JMO予選1990問12

$$a_1=1,a_{n+1}=a_n+\frac{1}{a_n} \ \ (n\ge1)$$

で定められた数列\(\{a_n\}\)に対し,\([a_{100}]\)の値を求めよ.

【思考・方針】

$$a_2=2,a_3=\frac{5}{2},a_4=\frac{29}{10}\cdots$$

と求めて手が止まった人も多いでしょう.

ざっくりとしたイメージも入りますが

\(\cdot\ a_n\)は単調増加

\(\cdot\ a_n\)が大きいほど,\(a_{n+1}\fallingdotseq a_n\)

\(\cdot\ \)もっと言えば,\(a_{n+1}\fallingdotseq a_n+\frac{1}{a_n}\)であるから,

\(a_n=5\)なら,

$$a_{n+1}=5+\frac{1}{5}$$

$$a_{n+2}\fallingdotseq5+\frac{1}{5}+\frac{1}{5}$$

$$a_{n+3}\fallingdotseq5+\frac{1}{5}+\frac{1}{5}+\frac{1}{5}$$

のようになっていく.すると

$$a_n\fallingdotseq1+\frac{1}{1}+\frac{1}{2}+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\frac{1}{3}+\frac{1}{3}+\frac{1}{4}+\cdots (全部で項の数はn)$$

のように考えられる.

\(∴\ (1+2+\cdots+13=91より)\)\(a_{100}\fallingdotseq14+\frac{8}{14}\)から答えは\(14\)と予想できます!

このように,答えだけならある程度予想は実は出来るのですが,ちょっと怪しい(誤差がでて\(13\)や\(15\)でもおかしくなさそう)ですから,真面目に考えてみましょう.

\(a_1\)からスタートして「増えてく分」を足し合わせると,与えられた漸化式から\(a_n=a_1+\frac{1}{a_1}+\frac{1}{a_2}+\cdots+\frac{1}{a_{n-1}}\)ですが,この\(a_1+\frac{1}{a_1}+\frac{1}{a_2}+\cdots+\frac{1}{a_{n-1}}\)の部分を\(1+\frac{1}{1}+\frac{1}{2}+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\frac{1}{3}+\cdots\)と近似したのが先程の考え方ですが,もうすこし真面目に評価できないか,つまり\(14\)以上\(15\)未満を示せないかと考えてもこのままではなかなか難しいわけです.そこで,近似の精度をあげるため,二乗してみます.

(与えられた式は確かに二乗したくなる式ではありますね.)

$$a_{n+1}^2=a_n^2+\frac{1}{a_n ^2}+2$$

\(∴\ \)この式の\(n\)に\(1\sim99\)を代入したものを足し合わせることで,先程と似た式,

\begin{eqnarray}a_{100}^2&=&a_1^2+\frac{1}{a_1 ^2}+\cdots+\frac{1}{a_{99}^2}+2\times99\\∴\ a_{100}^2&=&\frac{1}{a_1 ^2}+\cdots+\frac{1}{a_{99} ^2}+199\end{eqnarray}

が得られます.こうすれば,我々の予想\([a_{100}]=14\)を示すには

$$\frac{1}{a_1 ^2}+\cdots+\frac{1}{a_{99} ^2}
が26未満 $$

を示せば良いですが,これは先程と比較しても小さい数の和ですからなんとかなりそうです!

\(n\ge 2\)のとき,\(\frac{1}{a_n ^2}\le\frac{1}{a_2 ^2}=\frac{1}{4}\)を用いれば,

$$\frac{1}{a_1 ^2}+\cdots+\frac{1}{a_{99} ^2}\le1+98\times\frac{1}{4}=25.5<26$$

となり,なんとか,\(196\le a_{100}^2<225\)が示せましたから,答えは\(14\)とわかりました!

難しい道具は一切使っていませんが,かなりの難問と言っていいでしょう.それではもう1問,同じ漸化式にまつわる似たような問題を考えてみましょう.

今回は,日本の数学オリンピックの類題が海外の数学オリンピックで出題された例です.

Q.\(\ \ \)漸化式

$$a_{n+1}=a_n+\frac{1}{a_n} \ \ (n\ge0)$$

を満たす数列\(\{a_n\}\)に対し,初期値\(a_0\)がどんな正の実数であっても,\(a_{1996}>63\)を示せ.

(1996年南半球数学オリンピック問2)

下からの評価のみで良いこともあり,先ほどよりも2乗をしたくなるのではないのでしょうか?というわけで,先ほどの問題をみたあとなら簡単ですね.漸化式を2乗すると

$$a_{n+1}^2=a_n^2+\frac{1}{a_n ^2}+2$$

\(∴\ \)この式の\(n\)に\(0\sim1995\)を代入したものを足し合わせることで,

\begin{eqnarray}a_{1996}^2&=&a_0^2+\frac{1}{a_0 ^2}+\cdots+\frac{1}{a_{1995}^2}+2\times1996\\&\ge&3992>3969=63^2\end{eqnarray}

より,\(a_0>0\)と漸化式を繰り返し用いて\(a_{1996}>0\)を加味すれば,\(a_{1996}>63\)が示せますね!

先ほどよりも不等式評価につまらずにすむあたり,解きやすくなっていますね.ただし,日本の方は答えだけでよかった分,どちらの方が難しいかは微妙なところな気もしますが.

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