素粒子標準模型:レプトンセクター:質量項の世代間混合

以上の話しでは電子・ニュートリノの第一世代に議論を絞っていた。以上の話しを第3世代まで含むように拡張しよう。まず運動項はどの世代でも一緒になるのはいいだろう。つまり第\(I\)世代の左手型レプトンのダブレットと右手型レプトンシングレットを
\begin{eqnarray}
L_I=\begin{pmatrix}
\nu_I\\
\ell_{I_L}
\end{pmatrix}
~~~~
\ell_{I_R}
\end{eqnarray}
と書くことにすると、運動項は全て
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}_{lepton-kin}=
\sum_{I=1,2,3}
\left[
i\overline{L}_{Ii}\bar{\sigma}^\mu (D_\mu L_I)_{i} + i{\ell}_{I_R}^\dagger\sigma^\mu (D_\mu {\ell}_{I_R})
\right]
\end{eqnarray}
となる。一方で質量項には変化がある。というのも、世代に依らずレプトンは同じ量子数を持っているから、先程の質量項を第3世代まで拡張した時の一般形は単なる和になるのではなく、
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}_{lepton-mass}=
-\sum_{I,J=1,2,3}\left(
y^l_{IJ}\bar{L}_{Ii}H_i\ell_{J_R}+c.c\right)
\end{eqnarray}
が一般形になる。係数\(y\)が添字\(I,J\)を持つように拡張されたのだが、今までの議論を思い出すと明らかなように、このように拡張してもゲージ対称性と無矛盾になっており、ラグランジアンの項として許される。しかしながら、実はこの係数は今からお見せするように一般性を失わずに\(y_{IJ}\propto\delta_{IJ}\)の対角形に取ることが出来る。まず運動項は世代を混ぜるユニタリ変換
\begin{eqnarray}
L_{Ii}&\to& U_{IJ}L_{Ji}\\
\ell_{I_R}&\to&V_{IJ}\ell_{J_R}
\end{eqnarray}
の下で明らかに不変である。この変換を質量項に施すと
\begin{eqnarray}
y^l_{IJ}\bar{L}_{Ii}H_i\ell_{J_R}
&\to&
y^l_{IJ}U^\ast_{II^\prime}\bar{L}_{I^\prime i}H_iV_{JJ^\prime}\ell_{J^\prime_R}\\
&=&
(U^\dagger_{I^\prime I}y^l_{IJ}V_{JJ^\prime})\bar{L}_{I^\prime i}H_i\ell_{J^\prime_R}\\
\end{eqnarray}
となるが、括弧で括った部分は\(U,V\)を適当に取ることで線形代数の一般論により対角形に出来、しかも対角成分は実数に持ち込める。よって、実数\(y_{\ell_I}\)を用いて質量項は一般に以下のように取れる。
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}_{lepton-mass}=
-\sum_{I=1,2,3}y_{\ell_I}\left(
\bar{L}_{Ii}H_i\ell_{I_R}+c.c\right)
\end{eqnarray}
同じ議論なので省略するが、この質量項はSSB後に
\begin{eqnarray}
\psi_{\ell_I}&&\equiv\begin{pmatrix}
\ell_{I_L}\\
\ell_{I_R}
\end{pmatrix}\\
m_{\ell_I}&&\equiv \frac{y_{\ell_I}v}{\sqrt{2}}
\end{eqnarray}
を用いて、
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}_{lepton-mass}
\xrightarrow{SSB}
\sum_{I=1,2,3}\left[-m_{\ell_I}\bar{\psi}_{\ell_I}\psi_{\ell_I}-\frac{m_{\ell_I}}{v}h\bar{\psi}_{\ell_I}\psi_{\ell_I}\right]
\end{eqnarray}
という項を生成する。言うまでもなく、第一項が質量項になる。ここでポイントだが、第二項目がレプトンーレプトンーヒッグスの相互作用を表しており、レプトン(クォークも)は自身の質量に比例した強度でヒッグスと相互作用することが分かる。

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