デルタ関数の別定義:その2

デルタ関数が$~x=0~$でのみ0でない値を持つことが分かったので、次のように定義することも出来る。

デルタ関数とは
\begin{eqnarray}
\delta(x)=
\begin{cases}
\infty& (x=0)\\
0& (x\neq 0)
\end{cases}
\end{eqnarray}
を満たし、かつ
\begin{eqnarray}
\int_{-\infty}^\infty \delta(x)dx=1
\end{eqnarray}
を満たす関数とする。

ここで積分領域は先程と同じ理由で$~x=0~$を含んでいる様な区間であれば何でも良い(例えば$~[-\epsilon,\epsilon]~$とか)。この定義はちゃんと前述までのデルタ関数の定義と整合しており同値な定義になっている。因みに、ここでの定義を用いた場合に、
\begin{eqnarray}
\int_{-\infty}^\infty f(x)\delta(x)dx=f(0)
\end{eqnarray}
が導けるのかだけは非自明だろう。それはちゃんと確かめておこう。証明すべき事はページ上の最初の2つの定義を用いて$~「~\int _{-\infty}^\infty f(x)\delta(x)dx=f(0)~」~$を導くことである。実際にやってみよう。まずデルタ関数が$~x=0~$でしか値を持たないので、適当な$~\epsilon~$を用いて
\begin{eqnarray}
\int _{-\infty}^\infty f(x)\delta(x)dx=
\int_{-\epsilon}^\epsilon f(x)\delta(x)dx
\end{eqnarray}
と書き直すことが出来る。ここで$~\epsilon~$は任意なので、十分小さいとしよう。すると$~f(x)~$は$~x=0~$周りでテーラー展開出来るはずで
\begin{eqnarray}
f(x)=f(0)+f^{\prime}(0)x+\cdots=f(0)+(xの一次以上)
\end{eqnarray}
と展開出来る。これを上式に代入すると
\begin{eqnarray}
\int_{-\epsilon}^\epsilon f(x)\delta(x)dx
&=&
\int_{-\epsilon}^\epsilon \left[ f(0)+(xの一次以上) \right]\delta(x)dx\\
&=& \int_{-\epsilon}^\epsilon \left[
f(0)
\right]\delta(x)dx
+
\int_{-\epsilon}^\epsilon \left[ (xの一次以上) \right]\delta(x)dx \end{eqnarray}
さて第一項は$~f(0)~$が定数なので積分の外に出せて
\begin{eqnarray}
\int_{-\epsilon}^\epsilon \left[
f(0)
\right]\delta(x)dx
&=&
f(0)\int_{-\epsilon}^\epsilon \delta(x)dx\\
&=&f(0)
\end{eqnarray}
となる。一方で第二項が全て0になる事を示せれば、示したかった$~「~\int_{-\infty}^\infty f(x)\delta(x)dx=f(0)~」~$が示されたことになる。これは次の例から直感的に理解する事ができる。ここでは$~x~$の2次の項を評価してみる。
\begin{eqnarray}
\int_{-\epsilon}^\epsilon x^2\delta(x)dx
\end{eqnarray}
ここで積分の基本公式
\begin{eqnarray}
\left|\int_a^b f(x)dx\right|\leq \int_a^b |f(x)|dx\leq
(区間[a,b]上でのf(x)の最大値)\times(b-a)
\end{eqnarray}
と、区間$~[-\epsilon,\epsilon]~$で$~x^2~$の最大値が$~\epsilon^2~$である事を併用すると
\begin{eqnarray}
\left|\int_{-\epsilon}^\epsilon x^2\delta(x)dx\right|
&\leq&
\int_{-\epsilon}^\epsilon |x^2|\delta(x)dx\\
&\leq&
\epsilon^2\int_{-\epsilon}^\epsilon \delta(x)dx\\
&\leq&\epsilon^2
\end{eqnarray}
最後に$~\epsilon~$が微小であれば任意であった事を思い出そう。(もし読者が初等数学の$~\epsilon-\delta~$論法を知っていれば理解は簡単だと思うが)$~\epsilon~$は任意の微小量、つまり好きなだけ小さく出来る数なので、上記の不等式の最右辺はいくらでも0に飛ばすことが出来る。従って
\begin{eqnarray}
\left|\int _{-\epsilon}^\epsilon x^2\delta(x)dx\right|=0
\end{eqnarray}
でなくてはならないことが分かる。この例では$~x^2~$で示したが、別に$~x^n(n\geq1)~$でも同様に示せる。

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