqnarray}
つまり
\begin{eqnarray}
\frac{\pi^2}{12}=\frac{1}{1^2}-\frac{1}{2^2}
+\frac{1}{3^2}
-\frac{1}{4^2}
+\frac{1}{5^2}
+\cdots
\end{eqnarray}
という交代級数が得られた。なおこの考えを持って\(~y=x^n~\)のフーリエ級数展開を行えば、

\begin{eqnarray}
\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^3}~,~\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^4}や
\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^{100}}
\end{eqnarray}

も得られそうだなぁ、と思うだろう。この予想は半分正しくて半分間違っている。実は\(~x^n~\)をフーリエ級数展開することで)
\begin{eqnarray}
\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^{偶数}}
\end{eqnarray}
は求めることが出来るのだが、どんなに頑張っても
\begin{eqnarray}
\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^{奇数}}
\end{eqnarray}
は求める事は出来ない。実際に手を動かしてみるとこの事を実感することが出来る。さらに言えば現代数学の全力を注いでも\(~\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^{奇数}}~\)を求めることは出来ていない、という現実がある。

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