EGMO2019問4

今まで、EGMOの問題は解いたことが無かったのですが、このブログを始めてみたことや、EGMOの記事が読みたいという読者様からのご要望などもあったこと、そして純粋な競技数学への興味などから、とりあえず今年のEGMOの問題を解いてみました。
まだ解き始めたばかりでどこまで記事に出来るかはわかりませんが、今後はEGMOの問題にも手をつけていければと思っております。

というわけで記念すべき初回は初等幾何の問題です!問題はこちら。

【問】\(\triangle ABC\)の内心を\(I\)とし、\(B\)を通り\(I\)で直線\(AI\)に接する円と\(AB\)の交点のうち\(B\)でない方を\(P\)、\(C\)を通り\(I\)で直線\(AI\)に接する円と\(AC\)の交点のうち\(C\)でない方を\(Q\)、とする。直線\(PQ\)は\(\triangle ABC\)の内接円\(I\)に接することを示せ。

内接円の中心\(I\)を接点とする円が2つもあること、そして、示したいことは「直線が円に接すること」。
この2つから僕は、内接円を反転円とする反転を考えてみました。
(反転の基礎事項についてはJJMO本選2019問5の記事の補足欄をご覧ください。)
では、やってみましょう。

【略解】
円\(I\)を反転円とする点\(A\)の反転後の点を\(A^{\prime}\)のように表すことにする。
直線\(PQ\)および内接円\(I\)の反転後の図形である円\(P^{\prime}Q^{\prime}I\)と内接円\(I\)が接することを示せばよい。

内接円半径を\(r\)とおくと、この反転により、

直線\(BC\),直線\(APB\),直線\(AQC\)は\(I\)からの距離が\(r\)の直線なので、それぞれ、\(BC,CA,AB\)に接する円にうつる。すなわち、

円\(IB^{\prime}C^{\prime}\),円\(IB^{\prime}P^{\prime}A^{\prime}\),円\(IC^{\prime}Q^{\prime}A^{\prime}\)はどれも直径\(r\)の円である。\(\cdots①\)

また、円\(BPI\)と円\(CQI\)は直線\(AI\)に点\(I\)で接するので、これらの反転後の図形を考えると、(\(A^{\prime}\)はもちろん直線\(AI\)上にあり、)

直線\(P^{\prime}B^{\prime}\)と直線\(Q^{\prime}C^{\prime}\)は直線\(AA^{\prime}I\)と平行となる。\(\cdots②\)

\(①②\)より、図のよう、4角形\(IB^{\prime}P^{\prime}A^{\prime}\)と4角形\(IC^{\prime}Q^{\prime}A^{\prime}\)は円に内接する台形なので等脚台形。ここから\(\triangle IP^{\prime}Q^{\prime}\equiv\triangle A^{\prime}B^{\prime}C^{\prime}\)がわかるので、

円\(\triangle IP^{\prime}Q^{\prime}\)と円\(A^{\prime}B^{\prime}C^{\prime}\)の半径は等しい。\(\cdots③\)

ところで\(①\)より、円\(IB^{\prime}C^{\prime}\),円\(IB^{\prime}P^{\prime}A^{\prime}\),円\(IC^{\prime}Q^{\prime}A^{\prime}\)の中心をそれぞれ\(O_1,O_2,O_3\)とすれば、\(O_1B^{\prime}O_2I,O_2A^{\prime}O_3I,O_3C^{\prime}O_1I\)は一辺\(r/2\)のひし形となる。
ここで、\(O_1B^{\prime}OC^{\prime}\)が一辺\(r/2\)のひし形となるように点\(O\)をとれば、\(OC^{\prime},B^{\prime}O_1,O_2I,A^{\prime}O_3\)は平行かつ長さが\(r/2\)となるので、\(OC^{\prime}O_3A^{\prime}\)は一辺\(r/2\)のひし形となる。
以上より、\(OA^{\prime}=OB^{\prime}=OC^{\prime}=r/2\)となり、\(\triangle A^{\prime}B^{\prime}C^{\prime}\)の外接円は中心\(O\),半径\(r/2\)の円である。

(注)この図は立方体が浮かび上がっているみたいですね!このように、半径が等しい円が一点で交わるとき、2円の交点3つを通る円の半径は元の円の半径となるのは有名な事実です。

\(③④\)より、円\(IP^{\prime}Q^{\prime}\)の半径は\(r/2\)で、内接円\(I\)の半径は\(r\)。その差\(r/2\)は中心間距離(すなわち円\(IP^{\prime}Q^{\prime}\)の半径)\(r/2\)に等しいので、円\(IP^{\prime}Q^{\prime}\)と内接円Iは接する。
∴反転前の図形を考えて、直線\(PQ\)と内接円\(I\)は接する。

このように、反転後の世界の図を描いて、綺麗な性質を見つけていくのが反転の楽しいところです。反転に最近、はまり始めたので今回は反転を用いた方針が真っ先に思い付きましたが、元の図であっても

・(方べきの定理とその逆を使えば実は)\(B,C,P,Q\)は同一円周上
・(結論から最終的には)内接円\(I\)は\(\triangle APQ\)の傍接円にもなるはず

などの様々な性質がありますから、反転を使わない方針もあるかもしれません。別解・感想などがありましたら、是非、コメントをお送りください!

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